自動運転機能の追求は、自動車技術のゴールドラッシュ?

本稿はブルームバーグ・インテリジェンスのリードアナリストKevin Tynanおよび協力アナリストのTamlin Bason、Scott J. Levine、Nathan Dean、Kieran Ryan、Holly Froum、Mandeep Singhが執筆し、ブルームバーグターミナルに最初に掲載されました。英語原文はこちらから。

自動車メーカー各社がどのような自動運転車構想を練っているのか、レンタル用フリート(車両)管理の焦点、自動運転車を巡る法律に関する詳細については以下リポートをご参照ください。

Autonomous Ride-Share Impact Across Industries(自動運転車ライドシェアの業界全体への影響)リポート (英語)

自動運転機能の追求は、自動車技術のゴールドラッシュのようなものです。つまり、過去のどの車載技術革新よりも自動車業界と関連セクターに大きな変化を起こす可能性があるということです。新しいモビリティの世界で存在意義を保つには、自動車メーカー、技術サプライヤー、ライドシェア会社、フリートマネジメント(保有車両管理)会社、販売会社のすべてがビジネスモデルを進化させなければなりません。輸送ソリューションが多くの人に提供されるようになると、走行距離は増加しても、世界の自動車売上は大幅に減少すると考えられます。

ロボタクシーの登場によって消費者が新車を買わなくなっても、自動車製造は重要な能力となります。General Motors、トヨタ、Volkswagenは大量生産が可能であり、モビリティのコモディティ化を生き延びるには、技術開発やフリート管理企業として重要な存在にならなければなりません。

自動運転による生産急減で自動車メーカーがふるい落とされる

自動運転ライドシェアによって世界の新車需要が30~50%減少するとの懸念から、大手自動車メーカーは慌てて慣れないビジネスモデルに転向していますが、たとえ戦略を変えても全員が生き残れるわけではありません。ブルームバーグNEFは、2040年にはインテリジェントモビリティの走行距離のうち約半分を自動運転車が占めると予想しています。

自動運転が自動車メーカーを追い込む

自動運転技術が実現すれば、自家用車が急速に減少し、自動車のコモディティ化が進み、多数のメーカーやサプライヤーが倒産するため、世界の自動車業界にとっては最大の脅威となります。完全自動運転車は、運転免許を持つドライバーより登録自動車の方が多い北米や欧州などの地域では特に急激な影響を与えると見られています。走行距離全体でライドシェアの占める割合は、現在はわずか1%ですが、これが拡大すれば、世界の自動車生産は崩壊し、自動車の生産能力衰退、メーカー消滅といった事態に追い込まれるでしょう。自動運転車のライドシェアが自家用車の所有に取って代わった場合、自動車メーカーにとっては、Volkswagen、トヨタ、Ford、General Motorsレベルでの世界規模での展開(合計で供給全体の19%を占める)が、極めて重要になります。

Bloomberg chart
新車生産予想

レベル5はそれでもまだ、「いつ」ではなく「可能か否か」の段階

完全自動運転のレベル5(どのような状況でも考え得るすべての操作を車が実行できる)を実現するには、ハードウェアとソフトウェア、人工知能、機械学習を複雑に融合することが必要となります。ただテクノロジーをいくら混ぜ合わせたところで、実際には機能しないかもしれず、実現までに何十年もかかったり、多くの社会的状況において意図しない結果を招いたりする可能性もありますが、それでも自動車メーカーや技術系企業はより安全、低コスト、効率的なモビリティネットワークを目指し、完全自動運転の追求を優先しています。

高度なドライバーアシストシステムを実現する第一歩として、センサーやカメラ、レーダー、ライダーがデータを収集するようになり、さらにマッピング、人工知能、機械学習を利用し入力された膨大なデータを解釈することで足りない部分を埋めるようになるでしょう。