2026年コモディティ年央レビュー

Read the English version published on July 10, 2026.

主要ポイント

  • ブルームバーグ商品指数(BCOM)で示されるコモディティは、2026年上半期としては過去有数の好スタートとなり、年初来で14%上昇しました。同様の値動きは、2022年に大規模な地政学的紛争が発生した際にも見られました。
  • BCOMではエネルギーセクターがパフォーマンスをけん引した一方、他のセクターの寄与はほぼ中立的でした。
  • 年初に「2026年コモディティ見通し」で掲げた主要テーマ、すなわち工業用金属が貴金属を上回るパフォーマンス、供給混乱、気温上昇などは、上半期終了時点で既に現実のものとなっています。

本稿は、ブルームバーグで商品指数を担当するプロダクト・マネジャーのJim Wiederholdが執筆しました。

年初に「2026年コモディティ見通し」で掲げた主要テーマ、すなわち工業用金属が貴金属を上回るパフォーマンス、供給混乱、気温上昇などは、上半期終了時点で既に現実のものとなっています。

ブルームバーグ商品指数(BCOM)で示されるコモディティは、金と銀が史上最高値を更新し、その後、米国・イラン戦争の発生を受けて原油価格が2倍に上昇したことで、2026年上半期としては過去有数の好パフォーマンスとなりました。

プロダクトについて

ブルームバーグ商品指数

図表1aおよび1bの季節性チャートから分かるように、第2四半期にかけては、貴金属およびエネルギー価格が2022年と同様のパターンで調整局面となり、コモディティ価格全体も下落しました。

BCOMのトータルリターン(オレンジ色)は、2026年最初の4カ月間は上昇基調で推移しましたが、6月末には5月の高値を14%下回る水準となりました。このパターンはロシア・ウクライナ戦争が始まった2022年(青線)と同様に、価格が上昇した後、調整局面に入る動きとなりました。さらに四半期ごとのヒートマップでパフォーマンスの季節性を見てみると、BCOMは第1四半期に約25%上昇した後、第2四半期には比較的小幅な調整となる傾向が見られます。

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Commodities Total Return Seasonality Between 2021 and 2026
Commodities Total Return Seasonality Between 2021 and 2026

2026年上半期のコモディティ市場はエネルギーがけん引

2026年上半期におけるBCOMの14%上昇は、主にエネルギーセクターがけん引しました。BCOMエネルギーは38.7%上昇した一方で、穀物、工業用金属、家畜の各セクターはそれぞれ1桁の上昇率にとどまりました。残りの2つのBCOMセクター、貴金属およびソフトコモディティは、いずれも年初来で1桁台の下落率となりました。

BCOMのパフォーマンスを押し上げた主な要因は、原油および石油製品でした。これらのコモディティは、歴史的に地政学的紛争が発生すると真っ先に反応する傾向があります。今年の大規模な供給停止は、過去最大級の石油ショックを引き起こし、価格もそれに応じて大きく反応しました。当社の「インデックス2026年展望:コモディティ」の第2のテーマでは、地政学的紛争が供給の流れを寸断し得ることを指摘しました。こうした動きは、近年、石油市場全体で以前より頻繁に見られるようになっています。

今年はテーマ自体は的を射ていましたが、何カ月にもわたる混乱が続く中、その影響の大きさや紛争の長期化までは予測できませんでした。図表2のブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の石油ヒートマップは、時間の経過とともに原油価格を動かしてきた要因を示しています。全体として、2023年以降は原油価格の下押し圧力が続き、今年初めには価格は低い水準にありました。一方、今年は米・イラン戦争以外にも原油価格の上昇余地を引き続き支える重要な要因がいくつか存在しています。

Exhibit 2-Oil Heatmap from 2022 to 2026

貴金属は史上最高値更新後に反落

エネルギー以外では、貴金属が過去有数の好調な上半期となりました。価格は史上最高値を更新した後、急速な調整局面に入りました。金現物の長期保有者による利益確定売りが、この動きに影響した可能性があります。準備資産として記録的な量の金を購入してきた中央銀行も、価格が史上最高値を更新して需要が弱まったことから、年初には購入ペースを鈍らせました。

特に金は、このような値動きをたどる傾向があります。これまでも、価格が大きく上昇した後には、調整局面に入るケースが見られました。通常、その後は数カ月から数年にわたるレンジ相場を経て、再び数十年規模の上昇トレンドへと移行します。最近の金価格下落の主な要因は大幅なドル高であり、ドル高は一般に金価格の上昇を抑える要因となります。

