コロナ禍で高まるデータアクセスの重要性とクラウドコンピューティング

Read the English version published on April 7, 2021.

本稿は、FinTech Futuresのためにブルームバーグ・エンタープライズ・データ部門のグローバル責任者Gerard Francisが執筆し、ブルームバーグのライセンスを受けています。

新型コロナウイルスの感染拡大はモビリティや人々の社会的交流、従来の方法での協働を阻害し続けており、政府も企業も世界各地の市場もすべて未曾有の課題に直面しています。金融機関はリモートでビジネスを成功させ、問題を解決するための新たな方法を模索しており、データへのアクセス、検出、活用能力の重要性はかつてないほどに高まっています。

新型コロナウイルスがまん延する中でデータを活用して事業を行い、イノベーションを起こすことはますます困難になってきています。データから価値を取り出す作業は、流れ作業で自動車を製造する組み立てラインに似ていますが、オフィスでは、データの組み立てラインが完全に自動化されることはありませんでした。そのプロセスは、自動化と手作業との組み合わせで行われてきたため、多くの企業が組み立てラインをリモートワーク環境へスムーズに移行できないままでいます。

複雑な手作業は時間がかかる上、特に複数の人たちが関与するとエラーが発生しやすくなります。こうした課題によって、価値を見出すプロセスに遅れが生じるだけでなく、イノベーションのスピードも遅くなります。

新たな労働環境とますます複雑になるデータ需要に適合するため、将来的にデータは徹底的なデジタル化への移行を余儀なくされるでしょう。

データの組み立てラインを再考

組織は、付加価値がほとんどかあるいは全くない手作業の分野を特定して排除することにより、効率を高めることができます。精査されたデータの組み立てラインは、相互に交換が可能かつ接続している次の6つの不可欠な要素に分解できます。

  • コンテンツ:これはデータの最も目に見える部分で、一次データ、派生データ、サードパーティデータ、そして組織内部で生成されるすべてのデータが含まれます。
  • 質:数千億というデータポイントを処理する際、データの質は極めて重要です。組織は、消費するデータを取得する際、莫大な費用をかけて手作業でクリーンナップする必要がないよう、質の高さを確認する必要があります。
  • アクセス:これは組織がそのテクノロジー戦略や、どこで展開するか(社内、クラウド、データセンター)に関係なく容易にデータコンテンツを取得でき、消費データの量に関係なく一貫したパフォーマンスを維持できる能力を意味します。
  • ユーザビリティ:データにはさまざまな形があります。新たな形のデータが組織に導入されるたび、デベロッパーはコードを書く必要があり、コストと時間が嵩む結果になります。データの形が業界標準に厳格に沿ったもので、そのデータと関連する関係性をメタデータを通して機械が理解できれば、機械は手作業の介入がなくてもデータを処理できます。
  • 操作ツール:データ処理を管理し、データを操作する場合であれ、分析・クオンツ作業を実行する場合であれ、設計に優れているだけでなく、データの組み立てラインの中断や効率低下をもたらすことのない社内ツールやサードパーティツールの組み合わせが必要です。
  • データサービス:これには、さまざまな種類のデータをはっきりとわかるモデルに取り込んで標準化し、川下のアプリケーションが一貫性あるリンクされたデータにアクセスできるようにすることが含まれます。

リモートワークがニューノーマル(新常態)となり、大量のデータを取得することでイノベーションが可能となっている世界では、自動化ニーズが加速的に高まっています。これら6つのコンポーネントをうまく組み合わせることにより、場所に関係なく機能する、シームレスで強靭なワークフローを生み出すことができ、究極的に価値を生み出すことにつながります。

この最新のデータサプライチェーンに前向きに投資する企業は、自動化の機会により迅速に対応し、データサイエンスのイノベーションを活用して問題解決の斬新なソリューションを見つけることができるでしょう。

未来はクラウドデータ

これからもテクノロジーは絶え間なく進化を続けるでしょう。クラウドへの移行を加速する金融機関の数が増えるにつれ、クラウド上でのデータへのアクセシビリティはますます重要になっています。これをサポートするために、データは不可視化され偏在する必要があり、ボタンをクリックするだけで簡単にアクセスできる必要があります。これをクラウドデータと呼びます。

クラウドコンピューティングでは、データセンターやサーバー、すべての付随する管理作業などの負担を一部軽減できます。同様に、クラウドデータを利用することにより機械が、データの接続、取り込み、クリーンナップ、管理、読み込みに関する問題を解決し、何らかの形でそうしたプロセスを「不可視化」して、価値創造を飛躍的に高める可能性があります。クラウドデータは金融業界に大きな価値を生み出すでしょう。

理解可能なデータへの瞬時のネイティブ・アクセスの重要性が高まる中、自動化推進に投資するだけでなく、すべてのプロセスがシームレスに相互接続できるようにし、高まるデータ依存を最大限に活用しつつ新常態において事業で成功できるかどうかはそれぞれの組織の取り組みにかかっています。

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