Read the English version published on November 14, 2022. (Terminal link only)
本稿はブルームバーグのマーケット＆アプリケーション・スペシャリスト栗田昌孝、財務・業績予想データアナリスト永澤拓也、天川伸士が執筆し、ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されました。ターミナルユーザー様は、こちらから全文をお読みいただけます。
背景
金融引き締め局面において投資家が選好するのは、仕入れ先へ現金を支払ってから顧客から現金を得るまでの日数が短い米国企業です。
Ｓ＆Ｐ500種株価指数構成銘柄のうち、キャッシュ・コンバージョン・サイクル（仕入れた商品や原材料を現金で回収するまでに必要な日数）が短い企業が相場下落基調でアウトパフォームしています。このサイクルを指標にしたロングショート戦略では、過去１年間で23％のリターンとなりました。米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）の利上げ見通しによって市場が変動する中、このトレンドは注目に値するでしょう。
課題
ブルームバーグのFTST機能、BQL機能、GP機能で株式市場を分析することができます。
ファクター・バックテスター（FTST）機能でキャッシュ・コンバージョン・サイクルに対するカスタム・バックテストを適用すると、「キャッシュ・イズ・キング（現金こそ王様）」に類似した戦略のリターンを試算することが可能です。試算方法はターミナル上で全文をご参照ください。
「ファクター・バックテスター：結果」画面の「概要」サブタブに、過去１年間にわたる各四分位のパフォーマンスがチャートで表示されます。第１四分位から第４四分位の順で、Ｓ＆Ｐ500種株価指数に対して優れたパフォーマンスとなったことが分かります。画面右側の表で、Qスプレッド年換算アクティブリターン率を確認できます。第１四分位の銘柄をロング、第４四分位の銘柄をショートしていれば、約23％の対ベンチマーク超過リターンがあったことが分かります。画面中央のチャートは、ここ数カ月間でスプレッドが拡大しており、第１四分位群が優勢なことを示しています。
またブルームバーグ・クエリ言語（ＢＱＬ）でキャッシュ・コンバージョン・サイクルが短いセクターや企業を特定し、10分位ポートフォリオ・バックテストも同時に実施することが可能です。実施方法はターミナル上で全文をご参照ください。
全文に添付されているカスタマイズ可能なＢＱＬスプレッドシートから、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの長短をセクター別に確認できます。スプレッドシート中の右上のチャートは、キャッシュ・コンバージョン・サイクルが第９十分位に属する（すなわち十分位の中でキャッシュ・コンバージョン・サイクルが２番目に短い）企業群のリターン（オレンジ）が最も優れていることを表しています。円グラフでは、業種別リターンでは消費者サービス、生活必需品、ヘルスケアが圧倒的に高く、エネルギーがそれに続くことが分かります。企業の一覧や詳細については表を参照。表の上にあるティッカー／セクター欄を変更すると、別の十分位の内訳や構成銘柄を確認できます。
追跡
ＦＲＢの利上げに伴い、世界的に手元資金の確保が困難になっています。そのため民間セクターでは、借り換えコストの上昇に起因するデフォルトリスクの高まりにより、手元資金が潤沢な企業の株式銘柄へ需要が引き続き喚起される可能性があります。実際にＦＲＢが米国の中堅・大手銀行を対象に実施した主要銀行貸し出し動向調査では、米国経済における流動性が枯渇方向に進行中であることが分かる。確認方法はターミナル上で全文をご参照ください。
サーベイによれば、銀行担当者への調査で貸し出し姿勢を「緩和」方向とした回答（白色）は過去最低水準にまで低下しており、資金繰り状況を示す米国金融指数（青色、高値が下で低値が上になるようにＹ-軸を逆転）と連動して大幅に変動しています。
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本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。