債券インデックス:2026年の見通し

Read the English version published on January 23, 2026.
本稿は、債券インデックス業界の中期的な動向および事業アップデートを整理したものです。(公開日:2026年1月23日)

主要ポイント

  • 2026年の展開は、インデックス算定手法の高度化、対象資産クラスの拡充、ならびに拡張性の高い債券インデックス基盤への継続的な投資によって支えられています。
  • パッシブETFの成長、発行パターンの変化、金利見通しの変化を背景に、デュレーション、地域、オルタナティブ・ベータ戦略にわたって、透明性が高くルールに基づくベンチマークへの需要が高まっています。

昨年は、プライベートクレジットや人工知能(AI)といったテーマが見出しを席巻し、関税や金融政策などの要因が市場を揺さぶる中、世界の債券市場は、資産クラスや地域を問わずプラスのリターンを記録しました。 新興国市場が最も高いリターンを示し、新興国市場(EM)ハードカレンシー総合インデックスのリターンは12%超となりました。2025年のパフォーマンスについての‎詳細は、前回の記事をご参照ください。 

プロダクトについて

ブルームバーグ債券インデックス

2026年は、ブルームバーグの債券インデックスにおいて重要な進展が見込まれる年となりそうです。ブルームバーグでは近年、戦略的な投資を進めており、規制環境の変化も踏まえながら、今後1年の展開を注視しています。

この見通しは、業界トレンドおよびビジネスの最新動向に焦点を当てたものです。 米国債インデックス、米国投資適格(IG)社債インデックス、米国MBSインデックスなどの複数の債券インデックス見通しリポートは、ブルームバーグ ターミナルからご覧いただけます。

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機能強化とカバレッジ拡大 

ブルームバーグは2024年に「Index Factory」指数作成システムを本格導入して以降、機能強化とカバレッジ拡大の双方に注力しています。手法の強化という点では、月末ロックアウトの導入により、インデックス構成銘柄の安定性が高まるとともに、次回のリバランスで採用対象となる債券がより明確になっています。さらに、代替的な価格スナップショットの実装も進展しており、その後はターンオーバー分析に注力する予定です。

アセットクラスの観点からは、ブルームバーグは債券市場全体を包括的にカバーすることを常に目指しています。 7月には、新たな主要アセットクラスへのカバレッジ拡大として、グローバル・レバレッジドローン・インデックスを導入しました。 さらに、課税対象の債券市場全体を幅広く捉え、進化した投資ユニバースを反映するため、US Total Fixed Income Market Index (ティッカー:TOTALFI)を導入しました。

この新たなベンチマークは、ブルームバーグが市場に提供できる拡張性の高いソリューションの好例となっています。 ブルームバーグには、最も幅広い債券インデックスを公表するために必要な構成要素と、それを支えるインフラの双方がそろっています。ブルームバーグは近年、インデックス作成の近代化に向けて多額の投資を行ってきました。その成果として生まれたTOTALFIなどのインデックスにより、アセットクラスをシームレスに組み合わせ、分析機能を統合することが可能になっています。

Figure 1: Bloomberg Index Browser on the Bloomberg Terminal

新たなインデックスは、アセットクラスを追加するだけでなく、発行動向に対応し、足元の市場を適切に反映しなければなりません。この点は特に、ABSやCMBSなどの証券化商品の場合に当てはまります。例えば、単一資産・単一借り手(SASB)型CMBSの発行は大幅に増加しています。その結果、ブルームバーグでは今年後半に新たな米国CMBS SASBインデックスを導入する予定です。このインデックスは、より広範なCMBSインデックスに組み込まれ、将来的には一部の総合型インデックスへの組み入れが検討される可能性もあります。

Figure 2: Annual Non-Agency CMBS Issuance in $Bn (Conduit vs SASB)

加えて、ブルームバーグではプライベートクレジット分野におけるベンチマークの検討を進めています。ある意味では、プライベートクレジット・インデックスは矛盾した概念のようにも見えます。プライベート市場は一般に情報開示が限定的である一方、インデックスは本質的に透明性を備えているためです。しかし、パブリック市場とプライベート市場の境界が次第に曖昧になるにつれ、プライベートクレジットの透明性が高まり、最終的には価格形成の改善につながる可能性があります。

高品質なデータと正確な価格付けは、堅固なベンチマークの必須条件です。ブルームバーグは、今後もこの分野の動向を注視していきます。一方、ブルームバーグは最近、プライベートクレジット発行体の動向を把握する代理指標として、米国BDCインデックスを作成しました。

