本稿はブルームバーグの株式スペシャリストの 佐藤円裕 が執筆し、ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されました。ターミナルユーザー様は、ブルームバーグターミナルご契約者様は、こちらから全文ををお読みいただけます。(2025年3月5日)
【背景】
米国の関税引き上げと円高進行がダブルパンチとなり、日本株式市場のボラティリティーが急上昇している。こうした中で、リスクを軽減できる投資先を求める投資家にとって、高配当銘柄はひとつの選択肢となり得る。
アナリストは今四半期のTOPIX(東証株価指数)の業績予想を下方修正したが、向こう数四半期の配当予想は引き上げている。1株当たりの純利益が減少する一方、配当金は増加している銘柄グループには、投資家のウォーレン・バフェット氏が保有する日本の商社銘柄が含まれている。このグループの配当金は今後数年間、増加を続けると予想されている。
ブルームバーグのEEG、EQS、TLTSおよびBDVDの各機能を使用して市場を分析する。
TPX Index EEG <GO>で業績予想を確認
ブルームバーグの機能を活用してTOPIXのアナリスト業績予想を追跡する。
ブルームバーグ
【追跡】
米国の関税を巡る脅威と円高の進行を受け、アナリストは2025年1-3月期(第1四半期)のTOPIX500指数のEPS予想を大幅に下方修正した。画面左上から二つ目の検索欄を「1株当り配当」に変更すると、ベンチマークの配当金予想が今四半期と来四半期に上昇していることがわかる。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の株式ストラテジスト、ローラン・ドゥイエ氏は2月のリポートで「貿易関税、円高、およびやや低調な業績見通しを巡る懸念から、投資家の熱気に冷や水を浴びせている」と述べている。過去3年間に円安の恩恵を受けてきた自動車、ハイテクのハードウエア、機械輸出の各企業群の業績は貿易関税によって圧迫されることになるだろう。
次に、純利益が減少している一方で、配当金が増加している企業を特定する。
「EQS 」 <GO>で利益が減少する一方で、配当金が増加している銘柄を検索
TOPIX500指数には、前年度から純利益が減少したにもかかわらずDPSが増加した企業が79社ある。「結果 | WATC >>」をクリックすると、三井物産、三菱商事、丸紅、住友商事がリストに含まれていることが確認できる。投資家のウォーレン・バフェット氏が、これらの銘柄を保有している。近年、政府主導で株主価値と企業ガバナンスの向上が促進されており、投資家の間で高配当銘柄に対する関心が高まっている。
比較分析を行う場合は、同様の手順を繰り返し、純利益が増加したが配当金が減少した銘柄を検索できる。
次に、この2つのグループのファクターに対するエクスポージャーを分析する。
TLTS <GO>で銘柄、指数、ファンドのエクスポージャーを比較
純利益は少ないが配当金が多い銘柄のユニバースは、サイズへのエクスポージャーが顕著に低く、一方でバリューと配当利回りへのエクスポージャーはTOPIX500よりも高いことが確認できる。下へスクロールすると同指数よりも生活必需品および原材料のアロケーションが多いことがわかる。また、純利益は多いが配当金が少ないもうひとつのグループでは、テクノロジーへの配分が最初のグループよりも多い。
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本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。