トレンドを追うクオンツファンド、今回の世界株安に備え

この記事は、ダニ・バーガーが執筆し、ブルームバーグ端末に最初に掲載されました。

ウォール街の最悪の事態への懸念をよそに、市場のモメンタム(勢い)を追うクオンツファンドは今回の株価下落局面で遅れを取ってはいない。実際には、下落に備えていたようだ。

ボラティリティー(変動性)を生み出す可能性があることから、ウォール街の「異端児」と考えられることの多い商品投資顧問業者(CTA)は通常、現状がこれまで通り継続すれば利益につながる資産クラス全般でポジションを取る。これは、実際に全ての資産が毎日のように上昇し力強いモメンタムを示す中、1月によく取られていた戦略の一つだ。こうした戦略は市場関係者にとって懸念材料となっていた。クオンツファンドの市場へのエクスポージャーが広がれば、トレンドが反転しCTAが突然市場から退去した場合に大混乱が発生する可能性があることを意味していたからだ。

S&P500種株価指数は先週、過去2年間で最大の下落を示した。トレンドは試されており、株価が下落する中でCTAのポジショニングはより微妙な意味合いを示している。クオンツファンドが大挙して退散するほど市場は崩壊していなかったし、CTAは既に数日前から静かに米国株の持ち高を減らし始めていた。

クレディ・スイス・グループのリスクアドバイザリー担当責任者、マーク・コナ-ズ氏によれば、通常のファンドはこのタイプの値動きには持ちこたえるよう設定されている。同行のデータによると、CTAは株式へのエクスポージャーを1月24日時点の3年ぶり高水準から1年平均まで減らす一方、商品については6年ぶりの高水準に押し上げた。

コナ-ズ氏はニューヨークからインタビューに答え「リフレーショントレードが継続しているため、CTAは今回の下落の前に株式を売却し、商品に対してロングの状態を維持していた」と指摘。「今後を見ると、そのプレッシャーは既にシステムから消えている。ショートカバーはされておらず、クオンツファンドはレバレッジ解消に動いていない」と述べた。

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