世界の規制環境は、かつてないほど複雑になりつつあります。国ごとに新規規制が導入されるため、各社は最新情報を把握しつつ、市場における自社の活動で引き続き法規を遵守するにあたり、多大な問題に直面しています。
ブルームバーグは規制に対する包括的なソリューションを取り揃えています。急速に変化し続ける状況を巧みに乗り切るために必要なサービスを提供しております。市場の透明性を高めてきた長年の実績と、ニュースや分析機能から取引の執行、清算、報告までにわたる総合的なリソースを兼ね備えたブルームバーグには、貴社のワークフロー全般にソリューションを提供できる他に類を見ない体制が整っています。デスクトップ端末用の機能から全社的なソリューションにいたるまで、またあらゆる規制に対するソリューションが、すべてお手元の端末一つでご利用いただけます。
2007年施行のMiFID I(金融商品市場指令)下の市場への改革である、MiFID IIへの更新が、投資銀行、ポートフォリオマネジャー、ブローカーなど、投資サービスを提供する金融業者に適用されます。MiFID IIは、それに関連する規制である金融商品市場規則(MiFIR)とともに、市場の安定性と信頼性を高め、かつ消費者保護を強化することを目指しています。
ブルームバーグのソリューション
ブルームバーグは、引き続き規制当局や市場参加者の協力の下、MiFID IIやMiFIRがデリバティブ取引の執行に及ぼす影響の見極めに努めています。またブルームバーグは、参照データ・サービスの一環として取引主体・顧客分類データを提供するほか、BVALデリバティブ機能を通じて、独立した立場の第三者によるデリバティブ商品の評価もお届けします。MIFID IIやMiFIRの要件を漏れなく遵守する取引執行プラットフォームの開発も進めています。ブルームバーグのセルサイド向け債券取引・デリバティブ取引ソリューションであるトレードオーダーマネジメントソリューション(TOMS)の一環として、ブルームバーグの取引報告サービスもご利用いただけます。
トレーディング勘定の抜本的見直し(FRTB)は、過去20年余りで最大規模の世界的なセルサイド向け規制の改正で、市場リスク管理の枠組みを全面的に見直しするものです。そのため数百にのぼる銀行が、2019年の期限までに規制当局の承認を取得するために、2017年のうちにFRTBソリューションを決定する必要に迫られています。
ブルームバーグのソリューション
包括的なソリューションがあれば、計算エンジンから「実際の価格」のデータ・レポジトリにいたるまで、FRTBの要件のあらゆる側面を充足できます。ユーザーが必要としているのがFRTB対応のデータか、信頼性が高いリスク分析エンジンか、またはエンド・ツー・エンドのワークフロー全般かに関係なく、ブルームバーグならば、ご自身のニーズに応じたパッケージをカスタマイズできます。また、ブルームバーグの価格データや市場データをベースにして、標準的手法と内部モデル手法双方による規制上の自己資本の計算、リスク要因のマッピング、モデルの作成も可能なリスク要因判定などの新機能も追加しました。
準備
現在、規制当局および業界団体が企業に向けLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)から離れ、RFR(リスク・フリー・レート)を代替とするよう促す動きがあり、一連の金利指標である銀行間調達金利指標(IBOR)が変革の時期を迎えています。リスク・フリー・レートはIBORとは構造的に異なるため、新たな金利への移行は、負担の大きい複雑なプロセスとなります。LIBORから新たな金利への移行が進む中、各国規制当局は、現物有価証券のフォールバック言語に関して市場コンセンサスを得ようと引き続き努力しています。
ブルームバーグのソリューション
ブルームバーグは、包括的な一連のデータ、分析およびポートフォリオ・ソリューションを提供し、リスク・フリー・レート移行に際しての影響を査定、分析します。また、業界トップクラスのプラットフォームで提供するすべての商品について、リスク・フリー・レートの採用をサポートし、透明性を確保します。
