バイサイド・トレンド・ウォッチ:イノベーションでアルファを創出

Read the English version published on October 09, 2019.

本稿は、ブルームバーグL.P.香港エンタープライズセールスのヘッドを務めるWayne Curryが執筆しました。

バイサイド市場は常に変化しています。今、3つの大きなトレンドが市場に変革をもたらしつつあり、運用会社ほかの主要なステークホルダーはビジネスモデルの重要な点について見直しを迫られています。

バイサイド・トレンド

手数料低下の波は既に運用会社をのみ込み、次は残高20兆ドルの資産管理ビジネスに向かおうとしています。伝統的な運用アドバイザリーの手数料も低下傾向にあります。この結果、市場がパッシブ運用へと大きくシフトし、大量の資金がアクティブ運用ファンドから流出しています。

ETFについても、手数料が低く運用成績が良いETFに投資家の資金が集まっています。実際、過去3年間の米国における資金フローの6割が、手数料が10bp以下の商品に向かっています。そうした状況下、商品の多様化を求める声が高まる一方で、機関投資家と規制当局による監視は厳しさを増しています。

変革に対応する新しいアプローチ

途方もない市場の変革の瀬戸際に立たされているアクティブ系運用会社は、さまざまな対応を試みています。パッシブ運用に近い商品を発売したり、社内にデータサイエンスチームを設置したり、中には大きく値上がりが見込まれる銘柄の発掘を諦めてよりシステマチックな投資アプローチを導入した運用会社もあります。

システマチックな手法を取り入れるためには、幾つかの重要なインフラが必要になります。会社全体をカバーしどこからでもアクセス可能なデータ保管機能は、キーマンリスクを低減し、アイデアジェネレーションのコストも削減してくれます。「モジュール化されてスケーラブルな投資モデルであれば、導入費用が安く済む上に取り扱いにもすぐに慣れることができます。

さらに、一元管理された共通のコミュニケーションツールがあれば、アルファ生成のアイデアを迅速に幅広く共有することができます」と、ブルームバーグL.P.のデスクトップ構築グループで開発担当を務めるJustin Lunは述べています。

システマチックな投資アプローチ

このように潜在的な可能性が高いシステマチックアプローチですが、固有の課題もそれなりに抱えています。第一に、非構造化データを企業データや市場データと統合するという困難な作業に取り組む必要があります。また、個々のアナリストのエクセルモデルを共通化かつ拡張してより早く深いアイデアジェネレーションができるようにする必要があり、そのためには時間とコストがかかります。さらに、全社のワークフローを統一する必要もありますが、アナリストとポートフォリオマネジャーのワークフローは大きく異なります。ベストプラクティスを順守しつつワークフローを統一するには膨大な作業が必要となります。

ビジネスチャンスに適応する

Bloomberg L.P.のバイサイド・リレーションシップ・マネジャーを務めるMichael Broderickは次のように述べています。「今日の大手アクティブ系運用会社がこれらの課題を克服するためには、カスタム化されたテクノロジーソリューションをそれぞれのビジネスゴールとプライオリティに従って導入する必要があります」

「手数料低下の波に対応するには、より一層の業務効率向上と導入コスト削減が必要です。そのために企業はホスト型ソリューションを採用して、アナリストのリサーチノート、通信記録、カスタム化された全社のスコアなどの保存を自動化しています」

市場の変革を乗り切るためには、より強力でスケーラブルなアイデアジェネレーションプロセスも必要となります。最先端の企業は、アイデアジェネレーションに必要な財務データ処理の複雑なロジックについて、社内に新たな開発部署を置くのではなく外部IT企業に外注しています。

また、カスタム化されたダッシュボードがあれば、社内データと財務データを一度に表示しアイデアを視覚化した上でその結果を全社で共有することが可能となり、アイデアジェネレーションプロセスのスケーラビリティと生産性が向上します。この戦略により、企業としての能力が強化されると共に、透明性が向上します。

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