Read the English version published on July 31, 2026.
株式市場では、急速に変化する地政学的秩序に対応する形で、再編と構造変化が進んでいます。国家安全保障が新たなマクロ要因となる時代です。
2025年から2026年にかけてのトランプ政権下の米国経済政策は、普遍的なグローバルシステムから、より明確に区分され、分断された「優先システム」モデルへの移行を促しています。この新たなモデルでは、優先的な取引関係に基づくサプライチェーン、信頼性の高い投資経路、地域レベルの強靱性が重視されています。
資源安全保障と同様に、防衛・安全保障関連の投資は、もはやニッチな投資対象ではなく、注目すべき構造的な投資テーマとなっています。
こうした状況の下で、投資家が検討すべきなのは、誰が「優先システム」の内側にいて誰が外側にいるのか、どの株式市場がこうした再編の影響を強く受けるのか、そして変化を先取りするために誰と組むべきかという点です。
戦略的自律性が株式ポートフォリオを再定義
米経済政策が大きく変化する中で、西側同盟国の多くが中核的な防衛支出をGDP比3.5%とする目標を掲げており、国家安全保障が株式価値を再定義しつつあります。
株式ポートフォリオもこれに伴い、戦略的自律性を重視する方向へと軸足を移しています。戦略的自律性とは、外部からの制約や圧力を受けることなく意思決定し、それに基づいて行動する能力を指します。戦略的自律性強化の鍵を握るのは、レジリエンスの確立、地域の安定、重要な資源・物資の管理を重視する防衛政策です。
一部の洞察力のある投資家は、防衛・安全保障関連の投資が世界経済の構造的な特徴となりつつあり、その対象が従来の軍事支出の枠を超えて広がっていることに注目しています。分断と乖離が続く中、防衛分野は、エネルギー安全保障、重要な資源・物資の配分、送電網、サプライチェーンインフラにまで広がっています。
アジア太平洋地域は「優先システム」の内側
アジア太平洋地域で「優先システム」の内側に位置する国・地域は、日本、韓国、台湾、オーストラリアです。
「優先システム」の内側に位置する国々は、米国の戦略目標に同調し、国家のレジリエンスに不可欠とみなされる産業を有するとともに、個人の自由や権利、比較的安定した統治、透明性の高い規制環境といった重要な特性を共有しています。
一方、政治的リスク、国家による資本統制、地理的要因、あるいは地政学的な不一致などにより、こうした枠組みへの統合が難しい国々は、新たなシステムの外側に位置するとみなされます。アジア太平洋地域では、市場参加者の間で、中国とインドがこのカテゴリーに該当するとみる向きもあります。
オーストラリア、防衛支出を拡大
オーストラリアは、信頼できるアジア太平洋地域のパートナー網の構築を目指す米国の防衛戦略において、特に重要な位置を占めています。こうしたパートナーには、米国に作戦上のアクセスを認め、高度な兵器を保有し、西太平洋で紛争が発生した際に米国が頼ることのできる存在であることが求められます。
オーストラリア政府はこれに応え、2026-2027年度予算では、今後10年間で防衛費に380億米ドル(530億豪ドル)を追加配分しています。この追加投資は、原子力潜水艦やドローン、フリゲート艦の近代化などを通じて、同国の脅威への対処能力を強化することを目的としています。
台湾、世界有数の好パフォーマンス
台湾経済は2025年、世界で最も高い成長を遂げた7カ国・地域の一つで、成長率は約8.7%に達しました。9220億ドル(29兆台湾ドル)規模の台湾経済の要となっているのは輸出です。
輸出財の4分の3以上がハイテク関連製品である台湾では、AI/インフラ需要の高まりが追い風となり、経済成長率は39年ぶりの高水準となっています。
韓国株、急伸
「世界で最もホットな株式市場」と称される韓国株式市場は、本稿執筆時点で年初から75%上昇しました。韓国総合株価指数(KOSPI)の急騰をけん引してきたのは主にサムスン電子とSKハイニックスで、上昇分の約3分の2はこの2社によるものです。この急騰は、両半導体メーカーの過去最高益を反映したものです。
一方で、バリュエーションは地域および世界の同等市場を依然として下回っており、一部の投資家は、今回の上昇局面には過去の好況・不況サイクルにみられたような過熱感はないとしています。
