Read the English version, LIBOR’s end is a game changer for global finance, published on January 21, 2021.
この記事はBoris Korbyと William Shawが執筆し、ブルームバーグターミナルに最初に掲載されました。
ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は約50年にわたって世界中で借り入れコストの決定に役立ってきました。
パネル行が見積もる他行への貸出金利が毎日集計され、それを基に算出されるLIBORは、単純で効率的、誰もが使用でき、そして信頼性が高いと思われていました。
しかし市場の進化につれ、パネル行が金利を算出する際の根拠となる取引が激減しました。2008年に金融危機が発生すると、何百兆ドルにも上る金融資産の金利指標の設定役として信頼されていた銀行が、自分たちに有利になるようにLIBORを操作していたことが発覚しました。
この3年以上、世界中の政策決定者はLIBORに代わる新たな指標の開発を推進してきましたが、LIBORよりも信頼性の高い代替金利を広く利用可能にすることや、その機能性をどう維持するかということが課題となっています。「言うは易く行うは難し」で、その進捗(しんちょく)には国や地域により差があります。
数字で見るLIBOR
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- 400兆ドル:2018年時点でLIBORを指標とする世界中の金融契約の合計推定価値(国際決済銀行(BIS)発表値)
- 12カ月:規制当局が大部分のLIBOR計算に使用される金利の提出をパネル行に求めるのを止めるまでの期間
- 5通貨:LIBORが正式に廃止される通貨の数。米国、英国、ユーロ圏、スイス、日本の政策決定者はすべて、代替指標への移行に向けて準備を進めています。その他の国も各国独自のLIBOR類似指標について改革を進めています。
なぜ重要なのか
LIBORが「世界で最も重要な数字」と呼ばれてきたのには理由があります。
変動利付債や担保付きローンから、複雑なデリバティブ商品まで、LIBORは幅広い金融資産の参照金利として使われてきました。しかし、この指標に頼るのは金融業界だけではありません。
住宅ローンや学生ローンから、クレジットカードまで、あらゆる金融商品がLIBORを参照しているのです。
従って、LIBORを別の金利で置き換えるというのは、金融市場始まって以来の一大事と言っても過言ではないでしょう。
世界中の規制当局がさまざまな代替金利を開発・推奨しています。投資家や企業の財務担当者は金融契約を書き換えて、数百万件の取引が混乱に陥り、訴訟の波に飲み込まれてしまわないように備えています。そして、銀行はポートフォリオ・エクスポージャーを見直し、移行を円滑に進めるために取引システムを一新しています。
2021年末には大半のLIBOR金利は廃止されますが、その作業があまりに膨大であることに加え、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が事態をさらに難しくしていることから、世界の規制当局は一部のLIBORの廃止を2023年半ばまで延期しました。
しかし、LIBOR廃止が刻一刻と迫る中、代替指標への移行を問題なく行うために克服すべき課題はいまだに残されています。
本稿は英文で発行されたを記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。