新型コロナ感染で自動配達需要の拡大が加速

本稿は本稿はVey-Sern Ling の協力を得てMichelle Leungが執筆し、ブルームバーグターミナルに最初に掲載されました。

新型コロナウイルス感染拡大を受け、健康や物流上の懸念から運送・配達サービスの再開が遅れ多くの製造業者が物流の滞りの影響を受けている中国では、自動配達サービスの拡充が加速するとみられる。この分野で先行するのは、JDドットコム、アリババ、および美団点評といった中国の電子商取引(EC)大手だ。(03/06/20)

1. 新型コロナウイルスによる都市封鎖が、物流の自動化を促進

中国での新型コロナウイルスの感染拡大で配送の遅延やその他数々の物流上の問題が起きたことで、自動運転車やロボットによる無人配送への需要が長期的に増加する可能性がある。JDドットコムとEC大手の蘇寧易購のグループ会社、蘇寧物流(Suning Logistics)の2社も、この市場で先駆けている。自動運転トラックの導入で運転、駐車、および荷物の積み下ろしが自動化できた場合、24時間体制での稼働が可能になる。レーザーレーダーや全地球測位システム(GPS)を搭載したロボットでの配達が可能になれば、従業員の勤務態度や安全上の懸念といった人的課題の解消にもつながる。

無人で消費者に荷物を届ける「ラストマイル」配達サービスの全世界での市場規模は、19-30年に年平均20%のペースで拡大し915億ドルに達すると、市場調査会社のマーケッツアンドマーケッツでは予想している。(03/06/20)

「ラストマイル」無人配達サービス市場(十億ドル)

Source: Markets and Markets, Bloomberg Intelligence

2. アジア太平洋地域で自動配達ロボット需要が急増か

新型コロナウイルスによる都市封鎖が、物流の自動化を促進自動配達ロボット市場はスタートアップ企業も多く群雄割拠の状況だが、米スターシップ・テクノロジーズ、中国のJDドットコム、米アマゾン、米ニューロおよびスイスのテレリテールが先行するとみられ、需要は1824年に年平均19.2%拡大し3400万ドルに達すると予想される。米ウォルマート、アマゾン、およびアリババといったEC 大手からの需要増加を背景に、自動配達ロボット市場が最も急速に拡大するのはアジア太平洋地域とみられてい    る。運送業者は効率性が高く低価格なサービスの提供を目指している。自動運転車向けのリモートセンサーであるLiDAR(ライダー)やモーターといった主要部品の価格低下も、自動配達ロボット市場の拡大を促すだろう。現在、最大積載重量が50キロを超えるロボットがEC業界で広く採用されており、市場シェアでも最大となっている。(03/06/20)

地域別自動配達ロボット市場(百万ドル)

Source: MarketsandMarkets Research, Bloomberg Intelligence

3. 新型コロナウイルス、中国の配達網に影響

都市封鎖など新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中国で物流が問題となったのを背景に、自動配達サービスは今後その拡充が見込まれる。JDドットコム、アリババ、および美団点評といった中国の大手EC企業は、この分野へ集中的に投資を行ってきた。また、自動配達ロボット市場の潜在的な成長性は、世界的な自動車市場の縮小から打撃を受けている仏ヴァレオなどの自動車部品メーカーにとっても福音だろう。ヴァレオは中国の電子商取引プラットフォーム大手の美団点評と技術提携し、「ラストマイル」の自動配達サービス向けの技術の開発で昨年合意している。中国国内の都市・地域2800カ所で展開する美団点評は、1月に北京を皮切りに非接触型配達サービスを導入した。 (03/06/20)

中国の新型コロナウイルス感染者数と封鎖対象都市数

Source: Bloomberg Intelligence

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