マーケット・リクイディティー・リスク・プロダクト・オブ・ザ・イヤー:ブルームバーグ、Risk Markets Technology Awards 2022受賞

Read the English version published on February 17, 2022.

流動性リスクを正確に測定するのは信用リスクや市場リスクに比べて難しく、依然として金融業界全体が抱える大きな課題となっています。世界各国の規制当局は市場流動性や流動性リスクの枠組みを重視する姿勢を強めており、この問題に対する関心はますます高まっています。企業は流動性リスクを定量化して、正確かつ立証性がある指標を構築した上で、それを規制順守のみならず社内ポートフォリオ評価や投資家への報告書のために用いる必要があります。今では市場流動性や資産と負債のミスマッチを監視することは、多くの企業でリスク管理の枠組みにおける本質的部分を占めるようになっています。

流動性や透明性に欠ける市場は流動性リスクの管理において大きな課題となります。高度な金融モデルが用いたブルームバーグの流動性評価(LQA)ソリューションは、データや最近の取引がほぼは欠如している銘柄を含め、幅広い証券に対応しています。世界のあらゆ情報提供社から収集した執行済取引の膨大なデータベースで学習させることで、モデルは日々キャリブレーションが実行され、変化する市況を素早く捉えることができます。こうした特長により、過去2年間での極端かつ予想外の市場イベントにおいても、LQAは一貫して正確な結果を示してきました。

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各資産クラスには投資スタイルの違いや微妙な市場環境の差があることを踏まえ、ブルームバーグはそれぞれの状況を反映させられるように資産クラス特有のモデルを構築しました。コスト、所有期間、出来高を測定するLQAの流動性指標はどれも一貫性が高く比較可能なため、多様なあらゆるポートフォリオに簡単に適用し、集計することができます。

データ分析チームは強力なバックテストを用いてLQA出力を監視し、モデルのパフォーマンスを追跡・検証するとともに、顧客のモデル検証プロセスにサポートを提供します。同モデルはカスタマイズが可能で、各企業独自のビューを提供するほか、ストレステストやシナリオテストへの対応も進んでいます。銘柄ごとに対象の市況にストレスを加えられるほか、取引ごとの出力指標を流動性コストや所有期間分布のさまざまなパーセンタイルに基づいてリクエストすることもできます。結果として、ユーザーは「テールイベント(発生頻度はまれだがその影響は極めて大きい事象)」をより忠実にシミュレーションすることが可能です。これは、シンプルな初期設定の出力よりも高い柔軟性が必要になる場合がある「制約条件のモニタリング」の枠組みを構築したり、ストレスシナリオの出力値が求められる規制要件への対応したりする上で特に有益です。

過去12カ月間で、ブルームバーグはLQAに次のような機能拡張を進めました。

  • 一式の新たな指標を開発し、上場投資信託(ETF)の実際の出来高やそのインプライド流動性に関する透明性を向上
  • LQAモデルを拡張し、ローン担保証券(CLO)に対応。これを実現するにあたり、CLOセクターの専門家と連携して高品質のプライシングデータを導入するとともに、そのデータをブルームバーグの流動性評価フレームワークに統合
  • LQAの機能を拡張し、日本の金融庁による導入が予定される流動性評価のガイドラインに対応
  • LQAモデルを強化し、流動性指標の品質とカバレッジを向上。追加のデータソースを組み入れたほか、執行可能取引高の予想にディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)を活用するなど、より高度な定量的モデル化手法を採用

今回のアワードの審査員は次のように述べています:

  • 「LQAは最先端のモデル化手法を利用することでデータが欠如した部分のギャップを埋めることができ、非常に強力なツールと言えます」
  • 「データドリブン型アプローチとバックテストによる裏付けを用いた非常に強力な市場流動性に関する商品と言えるでしょう」
ブルームバーグのリスク&インベストメント・アナリティクス・ヘッド、Zane Van Dusen氏
ブルームバーグのリスク&インベストメント・アナリティクス・ヘッド、Zane Van Dusen氏

ブルームバーグのリスク&インベストメント・アナリティクス・ヘッドのZane Van Dusen氏は次のように述べています:

「LQAがリスク・マーケット・テクノロジー・アワードのマーケット・リクイディティー・リスク・プロダクト・オブ・ザ・イヤーに3年連続で選出されたことを光栄に思います。LQAは弊社のお客さまのリスク・フレームワークにおいてますます重要な位置を占めるまでになりましたが、これはお客さまが直面し続けている市場流動性の評価という課題に対して簡単に用いることができるソリューションを提供してきた結果です。規制の順守に加え、お客さまがLQAを、取引前を含む取引ライフサイクル全体にも活用するという革新的手法を見いだし、流動性リスクを積極的に管理していることをうれしく思います」

本稿はRisk.netより転載しています。

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

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