Read the English version published on October 29, 2020.
本稿はIris Wangが執筆し、ブルームバーグターミナルに最初に掲載されました。
⽇本の不動産投資信託(J-REIT)は2020年、苦境に⾒舞われました。新型コロナウイルスでオフィスから従業員がいなくなったためです。こうした状況は⽐較的割安なREIT銘柄に狙いを定めるには好機となる可能性があり、このストラテジーを5年間のバックテストで検証するとアウトパフォームとなりました。
ラインチャートとブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のチャートツールを⽤いて、特定のセクターのパフォーマンスやファンダメンタルズを確認できます。株式バックテストを実⾏し、望ましい特性を備えた銘柄に絞り込んだストラテジーを構築します。
J-REITのパフォーマンスとボラティリティーを⽰すチャート
⾹港のBI不動産アナリスト、パトリック・ウォン⽒によると、東京都内のオフィスでの密を避ける動きが需要を下⽀えする可能性があります。⾸都圏の家は狭く、在宅勤務の魅⼒が少ないためです。そのため2021年のプライムオフィスビルの空室率は限定的だろう、とウォン⽒は述べています。
J-REITは過去10年間のうち前半は荒れ模様でしたが、堅調な上昇トレンドを取り戻しています。確認する⽅法は以下の通り:
- コマンドラインに「s&p japan reit」と⼊⼒し、「SJPLRT IndexーS&P Japan REIT (Local Currency) Gross Total Return Index」を選択。メニューから「GP – ラインチャート 」を指定。クイック⼊⼒は「SJPLRTIndex GP」。
- 画⾯右上の「チャートを編集」をクリック。「<追加>」欄に 「msci us reit」と⼊⼒し、「RMSG Index -MSCI US REIT Gross TR」を選択。同様に「MXWO Index – MSCIワールド指数」を追加。
- 「<追加>」欄に 「volatility 30 day」と⼊⼒し、ポップアップで表⽰される「項⽬の追加」ウィンドウですべてを選択して[Update]ボタンをクリック。
- ⾚⾊のツールバーにある[編集]ボタンをクリックし、「銘柄&データ」を選択。ボラティリティーの3本のラインについて、「パネル」の反転欄を「2」に設定。
- グレーの「標準化」タブをクリックし、「標準化パネル1」で「変動率」を指定。「標準化パネル2」のチェックマークを外す。
- グレーの「配⾊∕スタイル」タブをクリックし、配⾊とスタイルを割り当てる。[更新]ボタンをクリック。
- ⾚⾊のツールバーの[アクション]ボタンをクリックし、チャートを保存。クイック⼊⼒は「G #FFM 574」。
過去1年間でJ-REIT(⽩⾊)は18%下落。⼀⽅、⽶国REIT(⻘⾊)は15%下落、世界の株価(オレンジ)は13%上昇。 J-REITのボラティリティーは3⽉の急騰を経て⾜元では3指数のうち最も低く、 J-REIT指数の反騰が続きます。
開始⽇を「10∕15∕2010」に変更すると、過去10年間でJ-REITが171%上昇し、他の2指数を上回ることがわかります。
BIのデータで、このアウトパフォームの背景にあるファンダメンタルズを確認する⽅法は以下の通りです:
東京オフィス市場のファンダメンタルズ
- コマンドラインに「bi real」と⼊⼒し、「ブルームバーグ・インテリジェンス:不動産(アジア太平洋)」を選択。クイック⼊⼒は「BI REALA」。
- 画⾯右側のデータ・ライブラリー・メニューから「業種」をクリック。
- グレーの「⽇本」タブをクリックした後、「オフィス」サブタブを選択。
- 画⾯をスクロールし、「コリエールズ東京プライムオフィス」の「利回り(%)」の右横にあるチャート記号をクリック。
- 画⾯右下にあるグレーの[他のデータを選択]ボタンをクリックし、「空室率」の左横にあるボックスにチェックマークを⼊れる。次に、「取引(RCA)」の「オフィス・キャップレート(%)」の左横にあるボックスにチェックマークを⼊れる。
- 「軸」のドロップダウンメニューから「単⼀」を選択。周期を「60」カ⽉および「四半期」に設定。
- クイック⼊⼒は「BI REALA 1145 |1145-2-Q-DATA|Q60||PRC|S1609,1610,1381」。
東京の空室率(オレンジ)は8年間低下が続いていましたが、新型コロナウイルスで賃貸市場の警戒感が増して⻭⽌めがかかりました。賃料が価格ほどには下落しなかったため、利回り(⽩⾊)は4年連続で上昇。より将来を⾒越した観点では、キャップレート(⻘⾊)は4%超で推移しています。キャップレートは、予想営業純益(NOI)を不動産価格で除して算出されています。
事業縮⼩が⾒られない⽐較的割安なJ-REIT銘柄を買うという取引ストラテジーについて、検証⽅法は以下の通りです:
株式スクリーニングを⽤いて条件を設定
- コマンドラインに「equity screen」と⼊⼒し、「株式スクリーニング」を選択クイック⼊⼒は「EQS」。
- アンバーの欄に「reit」と⼊⼒し、「不動産投資信託 – 銘柄タイプ」を選択。
- アンバーの⼊⼒欄に「japan」と⼊⼒し、「⽇本 – 取引所」を選択。
- アンバーの⼊⼒欄に「price to FFO」と⼊⼒し、「価格∕FFO⽐率」を選択。右横の欄で「直近報告書」を指定。次の⼆つの欄でそれぞれ「<= – 以下」を選択し、「20」と⼊⼒した後、<GO>キーを押す。
- アンバーの⼊⼒欄に「ffo growth」と⼊⼒し、「ファンズフロムオペレーション(FFO) – 年間成⻑率」を選択。右横の欄で「直近報告書」を指定。次の⼆つの欄でそれぞれ「>= – 以上」を選択し、「0」と⼊⼒した後、<GO>キーを押す。
- ⾚⾊のツールバーにある[アクション]ボタンをクリックし、名前を付けて保存。クイック⼊⼒は「EQS /SAMPLE 17341173」。
- ⾚⾊のツールバーにある[バックテスト]をクリック。
モデルを構築し、ストラテジーのバックテストを実⾏
- 「株式バックテスティング:モデル・ビルダー」の画⾯で「分析期間」をクリックし、最初にある「スタート⽇」欄に「5」と⼊⼒。リバランス頻度を「⽉次」に設定。[更新]ボタンをクリック。
- 「分析パラメータ」をクリック。「ウエート・スキーマ」を「均等」に設定。「ベンチマークを使⽤」の左側にチェックマークを⼊れる。アンバーの⼊⼒欄に「s&p reit」と⼊⼒し、「SREITGL Index – S&P GlobalREIT USD Index」を選択。[更新]ボタンをクリック。
- 画⾯右下にあるグレーの[モデル実⾏]ボタンをクリック。
- モデルに名前を付けます。[保存&実⾏]ボタンをクリック。
- バックテストが完了すると、MSG経由でメッセージが送付されます。
J-REITバリューストラテジーに⾒られたアウトパフォーム
過去5年間のリターンは、世界のREIT指数の18%上昇に対し、J-REITのバリューストラテジーは75%上昇。グレーの「銘柄分析」タブをクリックすると、該当のJ-REIT推奨銘柄が表⽰されます。