キャリア形成で重要となってくるのは、適切な自己啓発そして人材育成です。しかし実際には、自分の強みや希望を周りにどのように伝えればいいのか、あるいは、上司として部下をどのように支援すればいいのか、悩む場面も多々あるのではないでしょうか。
ブルームバーグ・ウーマンズ・バイサイド・ネットワーク(BWBN)日本チャプターでは、5月26日と6月2日、「人の育て方、自分の育て方」と題し、Q&A形式でBWBN設立エグゼクティブとメンバーとのインタラクティブなオンライン座談会が開催され、バイサイド各社で働く幅広い層の皆さまにご参加いただきました。
今回は「自分自身の強みを発掘しアピールする方法」「部下の強みを発掘し育成する方法」がテーマです。少人数での質疑応答のしやすさを重視し、各日程でグループに分かれて、BWBNエグゼクティブメンバーからのアドバイスを得ながら、自分を育て、人を育てる上でのさまざまな課題に対して、意見を交換し解決への道筋を探りました。個別の状況は異なるものの、発想の転換を促すさまざまな工夫や示唆にあふれたアドバイスが参加者同士で共有され、大変意義深い時間となりました。
上司としての立場、部下としての立場、それぞれの視点から貴重なアドバイスや体験談を率直に伝えてくださった設立エグゼクティブメンバーおよびご参加の皆さまにこころより感謝いたしますとともに、すぐに実践できそうなものを中心に事務局でまとめさせていただきました。
Day1: 5月26日 ランチタイムセッション
ゲストスピーカー:
■ 野村アセットマネジメント株式会社取締役会長 中川 順子 氏
■ ベイビュー・ アセット・マネジメント株式会社 代表取締役副社長 下城 理重子 氏
Day2: 6月2日 イブニングセッション
ゲストスピーカー:
■あいおいニッセイ同和損害保険会社 代表取締役副社長執行役員 赤林 富二氏
■アライアンス・バーンスタイン株式会社 代表取締役社長 阪口 和子氏
■ 自分を育てよう
- メンターを持つ、ピアのフィードバックを受ける:迷ったときにアドバイスを受ける(組織以外でもOK)、悩みは自分でかかえていても解決しにくいので異なる環境にいる人の意見を聞く
- キャリアデザイン:自分の功績をメモに残す。3年単位で整理して自身の職務経歴書を作っていく
- 復帰後を考えておく:ライフイベントでキャリアにブランクを作らないために、気を抜かずに実績を残す。復帰後どう働きたいか、ざっくりとで良いので伝えておく
- 長期的視点を持つ:不得意な事、関係ないように見えることでもどこかで役に立つので、いろいろなことにチャレンジを
- リセットする:くよくよしないで切り替える。なぜ起きたのかを理解すれば対応策もみえてくる
■ 上手にアピールしよう
- 伝え続ける:自分の意見や前向きな気持ちをことあるごとに伝え続ける。半期に一度以上、上司と話し合う機会を持つ。フランクにキャリアの話をする
- タイミングを図り、建設的に:唐突に「昇格したい」と言われても頑張ってね、としかいえない。昇格で自身や組織にとって何が変わるのか、建設的な伝え方を
- 成果物が見える形であるときはチャンス:感謝を伝えつつ、自身が頑張ったことを自分の強みと一緒にアピールするのは効果的
- 提案する:ポジションが空かない時には、組織として後継者を育てる必要性を伝えてみる
- 紙に書き出して伝える:一定のフォーマットに落とし込む、あるいは紙に書きだすことで、上司にも説明がしやすく、理解もされやすい
■ 機会を与える、腹をくくる
- 機会を与える:チャンスをあげないと強みもわからない。発表する機会を与える。やったことのないことにも挑戦する機会を。手は出さず、いつもの2倍くらい細かくチェックしてあげる
- 失敗しても大丈夫と伝える:失敗で世界が終わるわけではない。間違ったら大変という雰囲気にしない。上司が責任とる覚悟で、失敗体験を前向きなメッセージとして伝える。次のチャンスも与える
- 他部門リーダーあるいはピアのフィードバックを聞く、共有する:他部門の声を聞くとその部下の別の強みが見えてくる。上司として自身の価値観の範疇だけで限定しないように客観性を持たせる
- チームの強みを生かすにはリスクは部門長がとると言う覚悟を:ちょっとやそっとの失敗は部門長がかぶると肝を据える。部下はいい話のみではなく、リスクもすべて正直に上司に話すこと
- コントロールできることとできないことを切り分ける:管理職になると、自身がコントロールできない問題が次から次へと出現する。切り分けができなければ処理できない
■ 日々のコミュニケーション
