サステナブルファイナンスのモメンタムを形成する4つのトレンド

Read the English version published on April 11, 2022.

この分析はブルームバーグNEF(BNEF)によるもので、ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されました。

低炭素社会への移行により、サステナブルファイナンスの取引が急増しています。投資家が何兆ドルもの資金をサステナブル関連銘柄に配分し直していることを受け、革新的な各種金融商品が生まれ、規制整備も拡大が続いています。企業も対応を進めており、適切な環境・社会・ガバナンス(ESG)データの収集方法や公開方法を見直し、温暖化対策目標の強化に取り組んでいます。2021年にはサステナブルファイナンスのほぼすべての重要成長指標がこれまでにない水準に達しており、将来的な市場規模のうち表面化しているのは氷山の一角にすぎないことが示唆されます。

  • ESG投資の勢いが増しており、企業も対応を進めています。ESG上場投資信託(ETF)への資金流入は2021年、1286億ドル(約16兆5000億円)と過去最高に達しました。持続可能性への対応に取り組む企業の増加から利益を得ようとする、こうしたESG ETFは増え続けています。昨年、パリ協定に準拠した排出量目標を新たに設定した企業は1400社以上、温室効果ガス排出量「実質ゼロ」の目標を設定した企業は数百社となりました。
  • 金融機関が気候変動リスクへのエクスポージャーを減らす中で、金融業界では低炭素化への移行を進めています。世界各地の銀行機関のうち1300行以上が化石燃料からの投資撤退(ダイベストメント)を宣言していることに加え、71行以上が脱石炭方針を導入しています。とはいえ、銀行は依然として化石燃料企業や化石燃料プロジェクトへ年間数千億ドルを融資し続けているため、金融機関による脱炭素化への動きにはまだ進展の余地があります。
  • サステナブル債券の発行額は2021年に1兆6000億ドルに急増し、新たな各種金融商品が相次いで作られています。グリーンボンドは金融業界では相変わらず人気で、昨年は6250億ドル相当の発行残高となりました。一方で、社会的使途やより広範な持続可能性に関連する使途のために発行された債券は4000億ドルを超えました。低炭素化への取り組みに発行体企業が責任を負う、サステナビリティ・リンク・ボンドも飛躍的な前進を遂げています。
  • 多くの国が政策内容の強化を決定している中で、サステナブルファイナンスの規制は転換期を迎えています。企業に対するESG報告の義務化は世界10カ国以上で実施、計画、もしくは検討されています。これに伴い、タクソノミーを設定する「タクソマニア」の動きが世界中で広がっているほか、「持続可能性」の定義が法制化されてきています。

ブルームバーグの主要なリサーチサービスであるブルームバーグNEF(BNEF)は、クリーンエネルギー、先進輸送技術、デジタル産業、革新的な素材、コモディティなどを対象としており、政府・金融・企業の戦略立案者を中心とする幅広いユーザー層にご活用いただいております。その他のコンテンツはBNEFブログ(英文)をご覧ください。

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

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