Code Crunch ロンドン:ユーザー各社が共有する、BQuantエンタープライズの高度なデータ分析・テキスト分析の取り組み

Read the English version published on December 4, 2025.

ブルームバーグのBQuantエンタープライズチームは先日、ロンドンでイベントを開催しました。本イベントには、EMEA各国から、BQuantエンタープライズを活用してデータドリブンなBQuant公開アプリケーションを開発し、自社内で活用してきたお客さまチームが参加しました。これらのアプリケーションは、ブルームバーグ ターミナルのローンチパッド上で運用されています。

BQuantエンタープライズは、完全に管理されたクラウド環境上で、高度な計算能力とブルームバーグのデータへの幅広いアクセスを提供する分析ソリューションです。社内システムとの統合やチーム間の連携を支援し、金融機関が投資ワークフローを拡張できるようにします。

2025年6月19日に開催された今回のCode Crunchには、ブルームバーグのBQuantプロダクトスペシャリスト(EMEA)責任者であるChloe Vuong氏と、ブルームバーグCTOオフィスのクオンツリサーチ責任者であるBruno Dupire氏が参加しました。イベントでは、BQuantエンタープライズを活用して高度な定量金融アプリケーションを開発した各チームが取り組み内容を紹介し、その後、特に優れた成果を挙げた3チームが表彰されました。

プロダクトについて

BQuantエンタープライズ

Data Innovator:ティー・ロウ・プライス・グループ(T. Rowe Price Group)

同社の債券システマチック・リサーチリーダーであるJulien Fabre氏は、関税に関する発表が市場心理および投資パフォーマンスとどのように関連しているかを分析する取り組みについて紹介しました。ティー・ロウ・プライスは当初、メディア報道が市場心理に与える影響をより詳細に把握するため、BQuantエンタープライズが提供するテキスト分析ツールを活用していました。具体的には、インフレ、経済成長、政治といったテーマに関するニュースが、市場心理にどのような影響を及ぼすかを評価するモデルを構築してきました。しかし、2025年に入り、貿易政策の変化が市場パフォーマンスに与える影響が大きくなる中で、同社は分析の対象をより絞り込み、関税に関するニュースに特化させました。これにより、関税関連の報道が市場に与える影響を、より集中的に分析できるようになりました。

デモ申し込み

Model Master:アトランティック・ハウス(Atlantic House)

同社の副最高投資責任者(CIO)であるMark Greenwood氏は、BQuantエンタープライズのデータドリブンなツールを活用し、エコノミストによるインフレ予想を分析する取り組みについて紹介しました。アトランティック・ハウスのチームは、L推定量、ブートストラップ法、ランダムフォレスト分析など複数の統計手法を用い、インフレ予測の実績が高いエコノミストの予測に基づいてインフレ率を推定するモデルを構築しました。Greenwood氏は、エコノミストによる平均インフレ予測の精度が1ベーシスポイント改善するごとに、同社の英国マクロ戦略のリターンが約0.1シャープ・ポイント向上する可能性があるとの試算を示しました。

Visual Insighter:J.P.モルガン・チェース(J.P. Morgan Chase)

同社の株式クオンツリサーチ部門エグゼクティブディレクターであるDaniel Thiel氏は、BQuantエンタープライズを活用した社内向けアプリケーションの構築について紹介しました。このアプリケーションでは、ブルームバーグ・ニュースに基づくデータベースにテキスト分析を適用し、利益警告や企業の業績予想の変更を検知・通知します。このアプリケーションは、J.P.モルガンの株式トレーダーや営業担当者に対し、利益警告や企業業績予想の変更を知らせる仕組みです。こうした発表は、市場を大きく動かす要因となる場合があります。例えば、今春には新たな関税措置の発表を受けて、小売企業が一斉に業績予想を下方修正し、市場に影響を及ぼしました。

Thiel氏のチームは、BQuantエンタープライズに搭載されたPythonのデータサイエンスツールを活用し、この一連のプロセスを自動化しました。このアプリケーションは、利益警告に関する最新かつ最も正確なブルームバーグ・ニュースの見出しを自動的に取得し、アプリケーションユーザーのブルームバーグ ターミナルのローンチパッド上で、要約とテキストプレビューを表示します。このツールを活用することで、企業ごとの動向に加え、業界全体の視点での分析や、関連企業の業績トレンドを把握することも可能です。さらに、長期的な傾向を把握できるよう、月次データも提供しています。

機械学習手法によるファクターモデルの強化

このイベントでは、BQuantエンタープライズを活用したお客さま事例の紹介に加え、BQuantエンタープライズチーム自身の機能も紹介しました。ブルームバーグの市場スペシャリストであるAnish Popatと、デスクトップ・ビルド・グループのアナリストであるRicard Radomskiは、自分たちが構築したフレームワークの一例を示し、機械学習に基づくシグナルを多面的な投資分析に組み込む方法を説明しました。

Popatは次のように述べています。「これらのシグナルは、標準的なモデルでは見逃されがちな複雑で非線形な関係を捉えることができます。従来の知見に最新の手法を組み合わせることで、シグナルをより精緻なものへと高めることが私たちの目標です。ポートフォリオの構築であれ銘柄スクリーニングであれ、より質の高い洗練されたシグナルは最終的に、よりよい投資判断につながると考えています。」

Code Crunchから次のステージへ

Code Crunchを通じて生まれた各プロジェクトは、それぞれが高い完成度を備えた成果となりました。さらに重要なのは、本イベントを通じて、チーム間の協働によるイノベーションのプロセスが促進された点です。

ブルームバーグCTOオフィスのクオンツリサーチ責任者であるBruno Dupire氏は、参加したすべてのチームが、それぞれ異なる形で価値を提示したと振り返っています。Code Crunchは、BQuantエンタープライズの可能性を探る取り組みであり、こうした分析や開発のあり方こそが、ブルームバーグがお客さまに提供したいと考える投資分析の姿であると述べました。

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

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