ESGの重要性が増す中、企業財務部門が変革のけん引役に

Read the English version published on October 25, 2021.

企業がESGに焦点を当てた優先課題に取り組み始める中、特に野心的なネットゼロ目標を打ち出している企業では、社内の部門が続々とその影響を感じ始めています。ここに気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が推奨するような気候関連財務情報開示の改善に向けた注目を浴びる取り組みも加わって、各チームは多忙を極めています。

米企業の財務を担当している顧客から聞くところによると、グリーンファイナンスからESGデータの理解、雇用などサステナビリティ目標に向けて、今まで以上に重要な役割を担い始めなくてはならないというプレッシャーを企業の財務チームが感じていることは明らかです。

グリーンファイナンス

2021年に入ってから今までに米国では86件のグリーンボンドが発行されました。それに対して2019年は51件、全般的に多額の資金調達が行われた2020年は69件でした。これらの大半は企業が発行したものです。

ブルームバーグNEF(BNEF)のリサーチによると、この10年間でサステナブル債の発行額が増え、その中でもグリーンボンドが最も大きな割合を占めています。

まだグリーンボンドを発行したことがない企業でも、グリーンボンド発行について検討したことがある顧客は多く、そうした顧客の財務部門が、従来の債券に比べてグリーンボンドを発行した場合に加わる潜在的なプレミアム(「グリーニアム」)について定義するよう求められたと話しています。投資家の関心の高まりから継続的な報告要件など新たに生じるソフトコストの可能性まで、検討のうえ定量化すべき要因はいくつもあります。

グリーンファイナンスは債券に限るものではありません。短期市場では、グリーンコマーシャルペーパー(CP)も企業の財務部門が持続的な発行またはサステナブル投資を行う機会を提供します。企業の財務部門には今では、グリーンボンドのみを含むCPプログラムと、グリーンボンドと従来の債券の双方を含むハイブリッドプログラムの選択肢があります。

ESGデータを意味のあるものに

企業におけるサステナビリティの取り組みはこれまでコーポレートガバナンスチームの担当でしたが、他の部門の中でも関心は着実に高まってきています。そのため、企業の財務担当者はより多くのESG目標を推進する責任を感じるようになっています。ほんの数年前までは任意だった報告事項が今では義務化されています。以下はその例です:

  • 借り換え目的、設備投資、事業内容など、債券で得た資金の用途とクリーンな使用に関する情報収集
  • 比較可能な同業の市場と対象企業の業界におけるグリーンボンド発行状況の調査
  • 市場向けグリーンボンドのパイプラインと大規模取引のモニタリング

以下は、ドル建てグリーンボンドの発行実績とその発行体を示す表です。

採用:求職者にとって企業のESG方針が必須事項に

企業が最高の人材を誘致するためにESG実績を前面に押し出すことは、これまで当たり前のことでした。しかし最近では、求人応募者が採用企業のESG慣行について質問するようになっています。財務担当者を採用しようとしている顧客の多くが、応募者は新卒者も経験者も同様に、企業のESG方針について質問するようになったと述べています。少なくともブルームバーグの顧客の間では、求職者の希望の中でESG方針の優先度が高まっているようです。

結論

企業財務部門が抱くESGへの関心は、単に「高まり始めている」という段階を超えています。ESGは、長短期の資金調達から同業他社の報告、雇用慣行まで、多くの意思決定に影響を与えています。今や顧客からの質問は債券やCPの検索方法ではなく、グリーンボンドやグリーンCPの検索方法が圧倒的多数です。ESGと企業財務というこの2つの世界が今後どう関わっていくのか、興味深く見守っていきたいところです。

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。