バーゼルIIIは、銀行セクターの規制、監督、リスク管理を強化することで国際金融システムの安定を推進する目的で、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)が策定した包括的な改革策です。バーゼルIIIの新基準の遵守は既に2013年1月から始まっており、2019年までに段階的に移行する予定です。新規要件は、規制上の自己資本や流動性比率が対象になります。
ブルームバーグのソリューション
ブルームバーグは、バーゼルIIIで義務付けられた自己資本や流動性の充足所要額を計算し管理するための包括的なツール、データ、分析機能を提供しています。適格流動資産(HQLA)、流動性評価(LQA)、主要国中央銀行の適格担保、簡易指定関数方式(SSFA)に関連する要件も網羅しています。
バーゼル委員会の規制第239号(BSBS 239)は「実効的なリスクデータ集計とリスク報告に関する諸原則」と題するもので、2013年1月に公表されました。これは、銀行のリスクデータ集計能力と内部のリスク報告実務の強化を意図したもので、最終的には、銀行のリスク管理プロセスと意思決定プロセスの拡充を目指しています。
ブルームバーグのソリューション
ブルームバーグのリスク管理ソリューションは、市場をリードするブルームバーグのデータと分析機能をベースにしています。そのプラットフォームが提供するプロセスの自動化、拡張性、およびデータ共有機能は、BCBS 239遵守コストの大幅削減に役立ちます。TOMS機能とMARS機能を併用するお客さまは、フロントオフィス用とリスク分析用双方に同一のデータベースからポジションのデータを取り込むため、照合の負担を軽減できるだけでなく、BCBS 239の原則3(データの正確性と統合性)の要件充足にも役立ちます。フロントオフィス用とリスク管理用の市場データが同じであることが保証されている上、フロントオフィス用とリスク分析用に同一の価格ライブラリーが使用されることから、一貫性も確保されます(原則4の一貫性と原則5の適時性の充足にも役立ちます)。原則6(適応性)に沿って、ストレステストを簡単に設定してリスク報告に追加したり、日々のポジション管理を目的に、同一のストレステストをトレーダーと共有したりすることも可能です。
ドッド・フランク法は、取引執行、清算、報告といった金融機関のワークフローの3大領域に関して、新規要件を義務付けています。これに基づき、スワップ取引とその執行は、認定スワップ執行ファシリティ(SEF)内で実行する必要があります。
ブルームバーグのソリューション
ブルームバーグは、金融機関がドッド・フランク法に基づく取引執行、清算、報告関連の要件を充足する上で役立つ一連のソリューションを提供しています。ブルームバーグSEFは市場内屈指のSEFで、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)、金利スワップ(IRS)、および為替(FX)やコモディティのデリバティブをサポートしています。ブルームバーグSEFは注文板機能を装備しているため、参加者は確定値と気配値双方の売り買い呼値を提示して、他の参加者全員に明らかにすること、また2人以上の参加者にクオート・リクエスト(RFQ)を募ることができます。ブルームバーグはドッド・フランク法で義務付けられた清算のワークフロー・プロセスもサポートしており、報告のため独自のスワップ識別子(USI)の生成と伝送が円滑に進むようお手伝いします。
2013年9月、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、国際決済銀行(BIS)および証券監督者国際機構(IOSCO)と合同で、未清算の店頭デリバティブの証拠金に関する世界的な要件を確立する枠組みを構築しました。この枠組みは、店頭デリバティブ市場におけるシステミック・リスクを軽減することと、中央清算機関を利用するよう金融機関を促すことを意図したものです。この最低満たすべき新たな基準は、欧米を含め、多くの国や地域で2016年9月から発効しており、中央清算機関で清算されないデリバティブ取引に関与する対象の金融機関に対して、当初証拠金と変動証拠金を取り交わすことが義務付けられました。規制内容は、適格担保の種類の定義やそれぞれの証拠金のヘアカットにも及んでいます。そうした要件はさまざまな金融機関に影響を与えると同時に、フロントオフィスからバックオフィスにいたるまでのインフラの変更も求めています。
ブルームバーグのソリューション
