テーマ型投資が塗り替える株式市場

Read the English version published on November 3, 2025.

主要ポイント

投資家はテーマ型インデックスをどう活用すれば、経済の大きな成長トレンドに沿ったポートフォリオを構築できるのでしょうか。本稿では、ロンドンで開催されたブルームバーグの主要イベント「ETFs in Depth」で紹介された専門家の知見を取り上げます。データやAIツールを活用することで、セクターの枠にとらわれない投資機会をどのように見いだせるのか、そしてその発見が、構造的な市場の変化に合わせてルールベースでカスタマイズ可能な投資戦略の構築にどのように役立つのかを探ります。

ETF市場は加速度的に拡大しており、現在の運用資産は15兆ドル、2035年までに35兆ドルに達すると見込まれています。さらに、1日にほぼ3本のペースで新たなETFが登場しています。中でも特に急成長しているのがテーマ型インデックスで、AI、遺伝子工学、グリーンエネルギーへの移行など、経済を形成するトレンドに投資できる手法です。ブルームバーグが開催したロンドンでのETFs in Depthでは、こうしたテーマ型投資の進化や株式市場への影響について、専門家が知見を共有しました。

テーマ型インデックスの進化を理解するには、従来のセクター別・業種別インデックスとどう異なるのかを見極めることが重要です。テーマ型インデックスでは、長期的な構造変化の恩恵を受ける企業を、セクターの境界にとらわれず幅広い業種から選定します。例えば、ブルームバーグのテーマ戦略部門責任者、Breanne Doughertyが説明するように、「AI」というテーマはテクノロジー企業の枠を大きく超えて広がっています。

Doughertyは次のように述べています。「私たちが気づいたこと、そして私がテーマ型投資に魅力を感じた理由の一つは、グローバル株式市場環境の従来の見方では、強力な長期的成長トレンドが実際にどこにあるかが十分に反映されていなかったということです。テーマ型投資は、成長の源泉に注目することで、投資家の機動性を大幅に高めます。その成長に事業モデルとしてエクスポージャーを持つ株式銘柄を特定しているのです」と語ります。

また、現在の市場を動かすテーマの一つ、AIに焦点を当てると、「表面的にはテクノロジー中心のトレンドのように見えます」と述べつつも、「ただし、テクノロジー企業だけに焦点を当てると、独シーメンス・エナジーや米GEベルノバといった大手再生可能エネルギー企業がAIの分野でどれほど重要な役割を果たしているかを見逃しかねません。テーマ型投資は、成長の起点に注目しているため、投資家の機動性を大幅に高めます。その成長に事業モデルとして関わりがある株式銘柄を特定しているのです」と語ります。

テーマ型インデックスファンドへの投資は、資産規模やファンド数の増加に伴い、ここ数年で急増しています。2020年代前半のような成長はやや落ち着いたものの、新たなテーマや投資手段が続々と登場する中、この分野のイノベーションが引き続き投資家の関心を集めています。

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テーマ型インデックスはどのように作られるのか

資産運用会社が新たな成長トレンドを見極めようとする中、テーマ型インデックスは急速に拡大しています。ただし、アイデアをルールベースのインデックスへ落とし込むには、膨大なデータと高度な分析が欠かせません。

投資家はまず、自身の投資テーマへのエクスポージャーを大まかに反映した既存のインデックスから出発し、そこから目的により合った形へとカスタマイズしていくのが一般的です。

市場データと投資リサーチがそのプロセスの指針となります。Doughertyは次のように述べています。「この長期的な成長トレンドに最も関与しているのはどの企業か、このテーマは具体的にどのようなものか、エクスポージャーはどのように分類されるのか、こういった点を解き明かしていきます。標準的な業種分類を超え、対象の企業を綿密に分析している実際の業界専門家とも対話して情報を収集し、それを活用して実際のテーマ別ユニバースに組み込む必要があります」

