AIテーマ指数は26%上昇、過去の急騰よりも持続性が期待できる理由

Read the English version published on June 1, 2026.

本稿は、ブルームバーグ・インテリジェンスのシニアアソシエイト・アナリスト、Jessica Linが執筆しました。ブルームバーグ ターミナルに最初に掲載されました。

本稿執筆時点では、AIテーマ指数(BAIAET)は年初来26%上昇しており、バリュエーションも依然としてピーク水準を下回っていることから、今回の上昇は過去の急騰局面よりも長続きする可能性があります。同指数は今年、テーマ型指数の中でも好調なパフォーマンスを示しています。ハイパースケーラー銘柄の伸びが落ち着く一方で、半導体やハードウェア関連銘柄が上昇をけん引しています。株価は過去最高値を更新しているものの、バリュエーションは依然として過熱感のない水準で、EV/売上高倍率も2024年12月のピークを21%下回っています。ファンダメンタルズの改善と市場参加者の広がりが、こうした見通しを支えています。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリストは、生成AI関連の収益は2032年までに2.3兆ドルに達し、エコシステム全体に強力な追い風をもたらすと予測しています。

AIの恩恵はテクノロジー分野を超え、エネルギーや素材分野にも広がる

AIインフラの拡大を支えるメモリー、通信、エネルギーは、引き続き主要な投資テーマとなっています。半導体、5G、水素、分散型エネルギーも年初来で好調なパフォーマンスを示しています。ブルームバーグの34のテーマ別指数を対象とした相対ローテーション分析によると、AI、5G、半導体、EV、分散型エネルギー、水素の各テーマは、過去12週間でいずれもリーダーシップ(Leading)の象限へ移行しており、AIがもはやテクノロジー分野だけの投資テーマではないことを示しています。

特筆すべきは、14のテーマがAI(BAIAET)と0.7を超える相関を示していることです。成長が加速するテクノロジー関連テーマが引き続き最も強い相関を示す一方で、物理環境カテゴリーに属する分散型エネルギーもAIとの高い相関を示しており、その関連性はさらに強まっています。

Bloomberg Thematic Indexes Rotation: 12-Week
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各地域で市場の主導役が入れ替わる中、AI関連銘柄は回復基調に

AIは、テーマ間の資金移動やマクロ環境の変化があったにもかかわらず、今年も好調なパフォーマンスを維持しています。第1四半期に調整した後、AIテーマ指数は大きく反発しました。AI(BAIAET)はテーマ別指数の中でも好調なパフォーマンスを示し、年初来で26%上昇しています。この指数は121社で構成されています。全体的な上昇の裏では、地域間で主導役の入れ替わりが起きています。欧州のAI関連株は平均42%上昇し、今年最も高いリターンを記録しました。北米は35%、アジア太平洋地域は23%で続いており、2025年の傾向とは対照的な展開となっています。特にApplied Optoelectronics、Seagate、Intel、SK Hynixは190%超の上昇を記録しました。これらの上昇の背景には、ハードウェアおよび半導体分野への高いエクスポージャーがあります。

テーマ型投資は長期的な成長期待に支えられています。2020年以降の分析では、BAIAETは時価総額加重版の指数に加え、B500およびワールド・テクノロジー・ベンチマーク(WLSTT)を上回るパフォーマンスを示しています。

Bloomberg AI Index vs. Benchmark Since 2020

AI市場のけん引役はハイパースケーラー以外にも広がる

AIテーマ(BAIAET)を構成するBIのエクスポージャーカテゴリー別にリターンを分析すると、投資テーマを的確に捉えることの重要性が浮かび上がります。過去3年間では、ハードウェアが年率平均82%のリターンでトップとなり、半導体が59%、ハイパースケーラーが40%で続きました。今年もハードウェアと半導体が引き続き上位を維持する一方で、ハイパースケーラーのリターンは鈍化し、インフラソフトウェアがこれを上回っています。

AIハイパースケーラーであるアルファベット、エヌディビア、アマゾン、オラクル、メタ、マイクロソフトの中では、今年はアルファベット、エヌディビア、アマゾンが好調だった一方で、オラクル、メタ、マイクロソフトは相対的に出遅れています。この差は、AIへの投資自体がもはや競争の前提条件となり、収益化こそが企業間の差を生む重要な要素になりつつあることを示しています。

Returns by BI Exposure Categories

AI指数は26%上昇、バリュエーションは依然として妥当な水準

ブルームバーグAI指数(BAIAET)は2026年に26%上昇し、マグニフィセント・セブン、ワールド株式指数(WLST)、ワールド・テクノロジー指数(WLSTT)のリターンを上回りました。ファンダメンタルズが改善しているにもかかわらず、市場ではバブル懸念が高まっています。予想PBR(株価純資産倍率)と予想ROE(自己資本利益率)の分析によると、AIテーマ全体のバリュエーションは総じて妥当な水準にあります。その中で、CoherentとIntelは比較的割高な銘柄に位置付けられる一方、Super Micro ComputerとWistronは比較的割安な銘柄となっています。ファンダメンタルズは引き続き堅調で、2026年の利益成長率は前年比37%と推定されています。

強固なファンダメンタルズがあっても、相場が一本調子で上昇するとは限りません。投資家が成長期待と現実とのバランスを見極める中、市場の変動性は今後も高い状態が続くとみられます。分散投資とグローバルな投資配分が引き続き重要です。

Median Return on Equity vs. Forward P/B by Theme

AIのバリュエーションは世界のテクノロジー株と異なる動きを示す

AIテーマは構成比の91%をテクノロジー関連銘柄が占めています。EV/売上高倍率は2024年12月にピークを付けましたが、ブルームバーグ・ワールド・テクノロジー指数(WLSTT)のピークは2025年10月でした。現在のEV/売上高倍率は、それぞれのピークからBAIAETで21%、WLSTTで7%低下しています。これは、利益成長が続いているにもかかわらず、AI関連銘柄のバリュエーションの見直しが、テクノロジー市場全体よりも大きかったことを示しています。一方で、銘柄間のバリュエーション格差は依然として大きくなっています。オラクルのEV/売上高倍率が最も高く、エヌディビアとアルファベットを上回っています。一方、アマゾンは最も割安となっています。半導体は予想EV/売上高倍率11.2倍で、AI関連カテゴリーの中で最も高い水準にあります。これにハイパースケーラー(7.9倍)、インフラソフトウェア(7.6倍)が続きます。

Cambricon、Palantir、Astera Labs、CrowdStrike、Cloudflareは、BAIAETの中でも特に高いバリュエーションとなっている銘柄です。

EV-to-Sales: BAIAET, WLSTT, Hyperscalers

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

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