4つのチャートで読む中国恒大危機:ブルームバーグ・インテリジェンス

Read the English version published on October 6, 2021.

この分析は、ブルームバーグ・インテリジェンス・アナリストJohn Leeによるもので、ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されたものです。

現在問題となっている中国恒大集団の債務危機について、4つのチャートで説明します。これらのチャートはブルームバーグ・インテリジェンスのアジア株式・債券アナリストが作成したものです。

これまでの経緯

中国恒大の流動性問題は、香港の銀行が7月に建設中の住宅に対する住宅ローンの提供を中止したことで、住宅の買い手と銀行によって引き起こされました。Patrick WongとLisa Zhouが作成したチャートは、その影響が建設業者から仕入先、従業員そして最終的には債券保有者までいかに速く波及し、社会不安懸念が高まったかを示しています。

7月以来の中国恒大関連の出来事

出所:ブルームバーグ・インテリジェンス

中国恒大の資金はどの程度不足しているのか?

21年上半期現在、中国恒大の手元資金は短期負債全体(2,430億ドル)のわずか6%をカバーするのみで、これは建設業者グループの中で最低水準となっています。興味深いことに、中国恒大の上半期の短期負債のうち85%は買掛金とその他の債務で、過去12カ月間に20%急増しています。同時に短期借入は39%減少しており、同社が建設業者や従業員よりも債券保有者を優先した可能性を示唆しています。これは、買掛金ではなく主に借入に注目する政府の負債指標「三条紅線(3つのレッドライン)」によって思いがけずもたらされた結果だったと考えられます。

中国恒大と広州富力地産の債務に充当可能な現金比率 (キャッシュ・カバレッジ・レシオ)が最低

出所:企業提出書類、ブルームバーグ・インテリジェンス

中国恒大の今後の展開

BIアナリストのDaniel Fanによれば、中国恒大の流動性問題は、来年になって60億ドルを超えるカンフー債とオンショア債が償還期限を迎えれば、さらに悪化する可能性があります。例えば3月には20億ドル近くが償還期限を迎えることになります。現在は9月23日に支払い期限を迎えた8,350万ドルのクーポンが未払いとなっています。利払いできない場合、デフォルトを宣言されるまでの支払い猶予期間は30日あります。今年は公募債の償還はありませんが、買掛金に加え、10月3日には中国恒大が保証している私募債2億6,000万ドルが償還期限を迎えます。同時に、中国恒大は生命保険事業の持ち分50%を売却して6億ドル調達する可能性もありますが、(今のところ)不動産管理の恒大物業や香港の本社、それに上海での上場が中止となったEV部門の中国恒大新能源汽車の買い手を見つけられない状況です。。

償還日プロフィール(四半期次)

出所:ブルームバーグ・インテリジェンス

中国恒大はなぜあれほど積極的に配当を支払ったのか?

中国恒大の過去の積極的な配当方針が流動性問題の一因となった可能性があります。中国恒大会長の許家印教授は同社株式の約70%を保有し、同社の上場後、税引前で72億ドルを配当として受け取っています。昨年だけでも受取配当金は30億ドル近い金額となりました。許氏は中国恒大の債務10億ドルを買い取ったと公言していますが、BIアナリストのAndrew Chanによればまだ62億ドルの個人財産があり、中国恒大救済に一役買うことも可能です。

会長が受け取った配当金(単位:100万ドル)

出所:企業提出書類、ブルームバーグ・インテリジェンス

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。