先進国と途上国の信頼関係崩れつつあるーCOPで国連事務総長

Read the English version published on November 21, 2022.

この記事はSalma El WardanyとAntony Sguazzinが執筆し、ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されました。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、エジプトで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27) に戻った際、先進国と途上国との関係は崩れつつあると警告しました。

グテーレス事務総長はエジプトのサミットに戻り、あらかじめ準備したコメントで「北と南、先進国と途上国との間で信頼関係が崩壊しているのは明らかだ。責任のなすり合いを続けていては、お互い、確実に破滅への道を歩むことになる」と述べました。

今年の国際気候サミット閉幕まであと1日に迫ったところで、世界の温暖化に起因する異常気象が引き起こした損害を誰が補償するのかということが、解決すべき問題として大きな議論の的となりました。

グテーレス事務総長と同席したCOP27議長のサーメハ・シュクリ氏は記者会見で、「数多くの問題点について進展が見られたが、COP27の閉幕が迫ったこの段階でも、当事者間で見解の相違があり、まだ進展も見られない課題が多数残っていることは明白だ」と述べました。

ザンビア、アンティグア、ウガンダなどの国は、サイクロンや洪水、干ばつ、海面上昇などによって引き起こされた損害の修復費用が捻出できない国に補償するための新たな基金の設立を要求しています。欧州連合(EU)の欧州委員会で環境政策を統括するフランス・ティメルマンス上級副委員長は、新たな基金の設立には数年かかる可能性があるため、既存の制度を利用するのが得策だとの見解を示しました。

こうした議論の核心にあるのは、先進国が数十億ドルに上る補償金を支払わされるかもしれない制度に引き込まれたくないとの思惑と、最近汚染大国となっている中国やインドが責任を果たしていないことへの不満です。一方、途上国はというと、既存の基金を使えば適応と緩和の取り組みが損失と被害であいまいになり、援助がほとんど増えないのではないかと懸念しています。

ガボンの交渉担当者、ジータ・ウィルクス氏は、質問への回答で「予測可能で十分な途上国支援資金を新たに追加する、損失と被害専門の基金を設立することが喫緊に必要」との見解を示しました。「今こそ損失と被害への対策を講じる時です。本件については今までも声を大にしてきましたが、まだ解決策は見つかっていません」

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

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