ESG債市場が急拡大、累積発行額3兆ドルを突破

Read the English version published on June 21, 2021.

この分析は、ブルームバーグ・インテリジェンスのESGおよびテーマ投資EMEA部門統括Adeline Diabが執筆し、ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されたものです。

ESGのグリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド発行額は爆発的なペースで増加しており、初めて市場で販売されてからわずか15年で、累積販売額が3兆ドルを突破しました。債券・ローン発行総額が最初の1兆ドル台に達するまでには10年を要しましたが、2兆ドルから3兆ドルに達するにはわずか6カ月と過去最短期間で記録、これは新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)と排出ガス実質ゼロに向けた競争、グローバルなグリーン金融刺激策や記録的な低金利などに後押しされたものです。

ESG債発行額が3兆ドルに急増、新たな記録を樹立

ESG債の発行総額は今週、グリーンボンドとサステナビリティ・リンク・ボンドの双方が爆発的に増えた結果、3兆ドルを突破しました。最初の1兆ドル台を達成するには12年かかりましたが、その後は1年で2兆ドルに、そして今年に入ってわずか6カ月間で3兆ドルに達したものです。急成長に終焉の兆しはみえずグリーン、ソーシャル、サステナビリティボンドやローンの販売額は既に今年前半、過去最高を記録した2020年の90%以上に相当する約7300億ドルを記録しています。

引き続きグリーンボンドが大半を占めていますが、最も急成長したのはサステナビリティ・リンク・ボンドで、3倍に増えました。サステナブル・ローンも重要な資産クラスとして台頭しており、過去4年間で合計債務発行額1.2兆ドルの約半分に相当する5830億ドルに達しています。

ESG債発行額が3兆ドルを突破

グリーンボンドの主要な発行体は?JPモルガンとBNPパリバがリード

JPモルガンは2021年も今のところグリーンボンドの引受会社としてトップの座を占め、グリーン目標やソーシャル目標をサポートする企業の2130億ドルに上る資金調達に貢献しています。BNPパリバやクレディ・アグリコル、HSBCといった欧州の銀行がグリーンボンドの引受業務で圧倒的な地位を占める一方で、JPモルガンやシティグループ、バンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスなど米国の銀行が企業および政府のグリーン取引市場に占めるシェアは、2019年の2%から2020年には約19.75%へと急拡大しています。

グリーン社債の発行セクターとしては、当然ながら、公益事業、インフラ、不動産セクターが最大でした。今年に入って最もグリーン国債発行額が多かったのはフランスと日本です。

グリーンボンド引受会社上位行

ブラックロックがグリーンボンド市場で7.5%と最大のシェア

欧州連合が2250億ユーロのグリーンボンドの発行を確約しているほか、欧州中央銀行(ECB)による債券買取プログラムがESG債券市場の下支えとなる一方で、排出ガス「実質ゼロ」に向けて世界中が競う中で、資産クラスとしてのグリーンボンドの市場シェアは加速的に増える可能性があります。企業だけでなく、英国やカナダといった国家、そしてさらにはガーナなどの新興国も、グリーンボンドを発行する可能性があります。

グリーンボンド保有で最大のシェアを持つのはブラックロックで、6月現在125億ドル(過去6カ月で倍増)を有し、市場シェアを2.5%から7.3%に増やしています。それに続くのはバンガード(4.65%)、アリアンツ(4.47%)、クレディ・アグリコルと日本の年金基金(各2.6%)です。上位15位の投資運用会社は米国、欧州、日本に集中する傾向がみられます。

上位グリーンボンド保有行

ESG債発行高は25年までに11兆ドルへ

ESG債市場は、過去5年間の半分のペースで拡大すると想定して、現在の3兆ドルから25年には11兆ドルに達する可能性があります。企業や開発プロジェクト、中央銀行が牽引するESG債の有機的成長のペースに鈍化の兆しはなく、目先はパンデミックやグリーンリカバリーの取り組みによって市場拡大がさらに進むと思われます。EUは雇用支援に1000億ユーロ、パンデミック後の経済回復に2250億ユーロを投じることを確約しています。また、米国のバイデン大統領が2兆ドルのエネルギー戦略を掲げる一方で、中国では23年にグリーンボンドが償還期限を迎えるなど、すべてが債券の新発債発行に十分な余地があることを示しています。

この記録破りな投資ペースは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックや排出ガス「実質ゼロ」に向けた取り組み、世界各国のグリーン金融刺激策、低金利環境の下、グリーン目標やソーシャル目標を満たすESG債の需要が高まっていることが背景にあります。

2020-25年のESG債の発行額実績と予想

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。