ブルームバーグでは、12月14日、「激変迫る2019年の世界的信用リスクとテクノロジートレンドを読み解く」と題し、著名なゲストとブルームバーグ・インテリジェンスの日本人アナリストによる2019年の経済・産業を展望するセミナーを開催いたしました。米中の貿易戦争、保護主義に起因する各国間の外交問題の勃発など、世界各地で目が離せない状況が続くなか、2019年にも新たな「想定外」は起きるのか、活発な議論が展開されました。
クレジットスプレッドが広がってきている
基調講演では、BNPパリバ証券の市場調査本部長 チーフクレジットアナリスト / チーフESGアナリスト 中空 麻奈 氏が、クレジットスプレッドが広がってきていることをどう捉えるべきか、世界的な信用リスクの現状を分析しました。また米中の貿易戦争については過熱化、休戦、深刻化の3つのシナリオに分けて解説し、Brexitの行く末と欧州議会選挙の結果に大きく左右される欧州情勢の今後についても複眼的な観点から考察しました。中空氏はさらに、今後のクレジットバブルの潮目となるポイントを整理して述べ、クリスマスが近いことから何事もなく年明けとなる確率が高いものの、油断できないと述べました。
ブルームバーグ・インテリジェンスからはテクノロジーセクター担当 シニアアナリスト 若杉 政寛が半導体、電子部品について「ピークを過ぎ、緩やかなダウンサイクルに突入した可能性がある」と述べ、在庫増の要因について分析したほか、自動運転、5G、AI、自動化の構造変化は進行中であるなど、 2019年注目ポイントについて解説しました。また、機械・資本財セクター担当 シニアアナリスト 熊谷 侑大が工作機械受注は減速サイクルが継続、設備投資と中国の動向についても減速感があるとし、資本財セクターのサイクルボトムは2019年半ばと予測しました。
ネット接続元年2025年予測の60%は実現か
休憩をはさんで、「分解スペシャリスト」として知られるフォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ 柏尾 南壮 氏が登壇。新型スマホや電気自動車を「分解」し、先端技術トレンド、5Gとその後についてお話しいただきました。柏尾氏は、iPhoneの変遷について、高耐圧大容量部品へのニーズの高まりが背景にあるとし、またXR不調の要因は価格設定とシングルカメラだろうと述べました。他国スマホについてはデュアルSIM用のスロットや5G 部品搭載準備が進み、5Gについてはミリ波登場で新材料の出番があるだろうと予測しました。さらに「ネット接続元年」とされる2025年には衣類の10%がネットに接続、3Dプリンタ製の臓器が移植、自動車の10%が無人運転、3Dプリンタ製自動車がリリースする等の予測の60%は実現するだろうと述べました。
その後4名の登壇者によるパネルディスカッションが行われ、たくさんの参加者の皆さまからは、「大変参考になった」との声を多く頂き、また「複眼的な見方ができ、興味深かった」「マクロからミクロまでカバーし、バランスよかった」との感想がありました。
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