ETFブームは継続

近年、インデックスプロバイダーの成功は、ETF市場と密接に結び付いてきたと言えるでしょう。 上場投資信託(ETF)は現在、新たな戦略の有力な受け皿となっており、設定本数、資金流入、取引高はいずれも記録的な水準にあります。これほど好調な年を繰り返すのは難しいように思えるかもしれませんが、米証券取引委員会(SEC)が最近、発行体によるシェアクラスの追加を承認したことで、ETFの上場が再び増加する可能性があります。すべての発行体が常に新規上場モードにあるわけではなく、資産の積み上げに注力するため、新規上場をいったん休止する場合もあるでしょう。

アクティブ型の新規上場は引き続きパッシブ型を上回ると見込まれますが、資金フローは今後も低コストのベータ商品が大半を占める可能性があります。実際、現在流通している1650本のパッシブ型債券ETFの約3分の1は、ブルームバーグ・インデックスに連動しています(下記チャート参照)。

Figure 3: Passive Fixed Income ETFs Over Time

新規上場はアクティブ、資金流入はパッシブ

ブルームバーグは50年以上の歴史を持つ主要なインデックスプロバイダーであり、パッシブ運用資産総額の55%がブルームバーグの債券インデックスに連動しています。ここ最近、アクティブ運用ETFの新規上場は増加傾向にありますが、債券ETFの運用資産全体の83%はパッシブ運用が占めており、2025年の資金フローも、2対1の比率でパッシブ運用ETFに流入しました。実際、2025年に資金流入が最も多かった上位6本のファンドはいずれもパッシブ運用で、そのうち4本はブルームバーグ・インデックスに連動しています。同様に、2025年に新規上場した債券ETFの上位2本(SPP5、VBIL)は、いずれもブルームバーグ・インデックスに連動しており、新規上場したパッシブ型運用の債券ETF上位3本はいずれもブルームバーグ・インデックスをベンチマークとしています(下記チャート参照)。

アクティブ運用のマネジャーは、債券インデックスをアウトパフォームしやすいように見えますが、適切な「テクニカル」インデックスと比較すると、ブルームバーグの調査では、過去10年間にベンチマークをアウトパフォームしたファンドは22%にとどまっています。

Figure 4: Largest Passive ETFs Launched in 2025

金融政策の影響

ここ数年の大きなテーマの一つは、マネー・マーケット・ファンドへの投資資産が急増していることです。リスクフリー金利が直近の高水準にある中、マクロ経済の先行き不透明感を背景に、投資家は4-5%のリターンを得られることに満足していました。しかし、この4カ月間で3回の利下げが実施された結果、足元のFF金利は3.75%となっており、投資家がデュレーションを延ばしてイールドカーブの中腹や中期ゾーンへとシフトすれば、マネー・マーケット・ファンドから資金が流出する可能性があります。 

今年は国内外の双方で米国債ETFの新規上場が増えており、ETFプロバイダーは、投資家がイールドカーブの先へと移行するためのソリューションを提供するうえで、有利な立場にあるとみられます。 一方で、米国を除外したグローバルETF戦略の増加も見られており、異なる地域エクスポージャーへの選好が示唆されます。

差別化の動き

2025年には約40社の新規ETFプロバイダーが参入するなど、ETF市場の競争が一段と激化する中、特定のエクスポージャーやオルタナティブ・ベータを狙うことで、他社との差別化を図る発行体も現れています。 前者には、投資ユニバースを絞り込むものから、共通のテーマを持つ発行体を集めてバスケットを構築するものまで、さまざまな形態があります。債券分野では、テーマ型投資がまだ本格的に広がっているとは言えませんが、今後さらに多くの商品が市場に流入すれば、状況が変わる可能性があります。最近の例としては、インフレに対するヘッジ効果を高めるため、ウルトラショートのTIPSのみを保有するRBILファンドが挙げられます。ETFプロバイダーにとって、もう一つの差別化手段は、オルタナティブなベータのソースを活用することです。これは、単にウエート付けの方式やゴールベース戦略を変更するだけでなく、最適化によって実現することも可能です。

しかし、最も重要なのは、適切なインデックスパートナーを選ぶことです。ブルームバーグは、お客さまと協働し、柔軟なアーキテクチャを通じて投資アイデアをルールベースのインデックスへと具現化できる好位置にあります。例えば、ブルームバーグ・ターミナル上の数千に及ぶデータ項目にアクセスし、インデックス算定に用いるクエリーへ組み入れることが可能です。 ブルームバーグは毎月、数十種類のカスタムインデックスを新たに作成しており、お客さまとの継続的なパートナーシップを通じて、新たなインデックス戦略を具現化していくことを楽しみにしております。

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

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