ビットコインは今や魅力薄、本命はブロックチェーン-

本記事はOlga KhairiとMatthew Leisingが執筆し、ブルームバーグブリーフ・Quick Take の「ビットコインとブロックチェーン」に初出掲載されたものです。

2013年に一般に認知されるようになった時、ビットコインは、医薬品からカップケーキに至るまで、何を買うにも使用できるこのデジタル通貨では、この上なく魅力的に映った。だが今や、ビットコインのやや魅力に欠ける側面、すなわち公開オンライン帳簿に関して、新たな胸躍る展開が見られる。取引の検証と記録に用いるビットコインの中核技術であるブロックチェーンは、世界の金融システムと他の産業を変える可能性を秘めていると考えられている。

状況

ビットコインの価格は、数年間激しく変動した後、2017年初頭に高値を更新した。その一因は、中国において関心が高まったことにあり、同国ではビットコインは自国の通貨統制への防衛策とみなされている。しかし、米証券取引員会(SEC)が、より多くの個人投資家に窓口を開く機会になったはずのビットコイン上場投資信託(ETF)の認可申請を却下すると、ビットコインへの投資を本格化しようとしていた動きは、後退した。その一方、バークレイズやJPモルガン・チェースを含め、80行を超える銀行がR3コンソーシアムに参加している。これは、送金や他の取引を追跡調査するための分散型帳簿としてブロックチェーンを使用する方法を探るべく、立ち上げられた団体である。R3がソフトウエア・コードを公開していることから、より早くより広い範囲で採用される可能性があるとみられる。ナスダックは、新興企業のチェーン・ドット・コムの協力を得て、既に株式非公開企業の証券取引にブロックチェーンを使用している。オーストラリア証券取引所は、ブロックチェーン関連の新興企業デジタル・アセット・ホールディングスと組んで、株式現物市場の清算サービスと決済サービスのスピードアップを進めている。また、ウォルマート・ストアーズなどの小売業者では、食品の安全性確保を目的にブロックチェーンの試験運用が行われている。ヘルスケアから天然資源管理までの各種産業は、伝統的なデータベースに勝る点をブロックチェーンが秘めていないか探っている。

背景

仮想通貨という概念は目新しいものではなく、オンライン・ファンタジー・ゲームでは以前から使われてきたが、単一の中央機関が発行する仕組みではなくても高い安全性が保たれるデジタル通貨の開発は、まさに世間の注目を集めた。ビットコイン・システムを創造したサトシ・ナカモトと称する人物または集団は、通貨の根幹に関わる問題点、すなわち偽造防止という問題を、政府当局に頼らず独力で解決した。そのアプローチは、デジタル通貨固有の障害、つまりユーザーによる通貨単位の二重払い(二重使用)の防止法も解決した。この革新的なアイデアこそ、各ビットコイン取引を記録する無記名式公開オンライン帳簿のブロックチェーンである。ブロックチェーンの維持管理は、各人のパソコンが計算して各取引の妥当性を検証することで、コインの二重払いを防止するビットコイン・「マイナー」のネットワークが行う。ビットコイン・マイナーは、新発ビットコインという形でその報酬を得る。ビットコイン発行ペースは制限されていて、2100万が上限とされている。

論争

ビットコインが初めてブームになって以来、その台頭をバブルと評して、ビットコインには本源的価値がないと批判する声は多い。しかし、この分野の起業家は、ビットコイン価格に焦点を絞るのは的外れで、政府、大手行、またはクレジットカード会社などの第三者に依存しない新種の決済システムという概念の実証として価値がある、と反論している。ブロックチェーンの有望な用途としては、海外送金、契約、複雑な金融取引の清算、新興国のマイクロ・ペイメント(小口決済)の媒体としての機能が挙げられる。他方、ブロックチェーン支持派は新種のデータベースにすぎないものを祭り上げている、という意見もある。

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