Read the English version published on September 22, 2025.
本稿はブルームバーグ・インテリジェンスのシニア・インダストリー・アナリスト、Mandeep Singhと、アソシエイト・アナリストのRobert Biggarが執筆し、ブルームバーグ・ターミナルに最初に掲載されました。
AIの重心がモデル開発から大規模なインファレンス(推論)へと移る中、データセンター需要は、顧客関係管理(CRM)などのアプリケーション系ワークロードから、データベースへと軸足を移しています。特に、チャットボットやコーディングエージェントといったAIエージェントで利用されるデータベースへの需要が高まっており、この結果、米オラクルやMongoDBなどのソフトウエア企業にとって追い風となっています。また、AIエージェントの展開を支える役割を背景に、コンテンツ配信やサイバーセキュリティ関連のワークロードも、AIデータセンターで相対的に高い成長が見込まれます。
AIエージェントの普及でデータセンター需要はデータ層へ
チャットボットやコーディングエージェントなどのAIエージェントに企業データを取り込ませる動き(データのトークン化)が進むことで、非構造化された企業データを格納するベクターデータベースは、市場全体の伸びを上回るペースで成長が見込まれます。
各部門がAIモデルと企業の独自データを統合して活用する動きが進むにつれ、オラクルやMongoDBなどのソフトウエア企業への需要が加速する可能性があります。さらに、トレーニングデータの増加に加え、AIエージェントの用途が広がることで、データベースの構築とデータ消費は転換点を迎えると予想されます。
高度な機能を実現するためには集中的な反復処理が不可欠であることから、企業はデータベース層の高負荷ワークロードを支える、アクセラレーターを豊富に備えたデータセンターに依存するようになるでしょう。大規模言語モデル推論の中核である行列乗算では、規模の拡大とレスポンスの高速化を可能とするベクターデータベースが、最大級のワークロード区分の一つになるとみられています。

アプリケーション系ワークロードは今後減速か
AIエージェントが日常業務の多くのプロセスを自動化するにつれ、大規模なアプリケーションスイート内で実行する必要がある作業は減少しつつあります。その結果、企業資源計画(ERP)や顧客関係管理(CRM)、人的資本管理、サプライチェーン管理ソフトウエアに対するデータセンター需要の伸びは、今後鈍化するでしょう。推論モデルエージェントや高度なリサーチツールは現在、ウェブを自律的に検索し、情報源を収集し、分析を実行できるようになっています。こうした作業は、従来はアプリケーションのユーザーインターフェース上で人手によって行われていました。
ただし、エンジニアリングソフトウエア、すなわちCAD(コンピューター支援設計)やCAM(コンピューター支援製造)については、こうした逆風を回避できるかもしれません。シミュレーションや合成データの作成では、依然として専門性の高いツールが必要なため、これらの領域ではワークロードが維持されると考えられます。

コーディングエージェントでテストのワークロードが向上
AIコーディングエージェント(コードの提案、作成、修正を支援する開発者向けツール)により、アプリケーション開発やテストに関連するワークロードは大きく拡大するでしょう。CursorやAnthropicのClaude Code、GitHub Copilot、OpenAIのCodex、Gemini Code Assistといったエージェントは、デバッグや既存コードの追加などのタスクを担います。これらのエージェントを用いた新規コード開発で生産性が30~40%向上したと報告する企業もあり、その結果、開発やテストのワークロードはAIデータセンターへ移行していくと考えられます。また、既存の業務アプリケーションにおいて、プロンプトを使ったコード生成は、生成AI機能の中で最も利用されるものの一つになりつつあります。

コンテンツ配信とサイバーセキュリティにも恩恵
自律型AIエージェントが業務フローに組み込まれるにつれ、より重要度の高い処理がAIデータセンターで実行されるようになります。OpenAIのo3のような推論モデルが台頭することで、単にモデルを保有することから、高速かつ効率的で信頼性の高いインフラを確保できるかどうかへと、重視点が移りつつあります。こうした変化は、米Cloudflareのようなコンテンツ配信ネットワーク(CDN)や、Zscalerなどのサイバー・セキュリティ・プロバイダーにとって追い風となります。大半の企業は、内部のナレッジデータベースや文書をLLMと統合しようとする一方で、LLMのファインチューニング(微調整)や推論のためのトークン消費管理については、CDNやサイバー・セキュリティ・ベンダーに依存しています。

本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
免責事項
本資料に含まれるデータは情報提供のみを目的としています。ブルームバーグ ターミナルのサービスおよびブルームバーグのデータ商品(以下「サービス」)は、ブルームバーグ・ファイナンス・エル・ピー(以下「BFLP」)が所有、配信しています。ただし、(i) アルゼンチン、オーストラリアおよび太平洋諸島の一部の管轄区域、バミューダ、中国、インド、日本、韓国、ならびにニュージーランドでは、ブルームバーグ・エル・ピーおよびその子会社(以下「BLP」)が、(ii) シンガポールおよびブルームバーグ・シンガポール・オフィスの管轄区域ではBFLPの子会社が、当該サービスを配信しています。BLPは、BFLPおよびその子会社にグローバルマーケティング業務および運用支援・サービス業務を提供しています。特定の特徴、機能、商品およびサービスは、高度な投資判断能力のある機関投資家のみを対象としており、法的に認められている場合にのみ提供されます。BFLP、BLP およびそれらの関連会社は、当該サービスに含まれる価格または情報の正確性を保証しません。当該サービスのいかなる事項も、BFLP、BLPまたはそれらの関連会社による金融商品の勧誘、投資戦略や金融商品の「売り」、「買い」、「中立」に関する投資助言または推奨を構成するものではなく、そのように解釈されるべきではありません。当該サービスを通じて提供される情報は、投資判断の根拠となる十分な情報と見なされるべきではありません。ブルームバーグ、BLOOMBERG ANYWHERE、 ブルームバーグ マーケッツ、ブルームバーグ ニュース、ブルームバーグ プロフェッショナル、BLOOMBERG TERMINAL、および BLOOMBERG.COMは、デラウェア州のリミテッド・パートナーシップであるBFLPまたはその子会社の商標およびサービスマークです。このリストに記載されていない商標やサービスマークがあったとしても、ブルームバーグはその名称やマーク、ロゴに対する知的財産権を放棄するものではありません。無断複写・複製・転載を禁じます。© 2025 Bloomberg.