- 1-1ミーティングを活用:非公式に普段話せないことを1-1で聞いてあげる機会を作る。望み叶わずとも納得感を持ってもらえる。グループでもいいが、日本人は傍目を気にして言えない場合も
- 何でもない雑談の時間を大切に:「最近どう?」とフランクに話を聞く時間を作る
- 活躍してもらいたいというメッセージを発信する、ロールモデルを示す:あなたに育ってもらえないと組織も困る、活躍してもらいたいというメッセージを発信。組織への貢献を本人も実感できるようにする
- 客観的な意見にも目を向けてもらう:本人の好き嫌いだけでなく客観的な意見も聞いてみてほしいとリード。反発も当然あるが、とりなしていく
- 無意識に潜むギャップ:話し言葉のボキャブラリーに垣間見える無意識下のギャップに気をつける
コロナ下という特殊な環境にあって、在宅勤務が長引くことで孤独感や距離感も生まれがちなため、部下や同僚とのコミュニケーションの方法や仕事と私生活の境目がつきにくくなっている状況について悩む声も多く聞かれました。「基本出社」あるいは「ほぼ在宅」など、企業により勤務事情はさまざまですが、以下はコロナ下において参加者の皆さまが特に工夫されていることや、気をつけていらっしゃることをまとめたものです。全体を通して強調されていたのは、日々の業務を少しはなれたところでの、雑談も含めた日常のコミュニケーションの重要性でした。
- リモートで毎朝定例的にコミュニケーションをとる
- 在宅勤務で、リモートで画面をつなぎっぱなしという職場も
- 気楽なちょっとした雑談の時間を部門内、部門間で意識的に作る
- リモート会議前後にチャットでフォロー
- 部下と出社日を合わせる工夫や何かあればすぐに電話で確認
- 部門を超えたコミュニケーションにも配慮:仕事以外で話をする時間を日常的に持つことで、組織への帰属感が生まれたり、本音が聞ける場合も。コミュニケーションが円滑に進むように
- オンとオフを切り替える、夜8時以降のメールには返信せず、翌日対処
- 午前中に日光を浴びる、散歩をして体内時計を働かせる
アンケートにいただいた感想を抜粋してご紹介いたします。ご協力ありがとうございました。
- コロナ禍で社内のコミュニケーションすら満足にとれない中、社外の方からの貴重なインプットをいただき、前向きになるいい機会を頂戴しました。ありがとうございました。
- 自分と会社の業容が異なる方からのコメントは大変有益でした。
- 大変楽しく、充実した1時間でした。笑顔が止まらない時間でした。
- 素晴らしい企画です。まさか野村AM中川社長とエンゲージメントできるなんて思いも寄りませんでした(笑)。大変光栄であり、大感謝・御礼申し上げます。
- リモート環境だったので、場所を選ばず自由に参加できたのは便利でした。内容的にもとても興味深く、参考になりました。社内でもシェアしようと思います。
- 同じような悩み・迷いを持つ、社外の方のご意見もうかがえたので貴重な時間を過ごすことができました。
- フランクな話が非常に興味深く、one-on-oneの話なども共感出来て自分ひとりではないと言う事分かるだけでもとても有意義でした。参加者の方も話に気軽に参加出来るというのは斬新でした。
- 男性として最初ジョインしていいか少し戸惑いましたが、前回のセミナーもとても興味深く、今回も思い切って参加し、他の参加者で男性が普通にいたので落ち着きました。女性メインの問題の前提でも、セミナーの投票の結果のように男性・女性別々の認識ではなく、男性として共感・共有している箇所はいっぱいありました。
- このような会社を超えた非公式なネットワーク作りを進めていただけるとありがたいです。
バイサイドに従事する女性を支援するコミュニティとして、2018年にシンガポールで創立されたBWBNは、その後インド、香港、東京へと活動の場を拡大してきました。
2020年9月の発足以来、BWBN日本チャプターでは、バイサイドにおけるキャリアの多様性の実現とインクルージョンの促進を目指し、さまざまな機会を通じて啓蒙活動を続けています。今回のような普段なかなか接することができないエグゼクティブメンバーとの貴重な交流がはかれる意見交換会のほか、皆さまのご意見やご希望にお応えできるようなイベントを今後も企画して参りますので、ぜひBWBNネットワークへご参加ください。
■ ネットワークメンバー募集
BWBNには、バイサイドに所属する方であれば、性別、役職を問わずどなたでもご参加いただけます。お申し込み、ご質問やご要望はBWBN日本チャプター運営事務局(bwbnjp@bloomberg.net)までお気軽にお問い合わせください。