【端末活用術】邦銀株のブレークアウトは始まったばかりか-日銀政策の本格修正迫る

本稿はブルームバーグのファンダメンタルズ・データ・アナリスト中込安政が執筆し、ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されました。ターミナルユーザー様は、こちらからも本記事をお読みいただけます。(2023年9月21日)

【背景】

日本の銀行株のブレークアウトは年末まで続く可能性がある。イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の終了観測が高まり、長年にわたるマイナス金利で抑えられてきた銀行の収益力が改善する見通しが強くなっているからだ。

日本銀行の植田和男総裁がそうした政策修正を示唆したことを受け、東証株価指数(TOPIX)銀行業指数は7-9月(第3四半期)に入って22%上昇し、2008年以来の高値に達した。邦銀各行の株価純資産倍率(PBR)改善に注力する姿勢、収益力の向上、純金利収入の見通しといった要因が、季節的に強い10-12月(第4四半期)の株価上昇を支えると期待される。

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【課題】

ブルームバーグのWIRP機能、PEBD機能、EQS機能、WATC機能、KPIC機能、SEAG機能で株式市場を分析する。

WIRPでインプライド政策金利を追跡   Source: Bloomberg

オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)に織り込まれた日銀の利上げを確認する方法は以下の通り:

  • コマンドラインに「world interest rate probabilities」と入力し、「WIRP – 世界の金利予想確率」を選択。この機能では、先物市場とOIS市場が示唆する金利を分析できる
  • 画面左側のメニューから「JP – OIS」をクリック。クイック入力は「WIRP JP <GO>」

来年3月19日までに10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の政策金利引き上げが1回織り込まれている。現在の政策金利はマイナス0.1%だが、来年3月19日の会合後のスワップが示唆する翌日物金利の変化は+0.129%となっている。日銀は9月22日の会合で政策を据え置くと予想されており、会合後の記者会見に注目が集まっている。

23年の株価上昇の背景には、東京証券取引所からPBRを1倍以上に引き上げることを求められた国内上場企業各社の対応もある。

銀行業のPBRの推移を追跡する方法は以下の通り:

TPNBNK Index PEBDで邦銀のPBRの推移を追跡 Source: Bloomberg
  • コマンドラインに「topix bank」と入力し、「TPNBNK Index – TOPIX銀行業指数」を選択
  • 「price band」と入力し、「PEBD – 株式銘柄比較価格バンド」を選択。クイック入力は「TPNBNK Index PEBD <GO>」
  • 「指標」列の「LTM PBR」の隣にあるラジオボタンをクリック
  • 画面右上にあるグレーの[10年]のボタンをクリック
  • 「バンド」欄に「0.2」と入力し、標準偏差の範囲を広げる

銀行のPBRは現在、0.7倍となっている。画面下部のチャートが示す通り、PBRが1倍に達した場合(青色の線)、銀行業指数は360.15まで上昇すると考えられ、9月21日午後時点の価格から約33%の上昇余地がある。

邦銀の1株当たり利益(EPS)は12カ月後に13.4%増加すると予想され、それに対し米銀は1.8%減少するとみられている。邦銀の24カ月先予想EPSの直近実績ベースからの上昇率は5.9%と米銀の5.0%を上回る。

日本の国内総生産(GDP)成長率は4-6月(第2四半期)まで3期連続で上昇し 、新型コロナウイルス禍からのマクロ経済の回復が金融緩和の正常化を後押ししている。日本の株式市場も、中国の景気停滞で同国から注目が離れるのに伴い、海外からの資金流入の恩恵に浴している。

ターミナルユーザーさまは、上記の他にも、邦銀および米銀の業績のアナリスト予想を確認する方法、邦銀の予想純金利収入を世界の銀行と比較する方法、TOPIX銀行業指数の季節性を分析する方法など含めた全文を、こちらからをご覧いただけます。

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