Read the English version published on April 25, 2025.
本稿はブルームバーグ・インテリジェンスのESGリサーチ担当ディレクターEric Kaneと、シニア・アソシエイト・アナリストのMelanie Ruaが執筆し、ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されました。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)が実施した「ESG投資家調査」では、回答者252人のうち、85%近くが今後2年間でESGに割り当てる運用資産が増加すると予想していました。投資家らはまた、競争力と収益への貢献要因として、気候変動とエネルギー転換に引き続き関心を示しています。さらに、ESGの新たな注目テーマとしては、人工知能(AI)とサイバーセキュリティが挙げられました。
ESGと気候変動関連の運用資産は増加の見込み
ESG(環境、社会、ガバナンス)原則に対する反発や揺り戻しが続くなかでも、今回の調査の回答者らは今後2年間にESG関連の運用資産は成長するとみており、このアプローチから得られる長期的なメリットを引き続き認識しています。回答者の85%近くが今後2年間でESGに割り当てる運用資産(AUM)は増加すると予想し、3分の2が気候変動関連のAUMについても同様の見解を示しました。回答者の半数近くは投資ポートフォリオの15%以上をESGに投資するとし、44%は気候変動関連商品についても同様にみていると回答しました。
ESG投資で得られる長期的なメリットは何かとの問いに対しては複数の要因が挙げられ、中でも最も多く挙げられたのは、業界や企業に対する理解が深まる、より多くの情報に基づいた投資判断ができる、リスク調整後リターンが改善される、というものでした。

投資家は気候変動を依然として重視、だが、ギャップは残る
BIのESG投資家調査では、回答者の90%近くがポートフォリオの評価においてカーボンフットプリントを評価していると回答しました。しかし、関連データの不足とエネルギー転換戦略の価値に関する見解では、大きなばらつきが見られました。回答者の3分の2近くが、気候シナリオ分析、スコープ3排出量、物理的リスクに関連するデータにはギャップがあると回答しており、一方で別の質問では、大多数が企業の気候変動戦略を評価する際にESGデータやスコアその他を利用していると回答しています。
企業のエネルギー転換戦略の価値について尋ねたところ、71%の投資家が競争力や市場シェアの拡大につながると回答し、59%が収益増加の可能性を指摘しました。

投資家にとってAIはESGのリスクであり、機会でもある
次に注目されるESGテーマは何かという問いに対し、45%以上がAIを選びました。加えて、39%がサイバーセキュリティ、25%が水資源を挙げています。別の質問では、2025年のESG関連の最大の焦点として「ESGにおけるAIのリスクと機会」が挙げられました。

ESG投資家調査の手法
ESGに対する投資家の姿勢と動向を把握するため、調査会社アテストがBIに代わって調査を実施しました。本調査は、ESGに投資する専門家252人を対象に、2025年3月26日から5月7日の間に実施されました。回答者の所在地は、北米、欧州、アジア太平洋、中米、南米のいずれかで、本調査への参加資格は、投資業界で8年以上の経験を有し、現在投資運用または分析に関与していることでした。

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
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