ブルームバーグのMARSコラテラル・マネジメントは、エンド・ツー・エンド型の担保管理・処理ハブで、エクスポージャーや担保ポジションを総合管理しモニターするための合理的な自動化ソリューションを提供します。これは、さまざまな金融商品や資産に対応する担保・証拠金管理アプリケーションで、関連機能をあまねく揃えています。それに加えて、別のソリューションであるコラテラル・タギングは、中央清算機関で清算されない店頭デリバティブに関する世界各地の証拠金規制における担保の適格性要件を判定、分類、遵守するための効率的な仕組みを提供します。
2016年10月13日、米国証券取引委員会(SEC)は、オープンエンド型投資法人(すなわち、ファンド)における実効性が高い流動性リスク管理の推進を意図した最終規則を採択しました。SEC規則22e-4により、ミューチュアルファンドや上場投資信託(ETF)において実効性が高い流動性リスク管理を推進するとともに、ファンドの流動性や償還実務の開示を拡充するための規制の枠組みが創設されます。SEC規則22e-4の遵守期限は、規模が10億ドルを超えるファンドは2018年12月1日、小型ファンドは2019年6月1日です。フォームN-Portによる開示はこれより早く行うよう求められており(大型ファンドの場合は2018年6月から)、流動性区分も盛り込まれる可能性があります。
ブルームバーグのソリューション
ブルームバーグのSEC規則22e-4関連のソリューションは、ベストプラクティスに基づく流動性分析に加えて、お客さまがマルチアセットクラス型ポートフォリオの流動性リスクを一貫して管理し報告できる全社的規制遵守の環境を提供します。このソリューションは受賞歴を誇るブルームバーグの流動性評価(LQA)方法を基盤にして、出来高が限られている金融商品に関しても市場流動性を定量的に評価できる機能を提供します。LQA機能は、世界の規制要件の遵守とリスク管理プロセスや投資プロセスへの付加価値を意図して、設計されています。
2014年7月、国際会計基準審議会(IASB)は国際財務報告基準(IFRS)第9号「金融商品」を公表し、国際会計基準(IAS)第39号と差し替えました。IFRS第9号は、バランスシートの分類および金融商品の測定のモデル、金融証券の減損、ヘッジ会計を更新するものです。IFRS第9号は2018年1月1日以降に始まる年度に発効しますが、早期適用も認められています。
ブルームバーグのソリューション
ブルームバーグのソリューションであるIFRS 9 SPPIテストは、IFRS第9号で更新された後の分類・測定モデルが求める契約上のキャッシュ・フローのテスト実施時に、クライアントをサポートします。つまり、70種類を超える独自の有価証券の属性を金融商品ごとにスキャンして、「元本および利息の支払いのみ(SPPI)」という要件を満たしていない可能性がある特性やキャッシュ・フローを特定することで、個別有価証券の目論見書や法定文書のレビュー・プロセスを自動化します。
イタリアの銀行グループIntesa Sanpaoloは、新規会計基準の適用を合理化するためブルームバーグのIFRS 9 SPPIデータを選択しています。この件のプレス・リリースについては、こちらをクリックしてください。
欧州市場インフラ規則(EMIR)は店頭デリバティブ規制に関する欧州の法制度で、清算、証拠金・資本、報告について規定しています。この新しい要件に基づき、標準化されたデリバティブ取引は中央清算機関を通じて清算する必要があります。また中央清算機関は、流動性が高い担保という形の恒久的かつ利用可能な個別の当初証拠金と変動証拠金を預かる必要があります。さらに、すべての店頭デリバティブ取引を取引情報蓄積機関に報告する必要もあります。
ブルームバーグのソリューション
ブルームバーグのEMIR報告ソリューションを利用すれば、参照データ・サービスを通じて取引主体分類データを、BVALデリバティブを通じて独自のデリバティブ評価を提供するほか、複数の取引情報蓄積機関への複雑な接続を構築または維持する必要なしに、取引情報蓄積機関にシームレスに接続することができます。これを実現しているのが、ブルームバーグのストレート・スルー・プロセッシング(STP)、および担保と評価の報告ソリューションです。これらは、ひとつのワークフローで(ブルームバーグまたは貴社独自の)評価を取引情報蓄積機関にシームレスに送信できるもので、高品質のデータと各種デリバティブ・プライシング・モデルを用いて、さまざまなアセットクラスや金融商品の種類に対応しています。
