ワクチン接種の進捗状況から企業、経済の回復を予測する

Read the English version published on February 25, 2021.

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大は世界の様相を一変させました。何カ月にもわたり、感染者数、入院患者数、死亡者数に注目が集まりました。しかしワクチン接種が開始され、感染の終息が近いのではないかとの期待が高まっています。

もちろん、完全な終息までにはまだ時間がかかるでしょう。ワクチン接種の進捗状況は、感染拡大と同じように、地域によって差が出ています。このため、各州、地域、国がワクチン接種をどれだけ迅速に実施できるかを予測することは、企業活動や経済がどれほど迅速に回復するかを示す重要な指標となります。

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ブルームバーグは最近、ジョンズ・ホプキンス大学のワクチン接種データをブルームバーグターミナルに追加し、州、地域、国ごとのワクチン接種の状況に関する詳細なデータの提供を始めました。データと経済指標との関連性を比較、分析することも可能です。

350人を超えるリサーチの専門家が独自のデータおよびリサーチを提供するブルームバーグ インテリジェンスのプロダクトマネジャーであるMelissa Ottoが、このユニークなデータとその使用方法について、専門家としての立場からご説明します。

Q

ワクチン接種に関してどのようなデータが利用できるのですか?

A

ブルームバーグでは現在、ジョンズ・ホプキンス大学のワクチンデータをブルームバーグターミナル上で提供しています。ジョンズ・ホプキンス大学は、米国で実施されるすべてのワクチン接種について、メーカーのロットからそのロットが投与された州までのデータを収集しています。また、他国のワクチン接種数に関するデータも提供しています。すべての情報は毎日更新され、DATA VRUS<GO>およびCVID<GO>から閲覧可能です。

ブルームバーグターミナル契約者の方は、首尾一貫した集計方法に基づくジョンズ・ホプキンス大学のデータを使って各州のワクチン接種進捗状況を分析し、それを他国のデータと比較することができます。ブルームバーグでは主要な州のデータに特にフォーカスし、当該州における傾向が読みとりやすいようにしています。またデータには、投与されたワクチンの量や、人口に占める接種完了者の割合なども含まれています。

Q

新型コロナワクチンに関するデータは誰に、どのように役立つのでしょうか?

A

ワクチン接種データは、究極的には集団免疫の達成時期の予測に役立ちます。しかし、接種の進捗状況は一律ではないため、州や国によって達成時期には差が出るでしょう。

また、接種状況が企業ビジネスに影響を及ぼす可能性があるため、企業もデータに対して十分な注意を払う必要があります。ブルームバーグが提供するワクチン接種データとその分析ツールを使うことにより、自社の事業、業界、市場について、より正確に周辺の状況も鑑みて知見を得ることができます。集団免疫の達成時期や経済の回復時期を予測することはまだ困難ですが、少なくともそこに至るトレンドは出現しつつあります。

ワクチン接種データを利用することが、特定の国、業界、あるいは企業といったミクロレベルの状況から、世界的なマクロレベルの状況までを正しく理解する出発点となります。

また、米国のどの地域・産業で活動が加速化しているのか、経済のどの部分が回復する可能性が高いのかについても示唆を得ることができます。ある特定の州で多くのビジネスを行っている企業は、その州のワクチン接種進捗状況を確認し、それがその州の経済にどのような影響を与える可能性があるかを検討できます。また、ワクチン接種データを集計してそれが米国にとってどのような意味を持つかを予測し、他国のデータと比較することもできます。

データの集計は大きな意味を持ちます。例えば極東のサプライチェーンに大きな影響を受ける非常にローカルなビジネスに携わっている企業があるとしましょう。そのサプライチェーンに、国のワクチン政策の影響で混乱が生じる恐れもあります。すなわち、海外における感染拡大とワクチン接種の進捗が、企業にとって非常に大きな意味を持つ可能性があるのです。このようにデータを集計し比較することにより、感染拡大やワクチン接種に関するデータと企業ビジネスとの関連も明らかになります。

ワクチン接種データは公衆衛生機関にとっても大変役に立ちます。例えば、イスラエルは人口当たりのワクチン接種が世界で最も速く進んでいます。そのデータを分析すれば、他国がイスラエルの経験をどのように生かすことができるかを探ることも可能となります。

Q

ブルームバーグの情報からどんなインサイトが得られますか?

A

ワクチンが開発される以前には、経済指標の見通しについてどう予測すればいいのか手掛かりがありませんでした。相関性を分析できるツールがなかったからです。しかし、今は違います。

ブルームバーグは、感染者数やワクチン接種状況など新型コロナウイルス関連のデータに関するテンプレートを開発しました。それらのデータを金価格、S&P指数、GDP、債券利回りその他の経済データと、データ可視化ツールやチャート機能を利用してブルームバーグターミナル上で比較することができます。

これらを使用すれば、新型コロナウイルスに経済がどう対応していくかについて極めて強力なマクロ的視点を得ることができます。集団免疫の獲得が視野に入ってくれば、その他の経済要因も絡んでくるでしょう。

Q

感染終息後にはデータにどのような使い道がありますか?

A

前例のないイベントは、データ管理の面から見ると基本となるテンプレートを提供してくれるため大変役に立ちます。私たちは現在、感染拡大局面のデータは入手しました。おそらくは、感染終息局面のデータも得ることができるでしょう。そうすればサイクルが完結します。

次のウイルス感染拡大は起きないことを望みますが、もし起きてしまった場合でも、私たちはそれに備えるためのレファレンスデータを手にしました。残念ながら、今回の新型コロナウイルス感染拡大の際には参照可能なデータはありませんでした。しかし、次のウイルスに対する世界の備えははるかに整っています。今回の危機から得られたデータは将来に備える重要な知見であり、次のウイルス感染拡大をより確実に予測することができるようになるでしょう。

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。