AmazonCO2排出量公表はIT企業のESG開示促進につながるか

本稿は、ブルームバーグ マーケット スペシャリストのBob Huberが執筆し、ブルームバーグターミナルに最初に掲載されました。

背景

ネット通販大手の米Amazonは、プライムサービスの一環として翌々日配達など数多くの人気のサービスを提供していますが、全社的な二酸化炭素排出量の公表を2019年中に開始するとしています。今後、こういったプライムサービスが環境へ及ぼす影響について、パートナー、顧客、投資家はより詳しく知ることができるようになります。

また同社は、2030年までに全商品出荷の50%をカーボンニュートラルとすることも合わせて発表しました。

「Amazonは梱包材廃棄物削減や再生可能エネルギー購入については間違いなく業界をリードしてきましたが、改善余地はまだかなり残っています」と、資産運用会社NuveenのETFヘッドを務めるMartin Kremenstein氏は述べています

環境保護ランキングを見ると、IT企業は以前から上位にランクされています。これは再生可能エネルギーへの投資など、環境への影響を緩和するさまざまな努力を続けてきていいるためです。しかし、環境評価基準の開示という点においては、多くのIT企業が後れを取っています。

問題点

IT企業は汚染物質を排出する工場をほとんど持たないため、他の多くの企業よりも環境にやさしいと長く考えられてきました。しかし、データセンターの電力使用量が過去最高を記録したことから、アナリストはIT企業の実態に注目し始めました。

Amazon自体は、翌日配達など潜在的に炭素集約度が高いサービスを増やしているため、ESG透明度指標によるランキングの順位を落とす可能性があります。

Amazonの競合企業であるEtsyは先日、宅配をすべてカーボンニュートラルにすると公表しました。Etsyのサステナビリティ担当であるChelsea Mozen氏は「私たちが慣れ親しんでいる無料配送サービスは実は無料ではありません。eコマースが環境に及ぼす影響というとまず梱包関係を考えがちですが、配送関係の環境コストは実は大変に大きいのです」と述べています

AmazonはCO2排出量の公表をきっかけとしてESGコンプライアンスで業界のリーダーになれる可能性がありますが、対応を間違えれば他社に後れを取ることにもなりかねません。市場は、Amazonが目標を達成する手段―カーボンオフセット購入、宅配方法の見直し、複数の注文のまとめ配送促進など―に注目しています。

トラッキング

ブルームバーグターミナルの新しいアプリであるESGHub appを使えば、ポートフォリオにある銘柄をESG透明度指標とパフォーマンス格付けに基づいて比較することができます。

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