ブルームバーグのコモディティ・暗号資産インデックスプロダクト部門統括者、Jigna Gibbは次のように述べています。「メディア報道もインデックス構成の情報源となり、インデックスの形成に影響を与えることがあります。テーマを策定する上で、文書検索は不可欠です。投資家は、リサーチやニュース、音声の文字起こしを横断的に検索し、経営陣やアナリスト、記者が何を語り、何を重要視しているのかを把握できる必要があります」

テーマ型インデックスの構築では、バックテストや改良を何度も繰り返す必要があります。しかし一方で、進化する機会を捉えるには、インデックス構築を迅速に行う必要もあります。インデックスに関する専門知識、AI、機械学習ツール、そして広範で高品質なデータへのアクセスがそろうことで、そのプロセスがより効率的かつ効果的に進みます。

次世代のテーマ型インデックスをけん引する要因

こうした分析能力の進展は、新たな商品・戦略創出を後押ししています。インデックスプロバイダーやETF発行体は、欧州の防衛や国家安全保障など、急発展を遂げているテーマに関する新たな戦略を策定できます。

ロシアとの緊張が高まる中、欧州各国政府は自国の安全保障への資金拠出を強化しており、欧州の防衛予算は過去10年間で急増しています。欧州理事会の報告によると、EU加盟国の防衛支出は2024年に3430億ユーロ(約62兆円)に増加し、2023年から19%増、2021年から37%増となりました。同時に、政府がテクノロジーへの取り組みを強化する中、防衛支出の性質が変化しています。

欧州防衛テーマ型インデックスは、各国による軍事組織の構造変化を反映しています。戦車やミサイルなどの従来型装備と同様に、AIや無人ドローンなどのテクノロジーを活用していることが背景にあります。ブルームバーグのグローバル防衛インデックスでは、現在の構成比は工業企業が77%、テクノロジー企業が18%を占めています。

これらのテーマ型インデックスは、現在、主に公開株式を対象としていますが、非公開市場の拡大に伴い、新たなツールによって非公開企業も取り込む余地が生まれています。Doughertyは次のように説明しています。「テーマの構築を考える際、必ずしも企業の開示情報だけを検討するわけではありません。対象企業が最近、非公開企業に投資しているかどうかについても検討します。さらに、それら非公開企業は何に注力しているのか、そこから、その企業がどの事業エクスポージャーを拡大しようとしているのか、どのようなイノベーションの波を取り込もうとしているのか、ということにも注目します」

ブルームバーグのソリューションはテーマ型インデックスの作成にどう役立つのか

ブルームバーグは、詳細な分析とターミナル機能を通じて、テーマ型インデックスの構築を支援します。例えば、ターミナルで利用可能なTLTS機能を使えば、任意の戦略の競争環境に対する有用な情報を入手し、類似するETFのリアルタイムかつ詳細な分析結果を把握できます。名称が類似するテーマ型インデックスでも、保有銘柄、業種エクスポージャー、バリューやグロースの特性が大幅に異なる場合があります。TLTS機能では違いを容易に識別できるため、マーケティングチームは自社商品の強みをより明確にし、競合ETFとの差別化を図ることができます。

ブルームバーグのデータリソースは、数千銘柄について、発行市場と流通市場の両方における流動性を即座に把握することで、取引効率の向上にも役立ちます。ポートフォリオマネジャーやトレーダーは、ETF戦略オプティマイザーなどのツールを使用することで、ワンクリックで大規模なETF取引リストを効率的かつ効果的に管理できます。このツールでは、複数のETFとその対象銘柄を分析し、市場への影響を最小化できる相関取引のパッケージを迅速に特定します。

ETFs in Depthのカンファレンスで共有されたより詳細な知見については、こちらおよびこちらをご参照ください。ブルームバーグ・テーマ型インデックスの詳細は、こちらからご確認いただけます。

本稿の内容は、2025年7月にブルームバーグがロンドンで開催したETFs in Depthにおけるパネルディスカッションおよび対談で得られた知見に基づいています。

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

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