Read the English version published on September 25, 2020.
この記事はブルームバーグ・ヴォールトのプロダクト・マネジャー、Eugene Semetskyが執筆しました。
センシティブ(機微)なコミュニケーションを監視することが、これまで以上に難しくなっています。金融機関がコンプライアンス(法令順守)を推進すべき環境では現在、規制の変化、データ量の急増、新たに登場する各種コミュニケーション・プラットフォーム、そしてテレワークの拡大といった変化が見られ、それらが世界市場全体に広がっています。
一方で、従来型の監視プログラムは、誰もが単一の言語(通常は、英語)で意思疎通することを前提として作られているのです。しかし実際には、金融プロフェッショナルたちのコミュニケーションは多言語で行われ、時にはスラングや絵文字も使われます。そして複数言語を話すマルチリンガル・ユーザーの場合、習慣的に、あるいは監視のポリシーと手順を回避するため、使用言語を切り替える可能性が高くなります。
金融マネジメントのコンサルタント会社、Opimasが最近のリポートで指摘しているように、世界中で話される言語は6000以上あり、その多くはブルームバーグが事業展開している地域で話される言語です。そのため監視が行き届かない大きな欠落部分が生じて法令順守上深刻な結果を招きかねません。堅牢な外国語ツールと翻訳機能を使って総合的なコンプライアンス・ソリューションを理解し、実行することが必要不可欠となっています。
実際、多機能言語は「あれば助かる」という程度のものではありません。FINRA(米金融業規制機構)が定めるルール3110では、金融機関はその組織が使用を許可するコミュニケーションを複数言語も含めてすべて監督しなくてはならないと定めています。欧州でも、FCA(金融行動監視機構)のMiFID II(金融商品市場指令II)とSYSC(上級経営陣における計画、システム、および統制)のルール3.2と9.1によって同様の安全措置が義務付けられています。
あらゆる言語で監督
コミュニケーションを監督する際はすべての言語が分析対象となりますが、会話の中にさまざまな語彙やスラングが含まれ、最近ではシンボルの使用も増える中、その作業は容易ではありません。例えば、承認の意を示す、親指を立てた「サムズアップ」の絵文字は無害に見えるかもしれませんが、実際にはレビューの対象に含められ、上位者への報告の対象とされる場合もあります。
ブルームバーグは、世界各国160カ所以上で事業を展開し、お客さまは世界の全大陸に広がっています。そのため、多言語での堅牢なプロダクトを提供することの必要性を認識しています。この従来の認識に則ったプロダクトの1つ、ブルームバーグ・ヴォールトは、企業がコミュニケーションやトレーディング、音声データを収集、保管、分析するために使用できるコンプライアンスと監視のための総合プラットフォームです。グローバルな環境でコンプライアンスを維持することの複雑性に照らし、ブルームバーグ・ヴォールトは確立された多言語機能を提供するとともに、今も継続的に投資を行い、提供言語を増やし続けています。
ブルームバーグ・ヴォールトの現在のEディスカバリー・ツールは数十種類の言語に対応しており、ユーザーは収集されたコンテンツ・チャネルからのデータをどの対応言語でも検索・抽出できます。また、監視機能として、金融機関は、絵文字も含め、どのような現代言語からも語彙を入れてポリシーやルールを容易にカスタマイズできます。そしてユーザーは、どの言語でも、コンダクトリスクや市場における不正行為、利益相反など、不快・扇動的な、または市場固有のポリシーで規定されるキーワードやフレーズ、シンボルを含むメッセージを特定し、フラグを付けてレビューすることができます。ブルームバーグ・ヴォールトはまた、単語の間に通常スペースが入らない言語(日本語、中国語、韓国語など)を「トークン化」して監視ポリシーの適用方法を明確に理解できるようにするなど、高度な機能も提供します。
多言語での単なる検索・監視のほかに、英語を母国語としない人々は時に、英語でしか提供されないフロントエンドのアプリケーションを使わなくてはならない場合があります。ブルームバーグ・ヴォールトはさまざまな地域に応じたカスタム化、翻訳、ユーザーインターフェース(UI)の強化を継続的に実施してこうした課題に対応しています。この新たなUIでは、監視チーム、リスクおよびコントロール・チーム、そしてコンプライアンス・チームに日本語と韓国語を含む複数言語から選べるオプションを提供します。間もなくその他のアジア・太平洋地域の言語とロマンス諸語も導入予定です。さらに、エンドユーザー用の詳細資料はブルームバーグ社内の大規模な翻訳部門によって現在10カ国語に翻訳されています。[1]
ブルームバーグ・ヴォールトは最近、既存の複数言語による機能を拡張するため、米国のITサービス・プロバイダー、Technically Creativeと提携しました。同社は外国語のポリシー検出と現地のポリシー/ルール開発におけるサブジェクトマターエキスパート(特定分野の専門家:SME)です。このパートナーシップを通じて、ブルームバーグ・ヴォールトのユーザーは間もなく、最新の強化版監視ポリシーを利用できるようになります。さらに将来的には対応できる外国語の追加や拡張データ損失防止(DLP)も含めたその他特殊機能が利用できるようになる予定です。さらにブルームバーグでは、ユーザーが生み出す膨大な電子コミュニケーションプールからより深い知見を得るため、音声監視、自然言語処理(NLP)、アドバンストアナリティクスなどに投資しています。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が発生する前は、コンプライアンスを含むリスクとコントロールの担当チームはさまざまな通信源を通してコンプライアンスを維持するための課題に取り組んでいました。しかしテレワークが当面は標準的な勤務形態となりそうな現在、どの言語でも潜在的なリスクや脅威に予防的かつ自動的に対応できる総合ソリューションの導入が企業にとって喫緊の課題となっています。まさにそれを可能にする、企業にとって欠かせないツールがブルームバーグ・ヴォールトです。
ブルームバーグ・ヴォールトについて
ブルームバーグ・ヴォールトは世界の金融サービス業のお客さまが規制上の義務や業務標準を満たせるよう支援する、総合的なコンプライアンス・監視ソリューションです。ビッグデータ・テクノロジーに基づいて設計されたブルームバーグ・ヴォールトの監視ソリューションは非常に拡張性が高く、大量のデータを対象に検索フィルターを適用し、数秒で結果とリポートを作成、さまざまな機能を提供します。独自機能には、ブルームバーグ・メッセージ(MSG)とインスタント・ブルームバーグ(IB)にインタラクティブな「事前送信」コントロールを適用する機能、倫理的な境界要件を満たすための社内の情報障壁、および監視ポリシーに禁止用語リストを定期的にフィードする機能などがあります。これらを補完する機能として、豊富なインタラクティブ・リポート機能や強力なユーザー管理機能も利用できるほか、40種類以上ものご用意がある既定ポリシーをカスタマイズして新規ポリシーを作成することもできます。
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[1]利用可能な言語には、英語、日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、中国語(繁体字および簡体字)、韓国語、ロシア語が含まれます。