【インサイト】コインチェック騒動も日本はアジア最大の仮想通貨市場

この記事はフランシス・チャン が執筆し、ブルームバーグ端末に最初に掲載されました。 

世界第2の規模の仮想通貨不正流出があったものの、日本は今後もアジア最大の仮想通貨市場であり続けるだろう。新たな規制で制約が生じても、中国と韓国に比べれば日本市場の開放性は高い。日本のブロックチェーン関連企業では、日本の仮想通貨取引所大手であるビットフライヤーに出資するSBIホールディングスとGMOインターネットが最も有力である。

日本がアジア最大の仮想通貨市場となり、ビットフライヤーが市場をリード

2017年末、規制厳格化により中国のシェアが縮小し、日本が最大の仮想通貨市場となった。 cryptocompare.comのデータによれば、日本のトレーダーは、他の仮想通貨よりビットコインの取引に重点を置いている。 ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の集計では、17年10ー12月(第4四半期)の日本円による仮想通貨取引の世界シェア
は55%に達した。今年1月29日までにシェアは約35.5%へ低下したが、ドル取引のシェア38.7%に次ぐ規模である。ビットフライヤーが、取引量で日本最大のビットコイン取引所である。

ビットフライヤーへの出資会社には、SBIホールディングス、GMOインターネット、3メガグループなどのベンチャーキャピタル部門が含まれる。 ビットフライヤーはまた、ブロックチェーンを使った国内送金プロジェクトを先導する。日本の取引所では、今年はコインチェック、14年にはマウントゴックスの2つが、最大規模の仮想通貨の不正流出を経験している。

日本の主要取引所、主要仮想通貨、円ベースのビットコイン取引高シェア

・中国と韓国による仮想通貨の規制強化で、日本市場が首位に

規制の影響で北アジアの仮想通貨の取引環境が変わった。中国当局による新規仮想通貨公開(ICO)禁止や取引所閉鎖、コインマイ二ング(採掘)規制で、16年には90%を超えていた中国人民元のビットコイン取引シェアは、ほぼゼロとなった。 Huobi, BTCチャイナ、OKコインなど、中国の主要取引所全てが同国での事業を停止している。韓国は匿名での取引を禁止したほか、取引所取引の禁止も検討するとし、これを受けてウォンベースのシェアも縮小している。仮想通貨に対する日本の開放性と市場に適応した規制により、今年1月29日まで円ベースのシェアは30%を超える水準を保っている。

通貨別のビットコイン取引高シェア

・SBIホールディングス、GMOインターネットのシェアが日本のブロックチェーン関連企業を率いる

日本のブロックチェーン関連銘柄では、SBIホールディングスとGMOインターネットの1月29日までの半年間の株価上昇率はそれぞれ75.9%、44.2%と、TOPIXの15.2%を上回った。 SBIのベンチャーキャピタル部門はリップルやビットフライヤーをはじめ、さまざまな新興企業に投資している。 1月30日時点で、リップルの仮想通貨「XRP」の市場価値は497億ドル(約5兆4100億円)。同じくビットフライヤーへ出資するGMOは仮想通貨マイニングセンターを運営し、さらなる資金調達に向けてICOを計画している。

BIがウオッチするその他の日本のブロックチェーン関連企業では、仮想通貨取引所を運営し、3億円規模の仮想通貨基金の立ち上げを計画するフィスコや、インフォテリア、メタップス、リミックスポイントなどがある。

日本のブロックチェーン関連上場企業

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