持続可能な開発のためのカーボンニュートラルな投資:南方基金管理(中国)史博氏インタビュー

Read the English version published on April 12, 2022.

目まぐるしく変化をし続ける市場。投資戦略も常に最新の動向に合わせて行かねばなりません。ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が業界コンセンサスとなりつつある中、効率的で透明性の高い、定量化可能なソリューションが世界中の投資家から求められています。今回のCIOインサイトでは、中国の南方基金管理の副総裁兼最高投資責任者である史博氏をお迎えし、カーボンニュートラル投資における同社の投資方法や経験をお聞きしました。

史博氏略歴

南方基金管理副総裁兼最高投資責任者(株式)

経済学修士号およびCFA資格保有者。現在は南方基金管理で副総裁、最高投資責任者(株式)、ファンドマネジャー、株式投資委員会委員長、アセットアロケーション委員会委員長を務める。資産運用歴は24年。ファンドマネジャーとしてのキャリアを2004年に開始し、18年にわたりファンド運用と投資運用を担当。

上場企業の長期的価値と、成長性に見合ったバリューを追求する投資スタイルに着目し、業界の発展動向や業界内での企業の位置付け分析に重点を置き、企業の品質、キャッシュ収益性、ガバナンスレベルにも着目。

Q

「二酸化炭素(CO2)排出量ピークアウトとカーボンニュートラル」という目標を達成する観点から、ESGが投資に与える影響についてどうお考えですか?

A

A株投資という面では、国内外の投資家の間でESGの価値観がコンセンサスとなっているということに非常に感銘を受けています。 業務面では、伝統的な機関投資家はESGファクターをファンダメンタルズ分析に取り入れる必要があるでしょう。 ESGレベルが高い企業はガバナンスが優れ、中長期的なリターンも安定している一方、ESGに着目することで、特に政策リスクや資金調達コスト関連リスクなど、投資家もさまざまなリスクを回避できる可能性があります。さらに、ESGによる価値観のシフトがさらなる技術革新のきっかけとなり、新たな発展や機会をもたらすでしょう。

Q

南方基金管理では、ESG投資分野でどのような刷新を行っていますか? 長期的な価値と責任ある投資という理念は、どのように投資ワークフローに取り入れられるのでしょうか。

A

南方基金管理は2018年に国連責任投資原則(UNPRI)に署名し、2121年4月には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の賛同者となりました。 当社はESG投資分野の草分け的存在で、徐々にESG管理の枠組みを確立してきました。また、現地でESG投資リサーチ評価システムを立ち上げています。

当社が開発した包括的なESG評価システムは複数の側面をカバーし、定性的・定量的アプローチを組み合わせて主要な問題に焦点を当てるものです。 これまでに4000社以上の上場企業、5200銘柄以上の原資産債券を格付けユニバースに加え、市場を全体をカバーしています。最も重要な点は、当社のトレーディングリスク管理システムの中に内部評価を統合したということです。そうすることで日次取引のリスクを把握し、警告を出して「ブラックスワン」となる信用事由を事前に回避でき、ポートフォリオのリスク管理能力と回復力を強化できるのです。一方、当社のリサーチ担当者は対象となるESG関連パフォーマンスを注意深く追い、各企業や債券発行体とのコミュニケーションを保つとともに、標準的な社内ESGアンケートを作成し、アンケート結果とリサーチ報告書をデータベースに反映させるよう求められます。投資後は、上場企業や投資先のESG関連計画を積極的に作成・実行し、株主権や債権者としての権利を行使し、ESG開示と投資先企業の取り組み最適化に努めます。

投資を行うだけでなく、当社も炭素削減に向けて活動する必要がありますが、当社ではサステナブル開発を高く評価しています。インテリジェントオフィスビルの省エネ規則、オフィスのペーパーレス推進、排出量削減目標の設定などの対策で、CO2排出量ピークアウトとカーボンニュートラルという「2つのカーボン目標」達成に向けて貢献しています。

Q

カーボンニュートラル投資における御社の実体験についてお聞かせください。

A

南方基金管理は中国で初めて「カーボンニュートラリティ」行動計画を発表した上場ファンドです。また、当社はCO2排出量ピークアウトとカーボンニュートラルに向けて積極的にリサーチを行ってきました。まず、炭素排出データベースを構築することが極めて重要です。これは企業が直面する気候変動リスクを測定するために金融業界が信頼を寄せるインフラで、資産価格の評価と再評価に欠かせない重要な部分もあります。 しかし、中国の上場企業の炭素排出データは比較的少ないのが現状です。南方基金管理では、ブルームバーグの炭素排出量データセットなど第三者のデータソースを導入し、ポートフォリオ構成企業の炭素排出量をAIアルゴリズムを使って測定しています。カーボンニュートラルな投資ソリューションでは、ポートフォリオの炭素排出量をモニター・測定できるため、炭素排出が多い資産があれば迅速に調整して炭素排出カーブを減少させ、カーボンニュートラリティを実現しています。次に重要なのが、ESGと「2つのカーボン目標」に密に連携した商品システムを確立して、事前に計画を立てることです。これについて、当社は重要なテーマを掲げ、さまざまな資産クラスの商品システムをカバーしています。

注:投資目標カバレッジの期間終了日は2020年12月31日。