EUの新グリーンファイナンス規制:バイサイドに求められる変革とは

本稿はブルームバーグのJoe McHaleとNadia Humphreysが執筆し、IPE.comに最初に掲載されましたRead the English version published on  September 10, 2019.

現在、運用会社はESG戦略をビジネス上の要件や規制上の義務としてではなく、競争上の差別化要因として見なす傾向があります。しかし、欧州ではこれが変わることになりそうです。

2019年5月の欧州議会選挙により議会活動が停止する直前、欧州議会は運用会社に対するサステナブルファイナンス要件を強化する規則を可決しました。本規則は2020年から2022年の間に発効する可能性が高く、その場合、EU域内の運用会社に対して意思決定プロセスにサステナビリティリスクをどう組み込んでいるかについて開示する義務が課せられます。

欧州の運用会社は、この義務を順守してサステナビリティのリスクと機会を考慮に入れるためには、業務手順を変更してESGデータを導入する必要があることに気付き始めました。このため、規則順守の準備が進むにつれて、ESGデータとその解析に使うソフトウエアソリューションへの需要が高まると予想されます。

EU各加盟国には気候変動に関する一定の規則が既に存在していますが、今回のEU全域にわたる規則の一元化は一つの前進ということができます。新しい欧州委員会と欧州議会は、サステナビリティファイナンスに関するEUアクションプランを見直して、その再活性化を図ると広く期待されています。

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新たな開示義務

今回制定された2つの新しい規則は、EU金融規制にESGへの配慮を取り込む広範な取り組みの一環をなすもので、具体的には運用会社に対して以下の開示を義務付けます。

  • 環境および社会リスクを投資および助言プロセスに組み込むために定められた手順
  • 環境および社会リスクが投資の収益性に与える影響度
  • 機関投資家がグリーン戦略を実行していると公表する場合には、その実行方法ならびに商品およびポートフォリオのサステナビリティまたは気候への影響

2019年初め、欧州証券市場監督局(ESMA)のエグゼクティブ・ディレクターであるVerena Ross氏は講演の中で、必要な開示を統合・一元化するための義務を具体化する規則の草案作りをESMAが委任されたことと、同年夏以降と想定される新しい開示規則の正式発効から12カ月以内にほとんどの草案をまとめる必要があるためにスケジュールが非常に厳しいことを説明しました。

これと並行して、既存のEUベンチマーク規則も改正され、2つの新しいタイプのベンチマークが導入されました。

  • 通常使用されるベンチマークに代えて低炭素化を目指す気候変動ベンチマーク
  • 世界の気温上昇を産業革命以前と比較して5℃に抑えるというパリ協定の目標と整合した投資ポートフォリオを目指すEUパリ協定適合ベンチマーク

ベンチマークプロバイダーは、ESGファクターがどのように反映されているかを説明し、選択基準にデータがどのように使用されているかを開示する必要があります。これは、基準を透明化することによって投資家がベンチマークを信頼し、投資判断をより豊富な情報に基づいたものにすることを目的としています。

新規則に対応するためにはどのような準備が必要でしょう? 新規則が及ぼすグローバルな影響はどのようなものでしょう? 記事の続きはIPE.com (英語)でお読みください。

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