ドイチェ・アセット:ジャパンパッシングもったいない、個別株注目を

この記事は西沢加奈、谷口崇子が執筆し、ブルームバーグターミナルに最初に掲載されました。

ショーン・テイラー氏がスイスの運用会社で働き始めた10年以上前、日本株を調査するアナリストは星の数ほどいた。今は当時の面影は見る影もなく、テイラー氏は企業統治(コーポレート・ガバナンス)改革を進めた優良企業が見過ごされてしまっていると考えている。

ここ数年の株式市場の主役は中国などに移り、多くのバイサイド投資家が日本の個別株調査をやめてしまっていると、現在はドイチェ・アセット・マネジメントでアジア太平洋担当チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)を務めるテイラー氏は話す。機関投資家らの日本株投資はマクロ戦略が主流となり、企業統治改革の成果で株価が大幅に上がる可能性がある企業をポートフォリオに組み込む機会を逃しているという。

安倍政権は2015年、透明性や収益性を高め国内外の投資を呼び込む目的でコーポレートガバナンスコードを導入。東証は上場規程の中に位置付けた。強制力のある法律ではないが、規定を守らないと説明が必要となる。実際、東証株価指数(TOPIX)構成企業の株主資本利益率(ROE)は、アベノミクス相場が始まる前の12年に比べて2倍となった。

「海外の主要株式市場と比べて、日本株の調査はおざなりになっている」とテイラー氏は言う。改善が必要な企業ほど、「投資家が最も収益を上げる余地があることがあり、そうした中から経営陣が変化に前向きな企業を見つけられるかが重要だ」という。テイラー氏は日本株に注力すると決め、こうした企業を探す目利き能力のある人材を得られれば、ベンチマークを上回る「多くのアルファが得られる」と断言する。

ブルームバーグの調べでは、時価総額20億ドルから100億ドルの企業に日本では平均8人の個別株アナリストが投資判断をしているのに対し、英国は16人、米国と香港では12人となっている。