Read the English version published on July 21, 2024.
この記事は、ブルームバーグのサステナブル・インデックス・プロダクト・マネジャー、Jonathan Gardinerが執筆しました。
ブルームバーグがまとめたデータによると、今年1-6月(上期)のグリーンボンド発行額は3560億ドル(約52兆500億円)を上回り、同市場の開設以来最も活発な半年となりました。1-3月(第1四半期)のグリーンボンド発行額は企業と政府の双方の発行にけん引され1910億ドルと高水準を記録した一方、4-6月(第2四半期)は1650億ドルに減少しました。
データによると、2024年第1四半期のサステナブル債の発行総額は、国債の発行や日本のトランジションボンドに後押しされ新記録を達成しました。インパクトボンド(グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド、サステナビリティ・リンク・ボンドなど)の第1四半期発行額は第2四半期を上回り、前年同期比7.5%増の3280億ドルとなりました。
2024年上期の最大のグリーンボンド発行額は、5月のイタリア政府による総額90億ユーロ(約1兆4500億円)でした。日本政府はグリーン・トランジション・ボンドを初めて発行し、最初の6カ月間で3件の取引が行われ、その総額は120億ドルを超えました。今後10年間でグリーン・トランジション・ボンドの発行を大幅に拡大する計画の一環とされています。そのほか、フランス、ドイツ、オーストラリア、カナダ、英国などの政府がグリーンボンドを発行し、上期の発行総額は1400億ドルを超え、グリーンボンド発行のセクターとしては最大となりました。
第1四半期のソーシャルボンド発行額は、前年同期比33%増の520億ドルと大幅に増加しました。しかし、第2四半期には発行額が漸減した結果、上期の発行総額は前年同期比で横ばいの820億ドルと、新型コロナ禍の取引額(2021年上期の発行額は1550億ドル)と比べると大幅に減少しました。しかし、取引額は新型コロナ禍前よりも高い水準を維持しています。年初来でソーシャルボンドの最大発行額となったのは、フランス政府が所有する社会保障債務返済金庫(CADES)による40億ユーロでした。 アイスランド政府は、ジェンダー平等の促進に焦点を当てた「ジェンダーボンド」を発行した最初の国債発行国となりました。
サステナビリティボンドの第1四半期の発行額は、前年同期比20%増の720億ドルと記録的な水準を達成しました。 上期の発行額でも前年同期を10%ほど上回る1240億を記録し、2021年上期につけた過去最高の1290億ドルにわずかに届きませんでした。国際復興開発銀行(IBRD)は、2024年上期で最大規模となった50億ドルのサステナビリティボンドを発行しました。
サステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)の発行は減少傾向が続いています。第1四半期の発行額は50%以上減少して124億ドルとなり、同四半期としては2020年以降で最低となりました。上期の取引高も同じ傾向で、前年同期比47%減の220億ドルでした。イタリア最大の電力会社エネルは、年初来で最大規模となった12億5000万ドルのSLBを発行しました。同社は上期に4本のSLBを発行し、発行総額は約40億ドルに上りました。
ブルームバーグのグローバル総合グリーン・ソーシャル・サステナビリティ(GSS)ボンド・インデックスは、英専門誌「エンバイロンメンタル・ファイナンス」により年間「ベスト・サステナブル・インデックス」に選ばれました(リンク)。同インデックスは、環境面・社会面での直接的な便益もたらすプロジェクトの資金調達を目的として発行された債券の世界市場を客観的かつ堅固に測る指標を投資家へ提供します。GSSインデックスの年初来リターンはマイナス3.46%で、グローバル総合インデックスのリターンを約14ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回っており、サステナビリティ重視型投資に関心を寄せる投資家に優れたリターンをもたらすことが浮き彫りにされています。
本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
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