変化する市場力学に対応する株式指数
株式市場の変化により、ポートフォリオの拡大・強化を図る世界の投資家にとって、各市場に特化した株式指数の重要性はますます高まっています。
ブルームバーグ株価指数は、投資家がテーマ別のパフォーマンスを把握できるよう、透明性の高いルールベースの一連のベンチマークを開発しました。
ブルームバーグ・トランスアトランティック・ディフェンス・フィックスド・セレクション指数とFAANGセレクト2.0指数の2つがその代表例です。
ブルームバーグ・トランスアトランティック・ディフェンス・フィックスド・セレクション指数(DEFPE:IND)は、2024年1月時点で、米国または欧州先進国市場に分類され、売上高の大部分を航空宇宙・防衛製品の製造から得ている10社で構成される均等加重の固定バスケットです。
ブルームバーグFAANGセレクト2.0指数(BFAANGST:IND)は、米国およびカナダで国家安全保障および天然資源の安全保障に関連する事業を展開する企業のパフォーマンスを追跡する指数です。指数組み入れ対象となるのは、主力事業が燃料(F)、航空宇宙・防衛(A)、農業(A)、原子力(N)、金およびその他のベースメタル・貴金属(G)のいずれかに属する企業です。同指数は、株式市場全般と比べて大幅に好調なパフォーマンスを上げてきたほか、市場の混乱局面でも顕著なレジリエンスを発揮してきました。FAANG 2.0指数の構成企業は、国家の安定と経済のレジリエンスを支えるセクターに関連する企業と位置付けることができます。
本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
免責事項
本配信に含まれるデータおよびその他の情報は、例示のみを目的とし、「現状のまま」提供されます。法的拘束力を持たず、かつ、金融商品に関する助言ではなく、事実情報の提供と見なされます。BLOOMBERGおよびBLOOMBERG INDICES(「当インデックス」)は、ブルームバーグ・ファイナンス・エル・ピー(「BFLP」)の商標またはサービスマークです。BFLPおよびその関連会社(当インデックスの運営会社であるBISLを含みます)、またはそのライセンサーは、当インデックスのすべての所有権を有します。ブルームバーグ・エル・ピー(「BLP」)またはその子会社は、BFLP、BISLおよびその子会社にグローバルマーケティング業務および運用支援・サービス業務を提供しています。特定の特徴、機能、商品およびサービスは、高度な専門的知識のある投資家のみを対象としており、許容されている場合にのみ提供されます。ブルームバーグ(以下に定義する)は、本資料を承認もしくは推奨するものではなく、本資料に記載されたいかなる情報の正確性もしくは完全性を保証するものではなく、本資料により得られる結果について明示・黙示を問わず何ら保証するものではなく、かつ、法律によって許される最大の限度で、本資料に関連して起因するいかなる傷害もしくは損害についても一切の責任を負いません。本サービスまたはインデックスのいかなる事項も、ブルームバーグによる金融商品の勧誘、投資助言や推奨(すなわち、「売り」、「買い」、「ホールド」に関する推奨、または特定利益が関与するその他の取引への参入もしくは非参入に関する推奨)を構成するものではなく、そのように解釈されるべきではありません。本インデックスを通じて提供される情報は、投資判断の根拠となる十分な情報とみなされるべきではありません。本インデックスまたは本資料に記載されるすべての情報は中立的なものであり、特定の個人、法人、または団体の利益を勘案したものではありません。登録商標またはサービスマークがこのリストに記載されていない場合も、その名称、マーク、またはロゴに対するブルームバーグの知的財産権を放棄するものではありません。本資料では、ブルームバーグはBLP、BFLP、BISLおよび/またはそれらの関連会社を含みます。
BISLは、英国およびウェールズにおいて登録番号08934023で登録され、所在地は英国・ロンドン・クイーン・ヴィクトリア・ストリート3番地、EC4N 4TQです。BISLは、ベンチマーク管理者として金融行動監視機構(FCA)により承認・規制されています。
© 2026 Bloomberg. 無断複写・複製・転載を禁じます。