機械学習を活用し、企業の温室効果ガス排出量を推定する

Read the English version published on February 25, 2021.

気候変動の問題が深刻さを増す中で、環境を意識した投資へのシフトが起きつつあります。

ブルームバーグは、社会を意識した投資の投資判断を支援するために、環境、社会、ガバナンス(ESG)に関するデータを提供しています。

こうした投資判断で重要な指標となるのが企業の温室効果ガス(GHG)排出量です。しかし、企業に排出量開示を義務付ける規則が存在しないことから、環境を意識した投資判断を行うためには排出量の推定が必要となることがよくあります。

本稿では、開示されたGHGデータによりトレーニングされた機械学習手法を使って、企業の直接的および間接的GHG排出量の確率分布を推定する方法についてご説明します。

排出量を推定する従来の方法では、まず類似した企業をバケットに分類します。

次に各バケット内でデータを開示している企業の報告値の平均を同じバケット内でデータを開示していない企業の推測値として使用するか、あるいはバケット内の企業の主なGHG排出源と考えられる要因を使った単純なモデルを開示データに適用します。

炭素排出量推定モデルについて言えば、典型的な方法は企業を業界セクターごとのバケットに分類し、各バケットに線型モデルを当てはめるというものです。

しかしブルームバーグではより複雑な機械学習手法を使用して全てのデータを学習させ、各属性を条件とするGHG排出量の全分布を推定しました。

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ブルームバーグのESGデータ

ブルームバーグは、約1万3000社のグローバル企業が開示したESG年次データを古いものでは2006年までさかのぼって提供しています。フィールド数は300を超え、その内訳は環境が147、社会が66、ガバナンスが118となっています。

しかしながら気候変動に関するフィールドの多くは企業が自主的に開示した情報であるため、炭素排出量に関する信頼性の高い推定値へのニーズが高まっています。

ブルームバーグのファンダメンタルズデータ

ファンダメンタルズデータには、財務アナリストが企業分析を行う際に使用する主要な3つの財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)の情報が含まれています。また、多くの企業に共通する属性(総資産や法人設立国など)に加えて、業界固有のデータフィールド(航空会社の飛行時間など)もご用意しています。

ブルームバーグの業界分類データ

業界分類については、各業界を階層に分類するブルームバーグ業種分類基準(BICS)をご用意しています。全産業セクターを少なくとも4つ、最大で8つの階層に分類しています。

高度な機械学習技術

ブルームバーグの機械学習スタックでは、Amortized Inferenceのための勾配ブーストデシジョンツリー、正規化流を用いたリキャリブレーション、正則化のためのPatterned Dropoutを使用しています。

これは以下に役立ちます。

  • 企業のGHG排出に関連する属性を一見しただけでは関係性が明確でない場合にも利用
  • 企業規模と排出量の関係など、あらゆる業界に当てはまる関係を学習
  • GHG排出量の不確実性のモデル化。この不確実性は予防原則の適用に役立ちます。企業のGHG排出量を過小評価するよりは過大評価することにより、企業に対してGHG排出量を隠すよりも開示するように促します。

ブルームバーグの高度な技術を通常の手法と比較したところ、平方誤差、パーセント誤差、較正誤差などさまざまな指標について、ブルームバーグのモデルが勝っていました。

また、過去に排出量データを開示した企業の分布推定値を提供するだけでなく、ESGデータを開示したことがない企業についても機能するようにモデルを調整しました。

高度な機械学習技術を用いて企業の炭素排出量を推定するブルームバーグのモデルに関する詳細は、ホワイトペーパーをダウンロードしてください。