ボルカー元FRB議長の指示で2010年ドッド・フランク法に盛り込まれたため、ほぼすべての米国の金融機関、その関連会社、および米国で大きな存在感を持つ外資系銀行は、何らかの形で、ボルカー・ルールの影響を受けることになります。この規制の目的は、銀行が自己勘定取引に関与することを禁じる要件(ただし、マーケット・メーキング、ヘッジ、引受に関しては、特例措置が設けられています)およびヘッジファンド、プライベート・エクイティ・ファンド、大半のローン担保証券(CLO)、その他の一部の種類の証券化などの「対象ファンド」における持分の売却を銀行に義務付ける要件を通じて、銀行の短・長期取引リスクを軽減することにあります。
ブルームバーグのソリューション
ブルームバーグの全社的なソリューションを利用すれば、銀行は最小限の手間をかけるだけで、迅速かつ効率的に対象ファンドを特定できます。すなわち、証券化やCLOの関係文書から関連する詳細を自動抽出して、対象ファンドを特定するとともに、所有者の内訳、案件の種類、トランシェ、担保に関する詳細を提示します。また、明確に文書化できない場合には、法的に精査する必要性を示すフラグを設定することも可能です。ブルームバーグのソリューションにより、銀行は最も複雑な評価にリソースを集中させること、対象ファンドのスポンサー状況を追跡調査すること、および持分に関連するTier 1資本の限度額を計算することができます。バイサイドの金融機関は、市場流動性や価格差を見極めて、対象外のファンドの需要を左右することも可能です。
欧州保険業向けの自己資本規制を抜本的に見直ししたソルベンシーIIは、保険会社の資産と負債の報告および評価を標準化するとともに、市場リスクと負債管理を考慮に入れた保険会社向けの最低自己資本所要額を導入するものです。この規制は、自己資本所要額の義務付け、リスク管理基準とガバナンス基準の強化、および開示、報告、透明性の改善により、保険契約者の保護を強化することを目指しています。
ブルームバーグのソリューション
ブルームバーグは高品質の参照データと価格データを提供して、保険会社がソルベンシーIIの重要な要件を満たすようお手伝いします。ソルベンシーIIデータ・パッケージは、ソルベンシーIIの定量報告テンプレート(QRT)で必要とされる必須の補足IDコード(CIC)や欧州経済活動統計分類(NACE)だけでなく、取引主体識別子(LEI)、最終親会社、有価証券のID、デュレーション、格付、証券種類も表示します。それに加えてブルームバーグの評価サービスであるBVALは、債券およびデリバティブ証券に関して透明性が高く妥当な価格を表示します。
欧米と異なり、アジア・太平洋地域の多様な経済や法域における規制へのアプローチは、ひとつにまとめられていません。バーゼルIIIなど、一部の世界的な規制は広い範囲で導入されつつありますが、アジア・太平洋地域の傾向はさらなる拡散と細分化、すなわちアジア・太平洋地域の規制のさらなる局地化に向かっています。
ブルームバーグのソリューション
ブルームバーグのAPAC規制(AREG)は、アジア・太平洋地域の市場および進化し続けている域内の店頭デリバティブと資本市場に関する規制について、情報を提供します。AREGでは、域内規制動向の今でも流動的で細分化している性質を後押ししている4大ポイント、すなわちリスク管理、デューデリジェンス、規制当局への報告、取引のコンプライアンスに対応しています。
ソリューション
ブルームバーグは世界の市場の規制当局やお客さまと継続的に連携を図り、引き続きあらゆる規模や種類の規則・規制の改正に即した商品を提供して参ります。ブルームバーグの既存のソリューションは、企業や組織が次のような国内外の幅広い規制を遵守できるようサポートしています。
- 欧州オルタナティブ投資ファンド運用会社指令(AIFMD)
- 米国の外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)
- 米国のフォームPF
- 欧州銀行監督局(EBA)の健全な評価に関する規制
- 米国の会計基準編纂書(ASC)トピック820
- IFRS第13号
- 米国内国歳入法第871(m)条
- EUの金融取引税(FTT)
- BCBS 239