米連邦準備制度理事会(FRB)の新議長が承認され就任したことを受け、市場では米FRBの将来の政策運営について、それまでのハト派寄りとの見方から、物価安定をより重視するとの見方へと変化しました。このため、トレーダーは金利見通しを修正しました。今後の追い風となり得る要因の一つは、価格調整後に中央銀行が再び金の購入を始める可能性です。図表3は、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の最新の調査結果を示しています。同調査では、中央銀行が今後12カ月以内に金準備を増やすとの見方が、2019年以降で最も高い水準となっています。

Exhibit 3- Expected Central Bank Gold Reserves Change Over the Next 12 Months

穀物、大豆油、天候変動がリターンを左右

2026年上半期の穀物価格は、乱高下しました。トウモロコシ、小麦、大豆は5月にかけて年初来高値まで上昇しましたが、第2四半期末にかけて上げ幅の一部を縮小しました。小麦と大豆は年初来でなおプラス圏を維持していますが、トウモロコシは米国で豊作となったことから、年初来ではマイナスに転じています。

大豆油はBCOM構成商品の中でも際立ったパフォーマンスを示し、BCOMBOTRは2026年年初来で44%上昇しています。米国環境保護庁(EPA)は、2026~2027年の再生可能燃料基準(RFS)を大幅に強化し、大豆油を主要原料とするバイオ燃料の利用拡大を正式に決定しました。需要拡大を織り込んで市場参加者は先物の買い持ちを積み増し、ネットロングポジションは、2006年に開始されたCFTCのマネージドマネー統計で過去最大となりました。

世界各地で猛暑が観測され、特に6月には、欧州で初夏としては記録的な高温に見舞われました。投資家の間では干ばつへの懸念が引き続き大きく、米海洋大気局(NOAA)はエルニーニョ現象の発生を確認しました。図表4は、エルニーニョ現象が世界各地、特に穀物や農産ソフトコモディティの生産地域にどのような影響を及ぼすかを示しています。

Exhibit 4: El Nino’s Global Reach – Potential Impact of Cyclical Pacific Ocean Warming Around the World

貴金属がモメンタムを失う中、工業用金属が上昇

「インデックス2026年展望:コモディティ」で掲げた最初のテーマである「工業用金属が貴金属をアウトパフォームする」という見通しは、上半期終了時点で的中しています。BCOM工業用金属は6月末までに6.6%上昇した一方、BCOM貴金属は7.6%下落しました。これは、2026年以前に貴金属が主導していた流れが逆転したもので、上昇トレンドの勢いが鈍化し、貴金属価格の高騰によって買い手が減少すると、こうした現象が起こり得ます。

一方で、工業用金属は供給制約に直面しているほか、世界的なエネルギー転換を背景に、今後需要が拡大する可能性もあります。各地域でエネルギー構成に占める再生可能エネルギーの比率が高まる中、市場参加者はこうした動きを真剣に受け止め始めており、工業用金属価格の上昇を見込んだポジションを積み増しています。

変動の大きいマクロ環境におけるコモディティ分散投資

今年は米国・イラン戦争の発生に伴って石油ショックが発生しましたが、中国では陸上在庫が供給混乱の影響を吸収したため、原油輸入は大幅に減少しました。石油価格の抑制に寄与したもう一つの要因は、中国で電気自動車の普及が加速したことですが、電気自動車の普及には大量の工業用金属が必要となります。このトレンドが続けば、世界的な電化の進展に伴い、金属需要が高まる一方で化石燃料への依存は低下し、石油需要も縮小する可能性があります。

BCOMは、コモディティに追い風となるマクロ経済環境の下で、相関の低い幅広いコモディティへの投資をポートフォリオに組み入れることによる分散効果を引き続き示しています。原材料の不足、脱グローバル化、戦略的備蓄、そして供給途絶の増加といった要因が重なり、コモディティ資産クラスにとって良好な投資環境を支えています。

1970年代や2000年代のコモディティ強気相場で見られたように、この流れは2020年代を通じて続くのでしょうか。今後の推移を見極める必要があります。

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

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BISLは、英国およびウェールズにおいて登録番号08934023で登録され、所在地は英国・ロンドン・クイーン・ヴィクトリア・ストリート3番地、EC4N 4TQです。BISLは、ベンチマーク管理者として金融行動監視機構(FCA)により承認・規制されています。

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