ブルームバーグ2021年上半期株式資本市場レビュー

本稿は、グローバルデータ部門アナリスト寺原朋美が執筆しました。(2021/7/2)

世界の市場概況

2021年上半期の世界の株式資本市場における資金調達総額は7014億米ドルで、昨年同期から86.5%増加、史上最高額を記録しました。内訳を見ると既公開、新規公開ともに昨年同期から増加しましたが、特に新規公開株式市場が活況を呈し、904億米ドルから3430憶米ドルへと3倍以上になり、件数においても約3倍に増加しました。既公開株式市場も新規公開市場ほどの伸びではないものの、昨年同期比20.4%増、件数においては28.3%増加しました。

出所:ブルームバーグ

国内市場概況

国内市場もパンデミックにより縮小した昨年より大きく回復、総額は昨年同期比83.3%増の1.3兆円で、パンデミック前の2019年同期をも上回りました。内訳を見てみると昨年同期、その前年同期より金額で6割減と特に落ち込みの激しかった新規公開市場の伸びが大きく、昨年同期の5倍に迫る3274億円を調達、件数では2007年以降最多となる53件が登場しました。昨年は100億円を超える案件が1件であったのに対し、今年は転職支援サイトのビズリーチを運営するビジョナルをはじめとする9社が100億円超の調達を行うなど規模の大きな案件が多かったことも金額の伸びにつながりました。業種別では最も活発であったのがビジョナルを含むテクノロジーセクターで今年上半期の新規公開市場総額の4割を占めました。

日本株式資本市場
出所:ブルームバーグ

一方、既公開市場は昨年同期比51.1%増の9350憶円でしたが、これは6月に登場したルネサスエレクトロニクスの増資によるところが大きく、同案件は今期既公開市場全体の約4割を占めました。業種別ではルネサスエレクトロニクスを含むテクノロジーセクターが最も多額の資金調達を行いましたが、件数では金融セクターが最多の12件でした。なかでもREITが特に活発で同セクター12件中11件がREITでした。

既公開株式業種分析
出所:ブルームバーグ

上位案件

新規公開及び既公開市場を通して最大案件だったのは前述のルネサスエレクトロニクスで、今期両市場を併せた総額の約3割を調達しました。次に大きかったのは4月に東証マザーズに上場したビジョナルで、同案件は、ソフトバンク以来2年4か月ぶりの大型案件でした。ビジョナルは公開価格5000円に対し43%高の7150円の初値をつけ、人気を集めました。

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出所:ブルームバーグ

ブックランナーランキング

新規公開、既公開を含むランキングにおいて首位に立ったのは今期最大案件であるルネサスエレクトロニクスを手がけたみずほで、2位と3位にはビジョナルを手掛けた野村とモルガン・スタンレーが続きました。一方、新規公開市場では野村が1位でした。

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出所:ブルームバーグ

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