Read the English version published on December 12, 2022. (Terminal link only)
本稿はブルームバーグのマーケット・スペシャリスト中込安政、小野美和子、中園雅慧および Tran Do Thinh Hoang が執筆し、 英語版がブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されました。契約者様は、こちらから全文をお読みいただけます。
背景
日本の銀行は2022年に欧米の銀行のように利回り上昇の恩恵を受けませんでしたが、株価パフォーマンスと成長性で欧米の競合をやすやすと打ち負かしました。来年、日銀の政策スタンスでより一層踏み込んだ変更があれば、さらなる改善が見込まれると思われます。
TOPIX銀行業指数は年初来17%の上昇を記録していますが、これは欧米の銀行株価が下落しているのとは対照的です。日本銀行の黒田東彦総裁の任期が来年4月に満了した後、日銀の金融政策がさらに変更された場合、国内の銀行は恩恵を受ける可能性があります。製造業と非製造業の向こう3年間のインフレ見通しは急上昇しています。直近の決算期で銀行セクターにおいて最も大きな収益サプライズを示したのは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)でした。
課題
ブルームバーグのチャート機能を使って、マクロ動向と個別銘柄を分析します。
日本と海外の銀行株指数を比較します。
今年、TOPIX銀行業指数は16.8%上昇しました。これに対し、MSCI欧州銀行株指数は5.9%、S&P500銀行株指数は22.1%下落しました。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によれば、4-9月にかけて日本の大手銀行のほぼすべてが通期業績予想の50%を超える純利益を計上しました。BIシニア・アナリストの田村晋一は、「与信コストが会社計画を下回って低位にとどまったほか、米金利上昇を背景にした外債などの債券売却損についても、株式売却益や投信解約益、円安差益をうまく活用してカバーできた銀行が多かった印象だ」としています。
インフレと賃金の伸びが予想を上回る見通しから、日銀が現行の金融政策をさらに調整する可能性を金利市場が織り込み始めれば、日本の銀行セクターにとって好材料となるでしょう:
追跡
インプライド政策金利カーブ(緑色の線)は、9月初旬(点線)から上昇しました。コアインフレ率は現在、日銀の物価安定目標2%を7カ月連続で上回り、インフレ目標が満たされたとの見方が強まっています。トレーダーの間では、23年4月8日の黒田総裁の任期満了後、さらなる政策変更が行われるとの観測も浮上しています。
インフレ予想を確認してみます:
大企業・製造業および大企業・非製造業では、今後3年間のインフレ見通しも、この1年で急上昇しました。最新の大企業・全産業の短期経済観測調査(短観)によると、向こう3カ月間の業況は安定が見込まれています。
次に、金融銘柄の利益と収益サプライズを確認します:
日本の金融機関の直近収益は全体でコンセンサスを19%上回り、インデックスの469構成銘柄中、国別では第3位でした。「日本」の行をクリックすると、日本最大の銀行MUFGの収益はコンセンサスを60%、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は19%上回っていることがわかります。
最後に、MUFGのアナリスト業績予想を確認します:
MUFGの本業利益から信用コストを差し引いた経常利益(青色)は、21年に低値に達した後、25年まで安定成長が予想されています。純利益(オレンジ)も同様のトレンドを示しています。
当機能またはブルームバーグ プロフェッショナル サービスのその他機能に関しての詳細は、こちらをクリックしてブルームバーグの担当営業にデモをリクエストしてください。すでにブルームバーグをご利用のお客さまは、ブルームバーグのキーボード上で<HELP>キーを2度押してお問い合わせください。
本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。