LIBORを参照したデリバティブ会計処理の行方

本稿はSilla Brushが執筆し、ブルームバーグターミナルに最初に掲載されました。英語原文はこちら

LIBORなどのベンチマークは参照する契約が370兆ドルに上りますが、不祥事を起こして廃止が予定され、銀行から大手石油会社まであらゆる企業の問題となっています。LIBORを参照したデリバティブの会計処理の方法が不明で、場合によっては損益のブレを抑える効果があるいわゆるヘッジ会計を放棄せざるを得ないとの懸念がありました。

そうした中、国際会計基準審議会(IASB)は新たな参照金利への移行期間中の対応について、5月3日、草案を公表しました。それによると、企業はデリバティブ取引について移行期間中も現在の会計処理をそのまま継続することが容認され、円滑な対応が可能となります。

ヘッジ会計を適用するためには、LIBORを参照する取引またはキャッシュフローの将来における「発生可能性が非常に高い」必要があります。ところが、LIBORが廃止されることになったためそれが難しくなり、ヘッジ会計が適用できなくなるとの懸念がありましたが、IASBの草案はその懸念を払拭しました。

IASB副議長のSue Lloyd氏は、インタビューで「市場には多くの不確実性がありますが、今回の草案で実務レベルの人々が抱えている問題の1つが解消されます」と述べています。

各国規制当局は2021年までにLIBORを廃止することを目指しています。金融業界は期限内に移行を達成するための取り組みを加速していて、債券やデリバティブ契約に新たな参照金利の使用を始めています。しかし依然として、LIBORなど既存のベンチマークの方が優勢です。

国際スワップデリバティブ協会によりますと、LIBORその他の銀行間取引金利を参照する金融契約は全世界で約370兆ドルに上ります。

草案に対するパブリックコメント募集は6月17日に締め切られ、IASBでは年内に最終規則を公表する予定です。

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