Read the English version published on August 23, 2022, 2022.
この記事は、ブルームバーグのシーズナルESGスペシャリスト、Sana Pashankar、Emily Unruh、Jasper Van de Ree、Marcus Evansが執筆しました。この記事で使われているデータはブルームバーグ ターミナルで確認できます。
背景
男女平等に関して、職場環境にもたらす利点を企業が認識し始める中で、投資家の関心も高まっています。男女平等の職場文化が浸透している企業ほど、生産性、組織、人材の募集と維持、財務業績、消費者の評判など多方面で改善が見られます。
ブルームバーグ男女平等指数（GEI）は、企業が職場における男女平等の促進と改善にどの程度取り組んでいるかを測定するものです。スペシャリストたちが企業の方針や男女比率に関するデータを評価し、独自の男女平等スコアを算出します。スコア算出に用いられる包括的な調査票では、企業による「女性のリーダーシップと人材確保」、「同一賃金と賃金のジェンダー平等」、「インクルーシブな文化」、「セクシュアル・ハラスメントに関する方針」、「対外向けブランド」が評価対象となります。ブルームバーグが収集している100カ国を超える1万1800社以上のESGデータと7種類の独自スコアに関する詳細につきましては、9月に予定されているウェビナーで解説いたします。ぜひご登録ください。
課題
平等な職場環境を整備することの利点が認識されてきた中、重要になってくるのは、男女平等への取り組みや支援が積極的に行われている企業を見つけることです。ここからは、2018年から2020年にかけて男女平等スコアが最も伸びた企業5社と、それら企業の取り組みを紹介します。
クロロックス
クロロックスは家庭用掃除用品を中心とする消費財メーカーで、時価総額は178億ドルです。同社の男女平等に向けた取り組みは広く知られており、その努力は2018年から2020年にかけて総合GEIスコアが34.66ポイント上昇したことにも反映されています。さらにこの3年間、ジェンダーと民族の多様性を強化することに尽力し、米国全体の従業員に占める多文化の女性従業員の割合は10.19％増加しました。また、第二保育者の育児休暇に関する方針を改善した結果、2019年から2020年にかけて育児休暇後の復職率は10%上昇しました。
ジョーンズ・ラング・ラサール
ジョーンズ・ラング・ラサールはグローバルな商業用不動産・投資運用会社で、時価総額は87億1000万ドルです。男女平等スコアは2018年に45.55、2019年に69.00、2020年にラストスパートをかけて77.13にまで伸び、2018年から2020年までの期間に合計31.58ポイント上昇しました。よりインクルーシブな職場文化を目指し、有給育児休暇を2週間から6週間に延長したり、さまざまな人種・民族グループの女性比率を2018年から2020年までに18%拡大したりしました。さらに男女平等を推進するため、女性のための金融教育プログラムを後援するとともに、男女平等の促進に関わる機関に寄付を行っています。
プリンシパル・ファイナンシャル・グループ
プリンシパル・ファイナンシャル・グループはフォーチュン500社に入る米国の資産運用・保険会社で、時価総額は173億8000万ドルです。男女平等スコアは2018年の36.02から2020年の64.56へ、28.54ポイント上昇しました。この3年間、職場における男女不平等の問題に積極的に取り組み、是正に努めてきました。その一環として、年次報酬を数値の観点から男女別に見直したり、無意識の偏見に関する管理職者向け研修を行ったり、職場に授乳室を設けたりしています。男女平等の精神を同社ブランドのさまざまな側面にも反映させ、宣伝やマーケティングに男女差別がないかを評価するとともに、女性のための健康教育プログラムを後援しています。金融セクターは男女平等スコアの改善という点では最下位グループに属していることからも他社とは一線を画しており、2020年時点では社内の男女不平等に関する問題に積極的に取り組んでいます。
アルタ・ビューティ
アルタ・ビューティは美容品販売店チェーンで、時価総額は199億8000万ドルです。男女平等スコアは2018年の42.25から2020年の70.53へ、28.28ポイント上昇しました。女性幹部の比率は2018年から2019年にかけて改善がみられました。また、よりインクルーシブな職場とするため、第二保育者の育児休暇を2週間から4週間に延長しました。さらに、最近はセクシュアル・ハラスメント事案の和解において守秘義務契約を禁じるとともに第三者の調査官を使用することを義務付けるなど、セクシュアル・ハラスメント防止方針を強化しています。そのほか、サプライヤーの多様性プログラムを活用して女性オーナーの企業を採用することを推進するなど、ジェンダー多様性を取り入れる方針も採択しています。
S&Pグローバル
S&Pグローバルは世界各地で事業を展開する金融情報サービス企業で、時価総額は1137億4000万ドルです。男女平等スコアは2018年の52.76から2020年の80.76へ、28ポイント上昇しました。具体的な取り組みとしては、米国での第一保育者の育児休暇を14週間から20週間に延長し、第二保育者の育児休暇を8週間から20週間へと2倍以上に延長しました。報酬総額平均の男女間による差異を比率で示すGEI平均賃金男女格差は7%から3%に低下しており、報酬における男女間の格差をなくすための努力が反映されています。
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追跡
ブルームバーグ ターミナル上で{BI BESG BGEI <GO>}と実行すると、ブルームバーグ男女平等指数の調査参加企業による男女平等データを確認できます。このページで「BBG Gender Equality History（BBG男女平等スコア履歴）」をクリックすると、調査参加企業による過去の男女平等スコアが表示されます。ここでは、男女平等データを、セクター、業種、企業、地域などのカテゴリー別に掘り下げられます。さらに、チャート機能をクリックすると、複数企業によるこれらスコアの推移をチャートに表示できます。
BI BESG BGEI <GO>で、ブルームバーグ ターミナル上にデータが公開されている企業について、総合スコアとサブ項目をチャートで比較
ある企業のスコアの基となる個々のデータポイントを確認するには、対象企業のティッカーをブルームバーグ ターミナルで読み込み、FA ESGS <GO>を実行します。男女平等総合スコアに寄与するサブ項目の内訳を確認できます。
*注：ブルームバーグは、ブルームバーグが実施する男女平等調査票に毎年データを自主報告されている企業に関してのみ、男女平等スコアを算出しています。
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本稿は英文で発行された記事を翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。