Read the English version published on November 18, 2020.
本稿は、Hannah Langが American Banker に寄稿したもので、ブルームバーグは使用ライセンスを得ています。
米銀行規制当局は、2021年に廃止が予定されるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の代替指標として、銀行が任意の参照金利を選択することを容認する声明を発表しました。
2020年初め、複数の中小銀行が米連邦準備制度理事会(FRB)、連邦預金保険公社、通貨監督庁に対して、当局が推奨するLIBOR代替指標である担保付翌日物調達金利(SOFR)は大手銀行向きで、レポ市場での取引が少ない中小銀行には適していないとの申し入れを行っており、上記声明はこれを受けたものです。
また一部の銀行は、経済にストレスが生じた場合、SOFRが銀行の資産と負債の間にミスマッチを引き起こす恐れがあるとの懸念を表明していました。
FRBが設置した代替参照金利委員会は、SOFRがLIBORの代替指標として最適であると推奨しました。しかし上記規制当局は、2020年11月に発表した共同声明でSOFRの使用は任意であるとしました。
共同声明の中で規制当局は「銀行は、自行の資金調達モデルと顧客ニーズを考慮して適切と判断する任意の参照金利を融資契約で使用することができる」とした一方で、どのような参照金利を選択した場合でも、すべての融資契約にLIBORが廃止された場合に適用されるフォールバック条項を入れ、LIBORからの移行が円滑に進むよう求めました。
中小銀行の多くからは、Ameriborを推す声が強くなっていました。Ameriborは、シカゴ金融界の中心人物の一人であるRichard Sandor氏が中小銀行向けに創設した指標金利で、同じく同氏が創設したアメリカン金融取引所(AFX、American Financial Exchange)における翌日物借入金利をベースとして算出されています。
上記共同声明でも「各規制当局は資金調達モデルが銀行によって異なることを理解し、融資を行う際には各行がそれぞれの状況に応じて最適と判断するLIBOR代替指標を選択することが適切であると考える」と述べられています。
パウエルFRB議長は、2020年2月に上院で、金融業界がLIBOR移行準備を進める中で、信用リスクが反映された別個の代替参照金利を検討することに問題はないとし、次のように述べています。
「多くの銀行が、信用リスクが反映された別の参照金利を検討したいがこれは決してSOFRを代替するものではないと言ってきた。現在、その作業が進行中でありFRBもこれを支援している。これに特に問題はないが、LIBORからSOFRへの移行作業が中止されるわけでもない。それはそれで進めていく」