高齢化社会を電力会社が支える方法とは

本稿はNathaniel Bullard、黒崎美穂が執筆し、ブルームバーグターミナルに最初に掲載されました。

日本は2年前、戦争、飢饉、自然災害の発生時を除けば世界史的にもまれで画期的な転換点を経験しました。人口が減少に転じたのです。人口減少に加え、平均寿命も延びるという現在の傾向は社会的な課題、特に高齢者の孤独死とそれに誰も気づかないという事態を引き起こしています。こうした事態と電力事業者とは一見無関係に見えますが、公共事業会者とその利用者の関係は意外にも事態の改善に役立つようです。

20世紀の終わりにはかつての3倍にもなった日本の人口ですが、2065年までにさらに数千万人減少すると予想されています。この過程では高齢者人口が増加する一方、第2次世界大戦前がピークの年少人口は事実上消失するでしょう。

年少人口を上回る老年人口
日本の年齢別人口

青色:0~14歳  灰色:15~64歳  黒色:65歳以上  (単位:百万人)
出典:国立社会保障・人口問題研究所(日本)

65歳以上の高齢者は増加するだけでなくその寿命も延びており、女性の平均寿命は2050年までに1925年の2倍の90歳近辺に達する模様です。多くの高齢者にとっては、介護してくれる家族自体が高齢者になる可能性があるのです。

高齢者の更なる高齢化
日本の平均寿命

青色: 男性  灰色:女性
出典:国立社会保障・人口問題研究所(日本)

ここで登場するのが公共事業者です。日本では、利用者の多くが電気料金を指定口座からの自動引落で支払うため、料金の支払時に誰ともやりとりしません。このため、支払口座の残高がゼロになるまで、場合によっては何年間も、亡くなったことに誰も気づかない事態が発生するのです。ニューヨーク・タイムズが報じたあるケースでは、滞納した高齢男性を探していた役所関係者が彼を発見した時、既に白骨化していたということです。

一部の電力小売業者は、ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)を健康状態の監視装置として活用し、積極的に関与しようと試みています。エネルギー消費を計測するこのシステムでは、給水栓を何日も使用していないこと、照明のスイッチを入れていないこと、調理にガスを絶えず使用していることまで分かるため、こうしたシグナルを検知すると、公共事業会社が親族に通知します。

支払は自動的でユーザー側は何もする必要がない、というこの方策はかなりシンプルです。ウェアラブルモニターを利用すれば健康状態に関するデータはさらに多く提供してくれますが、物忘れや抵抗感から外してしまう可能性もあります。また、全く当たり障りのないことが原因でウェアラブルモニターに活動が表示されない場合はあるでしょうが、何日も水を使わずに過ごしたり何日も調理にガスを使用しないのに、健康に全く原因がないことはおそらくないでしょう。

こうした提案は公共事業者の事業分野として拡大しつつあります。日本の電力セクターは長年、垂直統合型モデルにおいて世界でも際立つ存在でしたが、規制緩和の波で競争が激化しました。昨年の垂直統合型地域電力会社を除く企業の家庭用電力需要に対する供給率は7パーセント強でしたが、わずか2年足らずの間にゼロからここまで成長したのです。そして調査を開始した昨年以降も、競争は激しさを増すばかりです。

競争は激化傾向
日本の電力需要に対する電力事業者の電力供給率(垂直統合型地域電力会社を除く)

青色:家庭用  灰色:業務用  黒色:産業用
出典:ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス、経済産業省

競争は創造力や新たな発想を育みます。九州電力株式会社は、遠隔地に居住しているため墓参が困難な人に墓地の清掃管理サービスを提案しています。競争が激しさを増す一方の日本の電力市場で生まれたこの新たなサービスは、利用者を引きつけて維持するためなら来世までも追いかけるというものです。

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