Read the English version published on July 15, 2022.
グローバルベースでのサステナブル債の発行総額は1-6月(上期)に7000億ドル(約95兆5300億円)を上回りましたが、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)では、通年で1兆ドルを超えると予測しています。企業がESG関連の目標達成のために資金調達するサステナブル債の発行総額は、今年も記録に残る好調な年となる見込みですが、金利上昇や2021年7-12月(下期)の急増ペースからは減速となり、2022年通年では2021年を下回ることになるでしょう。
サステナブル債発行額は引き続き堅調に推移
今年に入ってからのサステナブル債市場での発行額は、2020年と2021年を除くと他の通年の発行額を上回り、堅調に推移しています。グリーンボンドとサステナビリティーボンドは昨年同時期と比べるとわずかに下回っているのみですが、ソーシャルボンドは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)関連の資金需要も落ち着き、年初来の発行額は61%の減少と、最も大きく後退しています。
サステナブル債の発行額
Source: Bloomberg Intelligence
グリーンボンドの年初来発行額
グリーンボンドの年初来の発行額は、6月30日時点で2696億ドルと、2021年を除く他の通年の発行額を上回っています。グリーンボンド発行体は、11のセクターによって幅広く構成されていますが、国際機関を含む政府、金融セクター、公益事業セクターが中心で、引き続きグリーンボンド発行額の上位3セクターを独占、年初来の発行額も全体の86%を占めています。グリーンボンドの発行額は通年で5000億ドルに達する可能性もあり、サステナブル債の発行形態としては依然として最大となっています。
グリーンボンドの年初来発行額
Source: Bloomberg Intelligence
減少するソーシャルボンドの発行額
ソーシャルボンドの発行額はサステナブル債の中で伸び悩んでおり、前年上期比で61%減となっています。新しいソーシャルボンドは9つの異なるセクターから発行されていますが、依然として国際機関を含む政府や金融セクターが中心となっています。この2つのセクターは、年初来のソーシャルボンド発行総額の90%を占めています。
ソーシャルボンドの年初来発行額
Source: Bloomberg Intelligence
サステナビリティーボンドの発行額は年初来でやや減少
上期のサステナビリティーボンドの発行額は814億ドルで、前年同期比では若干減少しているものの、例年を上回る水準で推移しています。通年の発行額は2020年を上回る見込みですが、2021年の記録的な発行額には及ばないと思われます。グリーンボンドと同様、サステナビリティーボンドも11のセクターから発行されていますが、国際機関を含む政府、金融セクター、公益事業セクターが中心で、これらのセクターは年初来の発行額の92%を占めています。
サステナビリティーボンドの発行額
Source: Bloomberg Intelligence
サステナビリティー・リンク債の発行額は前年比で減少か
サステナビリティー・リンク債の上期までの新規の発行額は、2021年の同時期に比べわずかに上回っていますが、そのペースを維持することは非常に困難となるでしょう。これは、2021年下期の発行額が2021年上期と比べて78%増加したためです。金利の上昇、ボラティリティーの高まり、インフレ圧力により発行市場が混乱するため、前年の伸び率の再現は困難な環境です。
サステナビリティー・リンク債の発行額
Source: Bloomberg Intelligence
本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。