11月15日、第3回ブルームバーグ学生投資コンテストのファイナリスト6チームによるプレゼンテーションおよび表彰式が開催されました。今年のテーマはE(環境)S(社会)G(ガバナンス)投資です。各地から過去最多となる総勢59チームの応募があり、厳正なる審査の結果、優勝は国際基督教大学 ICU 21 Investors、2位、3位に同志社大学Wagaya、立命館大学NaSHがそれぞれ入賞しました。
どれだけ深く
堀り下げたか
コンテスト参加者は約3か月にわたって、ブルームバーグ ターミナルを実際に使いながら、数多くのESG関連情報、企業財務および市場データなどを分析して、ポートフォリオの組成を行い、各チーム3名と指導教員1名で本コンテストに臨みました。その結果、期間パフォーマンスとリポートの内容から選出されたファイナリスト6チームが決勝プレゼンテーションへの出場を果たしました。最終的には、いかにESG投資の本質を理解してコンセプトを作ったか、テーマをどれだけ深く堀り下げたかが評価された結果となりました。
各チームのプレゼンテーションはスライドもデリバリーも甲乙つけがたい素晴らしいもので、ご来場いただいた沢山の金融機関や事業会社の方々からも感心する声が上がっていました。ファイナルの審査には一橋大学 大学院経営管理研究科 経営管理専攻 教授/日本ファイナンス学会 副会長 本多 俊毅 氏、野村アセットマネジメント株式会社 責任投資調査部長 今村 敏之 氏とブルームバーグ事業法人教育機関営業責任者 内田 雅晴があたりましたが、各大学のレベルが拮抗し、予定時間を超えて審査が行われました。
本多氏は、「全体的に完成度が高く感心した。ここに至るまでの多くの作業があったと思う」と参加者を労いつつ、「ESGはお題目としては正しいが、本当にそれでいいのか、というところを今後も続けて考えていただきたい。誰もが認めているからこそ疑ってかかる、負の側面はないか、と考えると深みも増すだろう」とさらに一歩先を目指すように促しました。また今村氏は、「ESGを通して企業と社会のかかわりを考えるきっかけになったのではないかと思う。今後の課題として、社会的インパクトの測定、つまり、経済的リターンだけでなく社会的リターンをどうやっていくかということがある。それが皆さんにも見えたのではないか」と述べ、これからも頑張ってください、と激励しました。
優勝したICU 21 Investors チームは、1名が米国留学中で、ビデオ会議システムからの参加となりましたが、「プロから見てもESGの本質をとらえてファンドコンセプトを練り上げた」と高い評価でした。「ESGスコア、スクリーニングなどが上手くできていた、ESGに関して先取りが出来ていて、アイデアが面白かった」「経営陣とコストはESG投資にあたっての重要なポイント。また、情報を出すのは上場企業としての責務であるため、そこに注目したのはよかった」とする講評が寄せられました。
メンバーの1人は、苦労した点として「情報量に圧倒されて何を使えばいいのか迷った。最終的には、まずどのような投資戦略をたてるかコンセプトを決めて、それに合致したデータを探すという解決策を目指した」と述べています。ICU 21 InvestorsチームへのQ&Aは以下をご覧ください。
ICU 21 InvestorsチームへのQ&A
1. 参加のきっかけは?
ESGの授業で教授からコンテストのことを教えてもらった。
2. ブルームバーグターミナルを使っての感想 参加して一番大変だったことは?
情報の多さに圧倒されて何を使えばいいのか途方に暮れてしまった。
3. 参加して一番よかったことは?
経営学部だったので金融や市場の知識は少なかったが、ESGという切り口で金融に触れられたのは幸いだった。貴重な体験だった。
4. 不安に思ったことやたいへんだったこと
他のグループがどのような投資を行っているのかとか、運用成績がマイナスになった時期は不安に思うこともあったが、ESG投資というのがそもそも長期投資ということを思い出して乗り切った。
5. 学んだことは?
3人がそれぞれ違う考え方で自分とは全く異なる視点を与えてくれたのがよかった。チームワークを学んだ。
6. 意外に思ったことは?
自分たちは学生なのに、24時間体制のカスタマーサポートが昼夜を問わず全力でサポートしてくれた。
リターン予測や
「対話」重視型も
また、2位にランクインした同志社のwagayaチームは、機械学習モデルによるリターン予測を用いた5万回のシミュレーションなど、今の時代ならではの投資戦略が光っていました。「金融は全然知らなかったので、すごく勉強になった」「自分の軸とは何だろうと考えるきっかけとなった」と自分たちにとっては未知の世界に触れた喜びを語ってくれました。ユニークさが際立っていたのが第3位に入賞した立命館のNaSHチーム。「対話」を定義し、その重要性に着目。30社以上に実際に連絡をとり、そのうちの1社へ出向き、執行役員や経営陣に直接インタビューという行動力も評価されました。「自分は投資もしているが、ESGという切り口で、テクニカルでは限界があった。学生だからできることは何だろうと考えて足を使った」と話してくれました。
その他入賞チームのプレゼンテーションでは、京都大学大学院 Kyoto Chaos Labチームの分析ツールを駆使した興味深い分析や、テンプル大学 Snowflakesチームの「社会貢献」に注目したメッセージ性、立命館アジア太平洋大学 Ritsumeikan Asia Pacific University – Team AのESG的なまとまりと全体的な完成度がそれぞれ高く評価されていました。
当日はプレゼン関係者以外にも、多数の事業法人や金融機関のお客さまにもご来場いただきました。ご来場アンケートでは、「期待以上にレベルが高かった」「プロの講評も参考になる」「学生たちの柔軟な発想が新鮮」と好意的なご感想を多くいただきました。また学生さんからも、参加してよかった、参加したからこその自己成長があった、とする声が寄せられました。
※この記事に関するご質問はブルームバーグ教育機関営業担当者までお問い合わせください。
ファイナリスト6チーム(発表順)
京都大学大学院 Kyoto Chaos Lab
国際基督教大学 ICU 21 Investors
テンプル大学 Snowflakes
同志社大学 wagaya
立命館大学 NaSH
立命館アジア太平洋大学 Ritsumeikan Asia Pacific University – Team A
レポート特別賞(五十音順)
関西学院大学 証券研究会
国立広島大学 Suzuki Seminar
東京理科大学 チーム葛飾
同志社大学 Miki you
参加校一覧(28校59チーム)
青山学院大学
茨城大学大学院
関西学院大学
京都大学
京都大学大学院
慶應義塾大学
国際基督教大学
国立広島大学
上智大学
昭和女子大学
創価大学
高崎経済大学
中央大学
テンプル大学
東京工業大学
東京大学
東京大学大学院
東京理科大学
同志社大学
東北大学
東洋大学
名古屋大学
日本大学
福山大学
明治大学
横浜市立大学
立命館アジア太平洋大学
立命館大学