新たな会計基準案に対応を迫られる金融機関

今年1月に、企業会計基準委員会(ASBJ)は、金融商品の公正価値測定の開示に関するガイダンスの修正案を発表しました。今回の修正は、国際財務報告基準(IFRS)第13号「公正価値測定」の承認プロセスを反映したものです。ASBJは、業界としての導入時期を2021年4月で設定しました。

規制当局による発表は、まだ提案段階です。市場参加者からは、新たな規制の遵守には準備時間が足りないことを示唆する声も出ています。ただ、当初の提案だった実施期限は、2021年4月に延期されました。しかしそれでも、各社は迅速に行動しなければならないことは変わりなく、すでに監査法人と密接に協力しながら、改訂後の会計基準の導入についてそのように進めるか、作業に着手している企業も多いかもしれません。

IFRS第13号は、すでに欧州と東南アジアで幅広く採用されており、米国でも同様のルールが適用されています。公正価値は、IFRS第13号では「測定日における市場参加者間の秩序だった取引において、資産の売却により受領する、または負債の移転により支払う価格」と定義されています。世界金融危機当時、時価会計を採用していた企業各社は、自社のポートフォリオに蓄積していた損失の認識を怠りました。IFRS第13号は、その結果生じたさまざまな問題に対応して定められた一連の会計基準の変更をまとめたものです。

新たな規制は、企業が自社の保有する金融商品の公正価値を決定し、決定した価値の根拠を示し、さらに、プライシングにおける信頼性の程度を「1」から「3」でレベル分けすることを義務づけています。日本の会計原則(GAAP)を採用している組織であれば、新IFRS基準に従うことになります。

このプロセスは複雑です。新たな規定では、プライシングに関する情報源を第三者にすることが義務づけられていますが、それを提供できるサプライヤーは多くありません。例えば、日本証券業協会(JSDA)は、そうした情報源の一つですが、価格を提供している数多くの証券会社に関するデータも、法令遵守に必要なその他の背景情報も提供しません。

他の西欧諸国と比べて、日本市場ではこのように透明性が欠如していることも、さらなる頭痛の種となっています。金利がゼロやマイナスになることの多い環境を受けて、投資家は、売買量が少ないためにプライシングが不明朗な、ローン担保証券(CLO)などリスクの高い商品に向かいます。さらに、日本では債券をバイ・アンド・ホールドで持ち続ける投資家が多いため市場の流動性が低くなりがちで、最新の時価情報を取りにくくなっています。

価格を確定し、その価格情報を監査法人に提供して妥当性を確認してもらうには、規制上、相当量のデータが必要なのです。

このプロセスを促進するため、ブルームバーグは、日本向けにIFRS第13号データフィードを設計しました。多数の情報源から得た価格データをまとめて、規制当局が求める日数や標準偏差といった情報を提供します。

各企業独自の情報と75のデータポイントで統合することが可能なブルームバーグのツールは、250万種類の有価証券に関して、透明性が高く立証性のある時価評価を提供するサービスです。

本サービスは、ブルームバーグのBVAL(ブルームバーグ評価サービス)を情報源とするプライシングを利用して、一貫性と透明性を確保します。新たな規制では何らかの価格相違の場合には原因を特定することが義務づけられるため、この商品特性は非常に重要です。

ブルームバーグのソリューション部門では、プライシングを3つのレベルに区分しています。

  • レベル1 ー発生後1日以内の執行可能なブローカー価格
  • レベル2 ー観察可能な価格
  • レベル3 ー完全にモデルに基づいた価格

ブルームバーグは、他の金融機関、コンサルタント、監査法人とともに築き上げた市場コンセンサスのルールを適用して、ある価格がどのレベルに属すのかを自動的に決定するだけでなく、ASBJの協力を得て、こうしたルールを常に最新の状態に保っています。

それ以外の方法としては、企業側でルールを修正することも、自社が独自に作成した指針と置き換えることも、両者を組み合わせて使うこともできます。

これまで欧州と北米の企業および銀行がIFRSを遵守するための支援をしてきた経験を通じ、ブルームバーグのアルゴリズムは、債券に関する最も複雑なプライシング・レベルも自動的に確立できます。

金融機関は2021年の期限に間に合うように、今後データ提供業者との協議を始め、提供する価格について、各業者からどのような情報が提供されるかを明らかにしていかなければなりません。また、提供されるデータの流れとインフラを分析し、財務報告システムの中で、追加の価格情報がどう処理されるかを見極めたいと考えているはずです。

これは非常に重要なプロセスです。IFRSは企業のさまざまなオペレーションのうちの会計機能に関する基準ですが、その影響がトレーディング管理やリスク管理まで広がることも頻繁にあるからです。各社は、ヘッジコストまたは借り入れの利用が最小限になるような投資を求めています。公正価値のレベル区分は、会計以外にも有益で、企業は計算結果を用いて、投資有価証券のポートフォリオにとって最適な組み合わせを構成することができます。

新たな規制に対応するための解決策をタイムリーに実施することは、容易ではありません。ブルームバーグは、これまで大手監査法人数社の協力を得て、弊社のテスト済みのプライシング結果と公正価値のレベル区分のデータで、この課題に対するサポートができることを明らかにしてきました。ブルームバーグのデータを利用することで、自社の公正価値手法を基に自動化されたルールをつくることが可能となります。