激動の原油市場:トレンドを見極める

Read the English version published on August 10, 2020.

本稿はブルームバーグ・マーケット・スペシャリストの Zef Lokhandwallaが執筆しました。

背景

原油市場の激動がトレーダーを翻弄しています。ブレント原油価格は4月の底から2倍以上上昇し、6月半ば以来1バレル40ドル超の水準が続いています。そして今、トレーダーが知りたいのは、「この後、原油市場はどう動くのか」ということです。

需給の見通しはそれほど良好とは言えません。石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」は、サウジアラビアとロシアが率先する形で、8月から日量200万バレル近く増産する予定です。一方データによると、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が影響し、中国では航空機での海外旅行が激減して石油需要が縮小、米国でも夏場のドライブ旅行が不調です。

ブルームバーグ・ファースト・ワードの原油ストラテジストのJulian Leeによる見解は以下の通りです。「こうしたデータはすべて、増加する供給と停滞する需要回復との間で原油価格が圧迫されていることを示しており、原油市場の強気筋には懸念材料となるでしょう。次の大きな動きとしては、上昇よりも低下となる可能性が高いためです。」

 課題

見通しが弱気であっても、ベテランの原油トレーダーはファンダメンタル指標に注目して原油価格の次の動きを見極めようとしています。事例によれば、信頼できるシグナルの1つが石油会社の雇用者数であり、石油会社が雇用を拡大し始めたら原油の売り時、縮小し始めたら買い時というものです。

当然のことながら、さらなる価格ショックや新型コロナウイルスの第二波の可能性に備え、各石油会社では人員削減が続いています。例えば、ヒューストンに本社を置く石油サービス大手Schlumberger社は、この14年間で最悪の四半期売上高を最近発表したのに続き、約20%の人員を削減する予定です。世界各国の石油会社も同様の境遇にあり、世界最大の石油輸出企業Saudi Aramco社は今年、数百人規模の人員削減を行い、設備投資を100億ドル以上縮小する予定です。

ブルームバーグ ターミナルの機能を活用すると、石油業界の雇用者数の推移が原油価格に与える影響をさらに詳しく把握できます。米労働統計局が発表する非農業部門雇用者数の石油・天然ガス採掘分野と、相対的な強さを示す複数のテクニカル指標を組み合わせることで、石油会社の過去の雇用戦略を測定し、今後のトレンドを判断することもできます。

トラッキング

STDY機能を使うと、複数のテクニカル指標とファンダメンタルズ指標のほか、ブルームバーグの独自データを自由に組み合わせて表示できます。下図のカスタム・スタディでは、5年平均の「石油・天然ガス業界従業員数」に基づいて次のトレンドの方向性を把握できます。

この「石油・天然ガス業界従業員数」と相対的な強さを示すテクニカル指標とを組み合わせたスタディをバックテストすると、雇用戦略の過去の実績が測定されました。

暫定的な結果としては、画面右側のパネルにある損益統計に基づくと有望なものでした。これをさらに微調整・最適化して、モデルの信頼性を確実なものとし、カーブ・フィッティングのリスクを軽減させる必要があります。石油市場のトレンドをより深く分析すると、体系的なヘッジ戦略や取引戦略の基盤を構築できます。この事例では、過去の石油会社の人員削減が原油価格上昇の指標となっていたことを示しています。

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