新型コロナ関連リスク:サプライチェーンの可視化と分析方法

Read the English version published April 6, 2020.

本稿はブルームバーグ サプライチェーン・アナリスト(テクノロジー)Tom Lagermanが執筆し、ブルームバーグターミナルに最初に掲載されました。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が企業や産業に与える強烈かつ前例のないインパクトは、まだ表面化し始めたばかりです。これが世界中の企業の業務形態に及ぼす影響は広範にわたり、その大きさは測り知れません。

感染拡大による危機が広がる中、現在の企業のさまざまな業務の進め方は、特にグローバル・サプライチェーン全体がかかわる部分で崩れつつあります。投資家にとって、企業のサプライチェーン依存度とそれに関連するリスクを理解することは、刻一刻と状況が変化していくこの時期において極めて重要です。ブルームバーグターミナルに含まれる数多くの分析ツールや検索機能がその役に立ちます。

さまざまな機能でリスクを迎え撃つ

サプライチェーンは近年、投資家の注目分野(企業にとってはリスク分野)として採り上げられることが多くなっています。関税や貿易摩擦が組織の事業戦略や物流戦略において重要な意味を持つようになってきているからです。

ブルームバーグターミナルでは、信頼できるリサーチとデータを利用して、世界各国の上場企業2万3000社と非公開企業9万6000社の間に広がるサプライヤーとクライアントの関係(サプライチェーン関係)を分析できます。またそれを補う形で、新型コロナウイルス専用の新たな検索機能やトラッキングツールも先頃提供を開始しました。ブルームバーグターミナルのツールと情報を組み合わせれば、以下のような点で市場のシグナルを見いだすのに役立ちます。

  • 重要なニュース、最新情報、新しいテーマを深く理解する
  • さまざまな地域のサプライチェーンを可視化する
  • 集中リスクを分析し、エクスポージャーを定量化する

SPLCでサプライチェーン関係の情報を入手

ブルームバーグターミナルの{SPLC <GO>}機能を利用すると、90万件の確認済のグローバル・サプライチェーン関係に関する大量なデータセットにアクセスできます。データは信頼できる公開情報(会議の議事録、会社の報告資料、規制当局への提出資料など)から得ており、さらにカスタマー(買い手)企業提供のデータとサプライヤー(売り手)企業提供のデータにより双方向からサプライチェーン関係情報を補完しています。

上場企業は売上高の10%以上を占める顧客を開示することが義務付けられているため、ブルームバーグでは、この双方向データを利用するとともに、独自の推定アルゴリズムを活用する産業アナリストチームとも協力して、需要と生産の両面で企業のサプライチェーンのエクスポージャーを定量化しています。

ブルームバーグ・サプライチェーンのデータセット全体で、こうした定量化したサプライチェーン関係のデータが20万件あります。それぞれのデータには(1)サプライヤー企業の当該カスタマー企業に対する依存度を定量化する売上高比率、および(2)カスタマー企業の当該サプライヤー企業に対する支出を定量化するコスト比率(ならびに売上原価や設備投資といったコストの種別)の双方が含まれます。ブルームバーグではデータの内訳・詳細を表示する情報アイコンとポップアップを使って、こうした定量化情報を企業の当局提出資料のどこから取得したのかを正確に示します。

この定量化した関係性における相互依存の程度と範囲を把握すると、サプライヤー企業とカスタマー企業双方の集中リスクが浮かび上がります。しかし集中リスクを地域別に視覚化するには、SPLCで得た知見とより詳細な地域データを重ね合わせる必要があります。

MAPSとCMAPで情報を地域別に可視化

{SPLC <GO>} を利用すると企業を本社所在国(country of domicile)別に分類できますが、サプライチェーン関係を地理的に理解するにはそれでは不十分です(多くの企業は1つの国で登記しているものの、世界中のさまざまな場所で業務を展開しています)。

ブルームバーグの物的資産データセット({CMAP <GO>} または {MAPS <GO>} でアクセス可能)を利用すると、地理的リスクを視覚的に検証できます。このデータセットには、1万1000社の20万カ所の拠点に関する情報が含まれています(すべてのデータは、ブルームバーグターミナルのデータセット全体で利用している信頼できる公開情報源から入手しています)。

{CMAP<GO>}を利用すると、確認された当該企業の施設が、生産センター、配送拠点・倉庫、研究開発施設、事務所といったタイプ別に色分けされます。ブルームバーグターミナルご契約者の皆さまはノードをクリックすると、各拠点について入手可能な追加情報(その拠点での生産が公表されている製品など)にアクセスできます。

当該企業の拠点だけでなく、そのサプライヤーの拠点も含めた包括的な情報を把握するためにはSPLCで調べた情報を{MAPS<GO>}で得られるデータに重ね合わせることができます。確認されたサプライヤーの拠点がある場所を把握することは、生産(または労働力、資材の入手、製品の物流などその他の分野)の集中リスクがある地域を理解するのに役立ちます。

企業の地理的なリスクに関する理解をさらに深めるため、ブルームバーグターミナルのユーザーは{FA GEO <GO>}を利用して財務情報を分析することもできます。この機能は、開示されている売上高や資産といったさまざまな財務指標の地域別情報に基づいて、地理的なエクスポージャーを定量化します。

DSCOとCNで最新情報を把握

企業が新型コロナウイルスの影響について開示している最新の情報を随時入手するため、ブルームバーグターミナルのユーザーは{DSCO <GO>}または{CF <GO>}を利用して、文書から関心のあるキーワードを検索することができます。検索結果から、当該企業の当局提出資料でキーワードが記載された場所を簡単に見つけ、そのキーワードについてサプライチェーンに関連する定性的な情報を検証することができます。

検索結果には、さまざまな種類の当局提出資料や、個別企業、ポートフォリオ、またはインデックス全体の分析が含まれます。また、「coronavirus」(コロナウイルス)で検索した場合、ブルームバーグのモデルでは、COVID-19や2019-nCoVといった関連用語や同義語が使われた資料も検索されるようになっています。

今後の報道や当局提出資料に新型コロナウイルスに関する記述があった場合すぐにその情報が入手できるようにするには、会社ニュース取得機能{CN <GO>}を使って特定のキーワードのアラートを設定します。例えば、最初に「Coronavirus」をテーマにトピックフィルターをかけ、次に「distressed debt」(ディストレスト債)や「earnings guidance」(業績予想)といった文脈上重要なキーワードを追加すると、関心分野におけるウイルスの影響について、実用的な情報を入手するのに役立ちます。

影響を理解する

新型コロナウイルスの影響に関して最も重要な分野は今のところサプライチェーンですが、企業のビジネスモデルや業務推進方法には、予想もできない形で影響が及び続けると予想されます。今後もブルームバーグは世界中の企業や産業にパンデミックが及ぼす影響の急速な変化をお客様が把握できるようにデータセットやサービス内容を強化していきます。

新型コロナウイルス感染拡大による業務への影響を最小限にするために、ブルームバーグでは在宅勤務をリューションを多彩にご提供しています。詳細はこちらからお問い合わせください。