Read the English version published on August 27.
本稿は、ブルームバーグ・インテリジェンスの上級ストラテジスト、Manish Bangardとブルームバーグ・インテリジェンスのストラテジスト、Rahul Mahtaniが執筆し、ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されました。
アップルや配車サービス会社、ウーバー・テクノロジーズ、エネルギーテクノロジー会社のベーカー・ヒューズ、および衛生サービス会社エコラボといった米国の主要なESG(環境・社会・企業統治)および低炭素排出企業の7-9月(第3四半期)の1株当たり利益(EPS)会社予想は、4-6月(第2四半期)決算発表後に上方修正されました。S&P500種株価指数内のESGスコア上位企業を見ると、資本財・サービス、素材および生活必需品などの6セクターでEPS予想の平均修正率が高く、中でもESGスコアが高い企業ほど修正率がそれぞれのセクター全体を上回る結果となりました。 エネルギーは資本財・サービス、素材、および公益事業と同様に重要な気候分野に含まれ、低炭素排出企業の予想EPS変化率が同業他社を上回る結果となりました。
3QEPS予想修正、資本財や素材のESGリーダーで顕著
ESGスコアがトップ四分位のS&P500種構成企業では、第2四半期の決算発表後に予想修正となった第3四半期EPSの変化率が、それぞれの6セクター平均より大きくなっています。 セクター平均との差が最も大幅だったのは資本財・サービスで、ESGリーダーのEPS予想の修正率が平均プラス1%だったのに対し、セクター平均はマイナス9.4%でした。同様に、素材、生活必需品、コミュニケーション・サービス、テクノロジー、および一般消費財・サービスの高ESGスコア企業のEPS修正率は、マイナスだったセクター平均を上回りました。
対照的に、良好なESGスコアを持つ企業の利益下方修正がセクター平均よりも大幅だったのは、不動産投資信託(REIT)、公益事業、ヘルスケア、金融、およびエネルギーの5セクターでした。セクター平均を最も大幅に下回ったのはREITで、ESGリーダーがセクター平均を17%下回りました。
ESG上位企業の3QEPS修正率:セクター比較
ブラック&デッカーなどがESG銘柄のEPS予想修正でリード
ESGスコアが高いS&P500種構成企業25社は、第2四半期決算発表以降の第3四半期EPS会社予想の上方修正で際立ちました。そのうち7社は、工具メーカーのスタンレー・ブラック・アンド・デッカー、設計金属製品メーカーのハウメット・エアロスペース、およびウーバー・テクノロジーズを含む資本財・サービス企業で、EPS予想変化率はそれぞれ17%、8%、6%でした。これに対してセクターの第3四半期の平均予想EPSは、平均マイナス9.4%となっています。金融セクター4社がこれに続き、オンライン決済サービス会社のペイパル・ホールディングスとステート・ストリートのEPS修正がそれぞれ7%および3%だったのに対し、セクター平均はマイナス1%でした。続くテクノロジーセクターでは、テクノロジーソリューションメーカーのPTC、半導体メーカーのクアルコム、そしてアップルの3社で変化率がそれぞれ5%、3%、および3%だったのに対し、セクター平均はマイナス2%でした。
一般消費財・サービス、エネルギー、素材、およびコミュニケーション・サービスの各セクターもそれぞれ2社が上位25位内に入り、フォード・モーター、ベーカー・ヒューズ、フリーポート・マクモラン、およびTモバイルUSなどが含まれました。
3QEPS会社予想が上方修正されたESG上位の米国株
3QEPS会社予想修正、低炭素銘柄ではエネルギー株が突出
低炭素排出企業の中でトップだったエネルギー企業は、13%と特出した平均予想EPSの変化率だったのに対し、同セクター平均はマイナス2%でした。気候変動対策の主要3セクターであるエネルギー、資本財・サービス、および素材セクター内で、二酸化炭素低排出企業の第2四半期決算後の第3四半期EPS会社予想の修正率は、それぞれのセクター平均に比べて高くなっています。これらの企業は、セクターとの相対で見た炭素強度(売上高に対するスコープ1と2排出量の割合に基づく)がボトム四分位だっただけでなく、修正率で同業他社を3-14%上回っています。
さらにテクノロジーやコミュニケーション・サービスを含む9セクターで、低排出企業の予想EPS修正率がセクター平均を上回りました。 しかし、ヘルスケアと金融セクターでは低炭素銘柄が平均を1-2%下回る結果となりました。
トップ低排出企業の3QEPS会社予想修正:セクターとの比較
3QEPS会社予想修正、低排出企業ではアップル、ウーバーが目立つ
S&P500種内の低炭素排出企業のうち30社は、第2四半期決算発表後に第3四半期予想EPSを上方修正し、その修正率は各セクター平均を上回りました。これらの企業には、アップル、ウーバー、動画配信サービスのネットフリックス、ベーカー・ヒューズ、そして医療保険会社アフラックが含まれています。 資本財・サービス、テクノロジーおよび金融セクターのすべてで、低炭素排出5銘柄の平均EPS修正率がセクターの同業他社を上回りました。
低排出企業は炭素強度(売上高に対するスコープ1と2排出量の割合)がそれぞれのセクターの下位20%に入る企業です。
3Q会社予想EPSを上方修正した低排出企業
本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。