2019.02.12 – 2019.02.13

東京証券取引所ホールにおいて2月12日、金融庁・日本取引所グループ(JPX)共催シンポジウム「TCFDを巡る企業と投資家の対話:今後の展望」、そして翌13日 ブルームバーグ東京オフィスにて経済産業省・TCFD共催シンポジウム「企業と投資家の対話―TCFD・シナリオ分析」が開催されました。シンポジウムのために来日したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース) スペシャルアドバイザーのメアリ・シャピロ、事務局のカーティス・ラベネルの他、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)理事長の髙橋則広氏や国連責任投資原則協会(PRI)理事でありGPIF理事兼CIOも務める水野弘道氏、金融庁国際室長の池田賢志氏、現TCFD日本人メンバー、三菱商事サステナビリティ推進部長の藤村武宏氏、TCFD初期メンバー、東京海上HD事業戦略部参与の長村政明氏、日本版TCFD研究会座長の伊藤邦雄一橋大学特任教授ら専門家が一同に会し、基調講演やパネルディスカッションを通してTCFDの意義や企業と投資家の対話の方向性について活発な議論を交わしました。事業法人・金融機関を中心とする参加者の数は2日間で延べ600人以上、定員を超える応募者の数が関心の高まりをうかがわせるものとなりました。(各日のプログラム、登壇者のプロフィール等は日付のリンクをご参照ください。)

6月のG20を前に、情報開示へ向けたガイダンスを発行
気候関連財務情報開示については、ビジネスや投資の世界においてその必要性が急速に受け入れられつつあります。G20金融安定理事会(FSB)の提案で設置され、当社の創業者であるマイケル・ブルームバーグが議長を務めるTCFDによる最終提言(2017年6月)を受け、今後、これが企業開示のメインストリーム化していく兆候が見られます。今年6月に初めて議長国として大阪でG20サミットを開催する日本では、GPIF環境省等を始めとする55機関・企業が賛同表明(2月13日現在)しているほか、経済産業省は開⽰を進めるための第⼀歩として、世界に先駆けて80ページに及ぶTCFDガイダンスおよび事例集を発行しました。

求めるのはコミットメントではなく、経営の方向性
開示に際しては、「これからはマネジメントが気候変動を踏まえた経営方針を持っているかどうかが問われるようになる」という声が多くありました。また媒体については、まずは一般的なCSR報告書や統合報告書から段階的に多様化していき、将来は有価証券報告書でも何らかの記載を求められる可能性があるとしています。シンポジウムのなかで金融庁は2019年1月31日付で公布・施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正にも言及、「事業等のリスクについては、顕在化する可能性の程度や時期、リスクの事業へ与える影響の内容、リスクへの対応策の説明を求める」ほか、「不確実性の内容やその変動により経営成績に生じる影響等に関する経営者の認識の記載」を求めていく等の方針を明らかにしました。

TCFD提⾔の趣旨に対する賛同企業/機関数は、大手事業法人や金融機関を中心に世界全体では約600近くまで急速に拡大しており、日本は米国、イギリスに続いて世界第3位となっています。またG20でも、気候変動対策が議題の一つとして取り上げられる見通しで、安倍総理大臣も1月の世界経済フォーラムの年次総会スピーチにおいて気候変動にふれ、TCFDに沿うガイダンス策定を公表、賛同企業・機関はさらに増えると期待されています。(TCFD賛同にご関心のある方はこちらから。)

シナリオ分析には「より正確なデータ」で「まずできることから」
TCFD提言で課題となっている「不確実な将来をとらえたシナリオ分析」については、世界各国の投資家・企業・政府機関に向けて新エネルギーについての情報と分析を提供するブルームバーグNEFの専門のアナリストから、シナリオ分析の考え方について解説がありしました。さまざまなシナリオのどれを選ぶのか、また将来予測では「より正確なデータの把握」が重要であり、さらに「予想結果」の解釈において考慮するべき点や、「国・地域によるリスク」についても掘り下げて解説しました。

BNEFの2050年までの長期エネルギー予測:太陽光と風力が電源の50%を占める

Source: ブルームバーグNEF; IEA

また、経済産業省や環境省のイニシアティブで数社の事業法人が現時点での取り組みを発表、「完璧を目指すよりも、できるところから始める、とにかくひとつでも出してみることが重要」だと強調されました。シナリオ分析の導入に向けた社内部門横断的な論議を開始することが必須であるとし、「マネジメントとのライン」があったのが大きかったとの指摘もありました。両省とも引き続き企業をサポートしてベストプラクティスを積み上げていく方針で、「各企業が気候変動の実態を把握し、世の中の変化とその影響への洞察力・感度を高めることで、様々な変化に対するレジリエンスを高め、それが企業の持続可能性に大きく寄与する」としています。

対話のためのコンソーシアムの設置
今後の動きとしては、4月に経済産業省と金融庁による対話のためのコンソーシアムの設置など、さまざまな施策の展開が予定されています。企業に求められているのは、いかに経営陣を巻き込み、数字では表しにくい気候変動を見据えた長期戦略を開示し、投資家と有効な対話につなげられるかどうかといえそうです。日本の官民を挙げての素早い動きにTCFD事務局からも「非常に注目しており、次のG20議長国であり、優れた環境技術を保有する日本に期待している」とのコメントがありました。

以下講演とディスカッションの内容について、4つのテーマ(公的セクターの動向、企業側の課題と対策、投資家サイドの期待、今後の方向性)別にまとめましたのでぜひご一読ください。

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